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26 見えてきたもの

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 自身の行いのせいで失った信頼を取り戻すため、他国だろうが自国だろうが、ロイエは必要と思った場所には自ら赴いたし、相手の身分にかかわらず面会もした。

 それはこれまでのロイエには無かったことだ。

 産まれた時から帝国の頂点に在ったロイエにはどうしても身分制度というものが染みついている。今までは侯爵家でありながら仕事上他国との繋がりを多く持ち、幼い頃からそういった環境に身を置くことで自然と相手の身分や立場に囚われずに幅広い見識を身に付けていたヴィクトリアがその辺りの調整をしてくれていた。


 誰とどこで会う、とか。
 相手とはどんな口調で接するとよい、とか。


 賢帝と呼ばれたロイエの評価は、その大部分がヴィクトリアの献身によって支えられていた。



『全てはヴィクトリアの演出があってこそ』

 当時はそれを息苦しく感じていたが、こうしてロイエ自身が考えてそれらを行うようになったことで、当時のヴィクトリアがその演出一つ一つにどれほど心を砕いていたのかが良く分かる。

 おかげで、今では素直にそういったヴィクトリアの過去の功績も評価出来るようになっていた。




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