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番外編
4 一線の向こう側 ※
しおりを挟む「く……っ、ヴィ………ア……ッ」
とてもじゃないが途中で止めることなどできなかった。
香りが、感触が、声が。女の全てがロイエを誘い、身体と心が勝手に相手を求めてしまう。動揺と快楽に流されて――それでもロイエは愛しい妻の名を呼んだ。
ずっとこれを望んでいたから……いや違う。
違う、違う、『コレ』は……
相手が…違……
「……だ……め…ぇ。ロイ、ロイ……わた、しの名前……ぁん、ちゃん…と、呼んでぇぇ……お願ぁ…い、……ぁあ~んんぅ」
ぺろり。
ロイエが下半身の熱に必死に抗っているときにそこを舐めあげられて全ての迷いが振り切れた。女の柔らかな舌がロイエの敏感なソコを這う。
娼館を利用していた時だってソコを見せたことはない。
自らの伴侶以外に絶対に触らせないようにと教育されていた筈の竜鱗を遠慮なく女に嬲られて全てがどうでもよくなった。
女の熱が、唾液が、存在全てがロイエを狂わせる。
番だ――ずっと、ロイエが渇望していた相手。
ヴィクトリア――そうやって名を呼ぼうとするたび敏感な場所を舐めあげ女が邪魔をする。
ロイエは番が与えてくれる過剰な快楽には抗えない。
ヴィ……違うのか。ああそうだ、女の名前はつい先ほど始める前に聞いたばかり。
出会ったばかりで身体を重ねるなんて――そんなことはどうでもいい。名前……名前を呼びたい。
ロイエの、番の名前は――。
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