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2 付きまとう視線
しおりを挟むしかし、その視線はそのまま消えたりしなかった。
まるで俺の後を付いて回るように、どこにでもついてきた。
前とは別の彼女とデートをしても、やはり視線が付いて回る。何かを探るような、傷ついたような――そんな視線。
間違いない。俺は番に見つかったらしい。
嬉しい以上に煩わしい――そんな感覚がした。
……だって、そうだろ。
俺は見目の良さを利用して今まで遊んできたし、そんな俺に寄ってくるのは俺と同レベルのイイ女ばかりだ。
その日の気分で。アクセサリー感覚で相手を替えて、それなりにうまくやってきたのに。
番なんて出てきたら、相手がどんな顔をしていようがソイツ一人に執着されて終わりだろ? 冗談じゃない。
その視線はしつこいほどに俺に付きまとった――が、気にせず俺は遊び続けた。
正直、前ほど気持ちが乗らなくて、彼女達とのデートをつまらなく感じていたが、俺を監視してくる番への反発心からデートを続けた。
視線は相変わらず俺に付きまとっていたが、不思議なことに相手は俺の前に姿を現すことはしなかった。
感じるのは常に視線のみ。
俺の女遊びに怒っているからか?
それとも、愛する相手の前に出てこられないような見た目だからか?
どちらだとしてもいい加減にしてほしい。
一方的にこっちを見てきて、勝手に嫉妬してなんなんだよ!
コチラを見るだけで一向に姿を見せない番を無視し、俺は彼女達との逢瀬を楽しんだ――というよりは見せつけた。
そうすることで番からの視線に変化が起きるから。
探る視線が怒りの視線に。
そして、悲しみの視線になり。
力を失ったように逸らされる。
――でも、しばらくするとやっぱり探るように俺を見てくる。
遊ぶだけ遊んで。見せつけるだけ見せつけて。
そうしたら、段々俺を見つめる視線の俺への興味が薄れてきて――俺は慌てて彼女の一人と手を切った。
すると、少し期待に満ちたような視線を向けられた。
ホッとすると同時にドキドキした。
なっ、何だよ。まさか俺の番は、自分の為に別れたとか思ってんのか?
べ…別にそんなんじゃねーし!!
そうだ。いい加減、遊び回るのにも飽きただけだ。
彼女たちとは最初から本気ではなかったし、コレを機会に女関係を少し整理するのもいいだろう。
そう思った俺はいらない順に彼女を呼び出した。
そして――。
「悪いけど、番に見つかったみたいなんだ。番が見ているのでさようなら」
そう言って次々に別れを切り出した。
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