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21 束の間の幸せ
しおりを挟む私達が再び夫婦に戻る(?)ことを知ったシェリーと執事の二人は大喜びだった。
それからすぐに、私は人形だった頃に過ごした公爵夫人の部屋へと戻ったけれど、自分で動けるようになった私は部屋で大人しくしていることは出来なかった。
なので、自分の仕事の手が空くとそれまで同様、あちこちのお手伝いをして過ごしていた。
すぐ近くには公爵様が居て。夜は夫婦の寝室で共に眠る。
公爵様と私の分身は引き離すのが可哀想で、夫婦の寝室で私達を見守りながら穏やかに過ごしている。
呪いの進行を少しでも遅らせるために公爵様のマッサージをしたあと、公爵様の人形で練習をするのも今までと変わらない。マッサージの回数が限られている以上公爵様には何もできないし、何もできないままで過ごすのは耐えられなかったから。
私は公爵様本人にするのと同じくらい慎重に、そして丁寧に、人形を相手にマッサージをし続けた。
その間、私が人形に変なことをしないように、と公爵様が見守っていることがある。どうやらあの日、人形に口づけをしようとしたのを根に持っているみたいだ。
あれはあの時が初めてで、しかも未遂だったのに……。
公爵様は自分が仕事で居ないときは私の分身に私を見張らせた。何故か公爵様の時より圧を感じるのが不思議だった。
人形師のファーレが言っていた魂の宿る人形というのもあながち間違っていないのかもしれない。
なので、人形の公爵様へのマッサージは公爵様と私の分身、双方から誤解を招くことのないよう距離感には十分気を付けた。
人形相手に地道な練習を続けていたお陰かマッサージの効果も上がって、二人で領地へ行くことも出来た。もちろん、その時には分身の二人も一緒だ。
毎日毎日幸せだった。
でも、呪いには勝てなくて――――
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