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1 何でも欲しがる義妹
しおりを挟む「ずるいですわ、ずるいですわ、お義姉様ばかり! 私も伯爵家の人間になったのだから、そんな素敵な髪留めが欲しいです!」
我が家自慢の庭園を散歩中、そうやって義妹に絡まれた。
せっかく忙しい当主教育の合間を縫って息抜きをしていたというのに。
またか……と、私は内心ため息をつきながら、髪留めを外して義妹に渡す。面倒だからだ。
目的の物を手に入れた義妹はゴキゲンでそれを自分の髪につけた。
そして。
「見て、見て! 私にも似合うと思いませんか? えへへ、ありがとうございます、お義姉様!」
そう言って私の前で2~3回くるくると回り獲物を披露すると、用事は済んだとばかりに義妹はスキップで屋敷へと戻っていった。
ドレス、靴、カバン等の値の張る物から、今日のような小物まで。義妹は気に入ったものがあれば、何でも『ずるい、ずるい』と言って私から奪っていく。
どうしてこうなったかと言えば……まあ、貴族の中では珍しくもない。後妻の連れ子とのアレコレだ。
伯爵家である我が家。お父様は当主業の傍らで老舗の商会も経営していて、先妻の娘である私はそれらの跡を継ぐことになっている。
私のお父様とお母様は政略結婚ではあったが夫婦仲も良く、私が学園に入る前にお母様が病気で儚くなってしまうまでは、親子三人貴族としてごく普通の生活を送っていた。
お母様亡き後も使用人の力を借りながらお父様と二人、何不自由なく暮らしていた。
それから数年。私が学園の最終学年にあがった年に、お父様が再婚をして状況が変わった。
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