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312 魅了堕ち幽閉王子のスケジュール
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王子の世界とこっちの世界。大まかな季節は共通しているみたいだけど、日付や曜日までが一緒かどうかまではよく分からない。なので、王子にはこっちの日付や曜日をしっかりと認識したうえでスケジュール管理をしてもらう必要がある。
そのためにも王子用のスケジュール手帳があれば、私から予定を聞いた時点でそこに書き込めるし今回みたいな行き違いも無くなると思うんだよね。
――で、それにあたって一つだけ大きな問題がある。
現在、こちらでの王子の活動可能範囲はアパート側の駅前までとなっている。王子用のスケジュール手帳を買うのは決めているのだけれど、できれば駅の向こう側にある100均のお店で購入したいわけですよ。
王子の活動可能範囲は私と王子との信頼度が深くかかわってくる。せっかく範囲がジワジワと広がりつつあったのに、今回の闇堕ちでどの程度王子から私への信頼度がマイナスになったのかが分からない。
それでいくと駅の反対側にある100均のお店は結構きわどいラインだから、最悪こっち側にある書店で少しお高いスケジュール手帳を買う覚悟はしているんだけど……できるだけお安く済ませたいじゃないですか。
だから! 王子には!!
もうちょい私を信頼することで、私のお財布に優しい買い物に協力をしてほしいわけですよ!!!
信頼度を少し上げるだけで1000円が100円になるんだから、節約的にもこれは大きい。
……ってなことを馬鹿正直に言ったら、王子からの信頼度が急降下しそうな気がするので。
「私を信じて!!」
……とだけ言って、残りの切実な事情は言葉にせずに目で訴えれば。
「わ……分かった」
王子にも私の熱意がしっかりと伝わったようで、顔を紅潮させながらブンブンと力強く頷いてくれた。
「ここが……貧乏な召喚主の生活を支えてくれているという100均か……!」
いや、王子ってば大声で何を言ってくれちゃっているんですかね。しかも、何か普通に言葉通じているし。
どうやら予想以上に王子からの信頼度は上がったようで、結果的に楽勝だった。しかも駅周辺はまだ少し不安定で日によっては言葉が怪しいこともあったのに流暢なもんですよ。
ってか、この分だとショッピングモール行けちゃいそうなんですけど……。
――いや! これは一時的なものかもしれないし、まだまだ危険!! そうでなくてもあそこには王子を魅了する物があり過ぎる。
既に、この100均の時点で王子のお目目がキラッキラに輝いちゃっていますしね。
いや、マジでさっきまでの死んだ魚のような目はどうしたのよ?
店内に入るなりあっちへフラフラこっちへフラフラ。
落ち着きのない王子様を両腕でガッチリと確保して、スケジュール手帳コーナーへと連行します。
「王子! あっちこっち見て回りたいのも解るけど、王子がうだうだ闇堕ちしていたせいで今日はもうあんまり時間がないんだから早く選んでよ。何の小細工もなしに遅刻したら流石にまずいでしょ」
「おっと、そうだった! うーん。ど・れ・に・し・よ・う・か・なぁー♪」
そうやって色とりどりの綺麗な手帳の中から王子が選んだのは……。
「え。この黒いやつ……? 他にも色々あるのに、こんなシンプルな手帳でいいの?」
かわいいキャラクターものやらオシャレなのやら、カラーバリエーションも豊かで選び放題なのに?
「ああ。だって、これには君からの召喚予定を書き込むからな。召喚主の髪と目の色にしたんだ」
と、王子様はにっこにこ。
ああ、なるほど。……ってか、それでいうとほとんどの人が黒になると思うけど。前召喚主の鈴木さんも同じだし。
「あ、そうだ。後期テストも終わったことだし、私も新学年に向けて新しい手帳を買おうかな。まだ用意してないんだよね」
「じゃあ召喚主はコレにするといい」
――と、王子が選んだのは薄い黄色。
「うーん……悪くないけど汚れちゃいそうよね。あ、こっちのピンクの可愛「じゃあ、青で」」
――と、次に王子が選んだのは濃い青。
王子の髪は青味がかった薄い金髪で、目はやたら透明感のある濃い青。
……もしかして、召喚予定を書くために自分が私の髪や目の色の手帳を選んだからって、私にも王子の髪や目の色の手帳を使わせようとしている?
