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43 シャーッ!!(怒)(ふわふわ耳視点)
しおりを挟む「ああ、なるほど。君にも前世の記憶があったのか。だからあんなにも幼いうちから私の話を理解した上で信じてくれたのだな。しかし、私は前世とは外見や名前が違っているのによく分かったな」
「いえ、基本はだいたい一緒ですよ? それに行動や性格も同じですし、あとはニオイですぐに…………って、えっ!?」
前世の記憶があること。
番に出会えなかった獣人に与えられる女神様の救済措置を効率的に使うために、番の本性を調べて報告してもらったこと。
覚悟を決めて先生に話すと、返ってきたのは予想外の言葉だった。
私の発言を否定するどころか、驚いたことに先生にも前回の……ううん、先生には前回どころか前々回の記憶まであった。
先生が淡々と話してくれる説明を聞いているうちに私は泣いてしまった。いったい先生は、どれだけ自分の人生を犠牲にして私を助けようとしてくれたのか。
「大丈夫か? まあ、先ほどあんなことがあったばかりだ。性的被害とケガの有無は確認したが、心の被害までは見えないからな。泣くほど辛いのなら、すぐに専門の医師に連絡をして……」
「ち……っ、違うんです! そうじゃなくて、その嬉しくて」
「ああ……先ほど話してくれた女神様の救済措置によると、君たち獣人にとっては番との出会いが何より一番の幸せとされているんだったか。……………………うん? そうなると、私は邪魔をしてしまったことになるのか? 君は番との出会いが嬉しくて、でも邪魔されたのが悲しくて涙を……」
「違いますっ!! それだけはありません!!!!」
「そ…そうか」
何てこと! 先生ったら酷い誤解だわ! つい、シャーっと泣きながら毛を逆立てて怒ってしまったじゃないの!!
一瞬。そんな私を見て先生が恐怖していたけれど、コレだけは仕方ないことだと思うわ。いくら相手が番だからって、私が嫌がっていたことくらい見て分かるでしょうに。
……ああ、でも考えてみれば。
先生は昔から恋愛事には興味が無くて、デリカシーが皆無だったわね。そんなところまでちっとも変わっていない。まあ、記憶が残っているのならそれも当然なのかしら。
それに、私は先生のそんなところも大好きだった。もちろん今もだけど。
……うふふ。そう考えると、そんな所まで愛しく思えてくるから不思議だわ。
一転して笑顔でゴキゲンになった私を見て、いつの間にか復活した先生が興味深そうにメモを取っている。……何かしら? 少し気になるわね……。
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