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3 お飾り令嬢はメイドに虐げられる
しおりを挟むいつも、私の世話をしていたのは公爵様だ。朝まで共に過ごして、力の入らない私は恥ずかしいけど抱えられて入浴して、一緒に食事をして――食べさせてもらって。
そんな生活をしていたから、つい愛されているのだと勘違いをしてしまっていた。やはり、最初に思った通りだったのだ。
それからというもの公爵様がいないときには食事も出ないし、入浴もさせてもらえない。
頭がボーっとする。
もう動きたくない……というか動けない。
数日間公爵様が居ないときなどはぼんやりと考え事をして過ごすが、頭が働かない。どうしても嫌なことばかり考えてしまう。
メイドも言っていた。お飾りの私。
公爵様は今どこで誰と何をしているの?
ただでさえなかった食欲がそれでゼロになる。まあ、食事は出ないからそれで丁度いいけれど。
……今日で何日目だったかしら…………。
「ただいま! お土産があるんだ。キレイだろう? 待ってて、付けてあげるから。うん。思った通り君に良く似合うよ」
それから少しして、公爵様が泊りの仕事から帰ってきた。ニコニコと嬉しそうな公爵様から、公爵様の瞳と同じ色の宝石が付いたネックレスが贈られた。嬉しいけれど、素直に喜べない。
どうして――突然プレゼントを?
……本当に仕事だったのだろうか。
メイドに色々と言われ、疑心暗鬼になっている私。けれど、私からは聞けない。ふとした時に公爵様に見つからないように私を睨んでくるメイドが怖い。真実を知るのも怖い。
使用人からこんな目に遭っているのを知られて、
『このくらい一人で対処できないのか、情けない』
……と、公爵様に思われて嫌わるのが怖くて堪らない。
そんなある日の事。
ふとした拍子に『ソレ』に気付かれてしまった。
「……この傷はどうしたの?」
公爵様の目が鋭く光る。
公爵様の留守中、時々暴力も振るわれていたから、身体に少しだけ傷が出来ていたようだ。心の方がよっぽど痛くてそれどころではなかったから気にしていなかったけど。
異変に気が付いた公爵様から聞かれたが怖くて何も答えられない。
結局それ以上は追及をされず、再び公爵様に世話を焼かれる日々が始まった。表面上はいつも通りの生活に戻ったが、私の心のもやは晴れぬまま。
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