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7 第二王子は最強の助っ人を手に入れた
しおりを挟む「殿下! コチラへ! わたくしが踏み台になりますわ!!」
「キャ――♡ キャ――♡」
王宮の外。ようやく追い詰めたと思ったら公爵令嬢が両手を組んで足場を作り、二階の窓へと第二王子殿下を押し上げた。両手で顔を抑えたままひらりと窓から侵入し、直後に第二王子殿下が顔を隠しつつ公爵令嬢を片手で引っ張り上げて、二人そろって建物内へと消えた。
流石は完全無欠の第二王子殿下の婚約者。頭脳、身体能力、立ち居振る舞い、全てにおいて最高レベル。
今日も朝から追いかけてはいるものの、公爵令嬢という最高の味方を手に入れた第二王子殿下は頭脳と身体能力と公爵令嬢のサポートで二人三脚で私から逃げ続け、後をついていくのがやっとだった。
というか、実は既に何度も見失った。
その度に探索魔法で相手の位置を探り、意外と近場でこちらを窺っている第二王子とその姿を微笑ましそうに見守る公爵令嬢の姿を見つけ脱力した。
この魔法、結構魔力使うのに……!
既に今日の魔力は空。私の身体能力では魔法を使わずあの窓によじ登るのは不可能だ。
ってか、公爵令嬢どんな体力してんのよ! ドレスのまま一日中王子の手助けをしながら王宮中をピッタリと伴走し続け、手だけで第二王子の体重支えて二階の窓まで押し上げるとかどんな令嬢だ!! しかも、王子のサポートもあったとはいえ、一瞬で自分も同じ窓から中に入っちゃうし。
見上げれば、二階の窓から建物内に入り込んだ二人は既に三階へと移動して貴賓室から優雅にこちらを窺っているようだ。
ズルいっ、そこ身分差で入れないとこじゃん。
これもう、アレじゃん。息ぴったりじゃん。
お似合いなんだから、とっとと捕まってよ!!
毎日毎日毎日。
手に手を取って逃げていく婚約者コンビの仲良し逃亡劇に当てられ続け、精神と体力と魔力をゴリゴリ削られ、自分が何をしているのかすら分からなくなってきた頃。
「苦戦しているようだな。私が協力しようか」
そんな風に声をかけられた。
見上げた場所にあったのは。
私が追い続けている第二王子殿下とよく似た顔――でありながら、一切の感情が表に出ず何を考えているのかがまるで分からない無表情な顔。
第一王子殿下、その人だった。
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