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28 側近からの忠告
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出産を終えたヴィクトリアの憔悴ぶりは酷かった。
それまで気丈に振る舞っていた反動なのだろうか。産まれたばかりの子を抱きふわりと笑顔を見せるものの、同時にハラハラと哀しみの涙を流したりもする。
その不安定ぶりは誰が見ても判るほどだった。
少しでも元気を出してもらおうと、食事にヴィクトリアの好物を用意させても『赤子の為には栄養が必要だ』と黙々と食物を口に運ぶだけで、味わっている様子は見られない。
そこには喜びも悲しみも何もない。
子供のために必要とされる栄養を必要な分だけ摂っているに過ぎない。
二人の間に子さえ生まれれば全てが安定し元通りになると期待していたのに、なぜこのようなことになったのか。
初めての子の誕生に、心躍らせていたはずなのに――。
ロイエがつい漏らしたそんな不満に対し、側近の一人が重い口を開く。
「……おそれながら。そのお言葉は皇后様の御心を傷つけます。初めての……と、何をもってそう言われるのか。皇帝陛下は今一度『元凶』となった事態に目を向けるべきかと」
日頃口数が少ない側近の丁寧な言葉とは裏腹に。
その目にはロイエを非難する強い光が込められていて、心拍数が上がる。
(どうして。何でそんな目で私を見る……)
反射的に心が言い訳を始めるが、どうしても側近のその目から逃げることは出来ずに、それ以上溢せなかった不満はロイエの内側に折り重なっていく。
そのあまりの重さに――ロイエは何かに覆い隠されていた心の奥底が軋んでいくのを感じていた。
それまで気丈に振る舞っていた反動なのだろうか。産まれたばかりの子を抱きふわりと笑顔を見せるものの、同時にハラハラと哀しみの涙を流したりもする。
その不安定ぶりは誰が見ても判るほどだった。
少しでも元気を出してもらおうと、食事にヴィクトリアの好物を用意させても『赤子の為には栄養が必要だ』と黙々と食物を口に運ぶだけで、味わっている様子は見られない。
そこには喜びも悲しみも何もない。
子供のために必要とされる栄養を必要な分だけ摂っているに過ぎない。
二人の間に子さえ生まれれば全てが安定し元通りになると期待していたのに、なぜこのようなことになったのか。
初めての子の誕生に、心躍らせていたはずなのに――。
ロイエがつい漏らしたそんな不満に対し、側近の一人が重い口を開く。
「……おそれながら。そのお言葉は皇后様の御心を傷つけます。初めての……と、何をもってそう言われるのか。皇帝陛下は今一度『元凶』となった事態に目を向けるべきかと」
日頃口数が少ない側近の丁寧な言葉とは裏腹に。
その目にはロイエを非難する強い光が込められていて、心拍数が上がる。
(どうして。何でそんな目で私を見る……)
反射的に心が言い訳を始めるが、どうしても側近のその目から逃げることは出来ずに、それ以上溢せなかった不満はロイエの内側に折り重なっていく。
そのあまりの重さに――ロイエは何かに覆い隠されていた心の奥底が軋んでいくのを感じていた。
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