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番外編
4 もう一人のフェデルタは見ていた
しおりを挟む「いったい誰を連れ込んでいる!!」
「こ……公爵様!?」
いつも通り。侍女が他の仕事を終えて愛しい私の旦那様にマッサージをしてくれていた時のこと。何を思ったのか、侍女が動けない私の旦那様に口づけをしようとしたのだ。
まあ、今回は未遂だったし、怖い顔して入ってきた男の人の顔を見て大体の事情は察したけれど。
入ってきた男の人は私の旦那様にソックリだった。それで私は気付いたの。
あらヤダ、この子ったら心を込めて甲斐甲斐しく私の旦那様のお世話をしているうちに、自分の大事な人と私の旦那様を間違えたのね――って。
まったく! 自分の愛する人を見間違えるなんて、侍女ったらなんてドジなのかしら!!!!
確かにお顔はソックリだけど、侍女の大切な方と私の旦那様とは魔力の質がまったく違うのに。
なんてったって、私の旦那様は大・天・才! のお父様が認めて下さった唯一の、私にお似合いの旦那様ですからね。私は絶対に間違えたりなんてしないわよ。
まあ、でもこの侍女は不器用で魔力のことは何一つ解っていないみたいだから、仕方ないのかしら。
ああ、もちろん私はその辺ちゃんと解るわよ? 何てったって、私は大・天・才! 人形師であるファーレお父様の娘なんですからね!
『お前はボクの最高傑作! どこに出しても恥ずかしくない、ありふれたごく普通の娘だ!!』って何度もほめていただいたもの。
そんなお父様が言うんだから、私の唯一の旦那様はやっぱりお父様が創って下さったこの旦那様なのよ。思い出せない過去なんていっさい関係ないわ。
まあ、忘れている期間のことがきっかけにはなったかもしれないけれど、細かいことはほとんど覚えていないしね!
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