私に王子の召喚予定を忘れさせないために? えぇー…。
「これなら汚れないと思うぞ(にこにこ)」
「……いや、でも手帳には王子の召喚予定だけじゃなく、普通に講義とかアルバイトの予定も書くつもり「青で」」
「わ、解った」
ま……まあ、濃い青なら確かに汚れないわよね、うん。
王子からの圧がスゴイし、ここで下手に機嫌を損ねてまた闇堕ち状態になったら面ど……大変だし。
うん! よく見たら、なかなかいい色なんじゃないかな!!
そんなこんなで予定通りにスケジュール手帳を購入し、アパートへ帰宅。色とりどりの綺麗なペンを使って王子が書いた今後一週間の王子の予定がコチラ。
幽閉・幽閉・幽閉・幽閉・幽閉・幽閉・幽閉
ああ……うん。色とりどりのペンを使って書かれているけど、こうして改めて見るとこれは闇堕ちしても仕方ないかな……。
私はもう少しだけ王子に優しくしようと深く反省した。
そのためにも王子用のスケジュール手帳があれば、私から予定を聞いた時点でそこに書き込めるし今回みたいな行き違いも無くなると思うんだよね。
――で、それにあたって一つだけ大きな問題がある。
現在、こちらでの王子の活動可能範囲はアパート側の駅前までとなっている。王子用のスケジュール手帳を買うのは決めているのだけれど、できれば駅の向こう側にある100均のお店で購入したいわけですよ。
王子の活動可能範囲は私と王子との信頼度が深くかかわってくる。せっかく範囲がジワジワと広がりつつあったのに、今回の闇堕ちでどの程度王子から私への信頼度がマイナスになったのかが分からない。
それでいくと駅の反対側にある100均のお店は結構きわどいラインだから、最悪こっち側にある書店で少しお高いスケジュール手帳を買う覚悟はしているんだけど……できるだけお安く済ませたいじゃないですか。
だから! 王子には!!
もうちょい私を信頼することで、私のお財布に優しい買い物に協力をしてほしいわけですよ!!!
信頼度を少し上げるだけで1000円が100円になるんだから、節約的にもこれは大きい。
……ってなことを馬鹿正直に言ったら、王子からの信頼度が急降下しそうな気がするので。
「私を信じて!!」
……とだけ言って、残りの切実な事情は言葉にせずに目で訴えれば。
「わ……分かった」
王子にも私の熱意がしっかりと伝わったようで、顔を紅潮させながらブンブンと力強く頷いてくれた。
「ここが……貧乏な召喚主の生活を支えてくれているという100均か……!」
いや、王子ってば大声で何を言ってくれちゃっているんですかね。しかも、何か普通に言葉通じているし。
どうやら予想以上に王子からの信頼度は上がったようで、結果的に楽勝だった。しかも駅周辺はまだ少し不安定で日によっては言葉が怪しいこともあったのに流暢なもんですよ。
ってか、この分だとショッピングモール行けちゃいそうなんですけど……。
――いや! これは一時的なものかもしれないし、まだまだ危険!! そうでなくてもあそこには王子を魅了する物があり過ぎる。
既に、この100均の時点で王子のお目目がキラッキラに輝いちゃっていますしね。
いや、マジでさっきまでの死んだ魚のような目はどうしたのよ?
店内に入るなりあっちへフラフラこっちへフラフラ。
落ち着きのない王子様を両腕でガッチリと確保して、スケジュール手帳コーナーへと連行します。
「王子! あっちこっち見て回りたいのも解るけど、王子がうだうだ闇堕ちしていたせいで今日はもうあんまり時間がないんだから早く選んでよ。何の小細工もなしに遅刻したら流石にまずいでしょ」
「おっと、そうだった! うーん。ど・れ・に・し・よ・う・か・なぁー♪」
そうやって色とりどりの綺麗な手帳の中から王子が選んだのは……。
「え。この黒いやつ……? 他にも色々あるのに、こんなシンプルな手帳でいいの?」
かわいいキャラクターものやらオシャレなのやら、カラーバリエーションも豊かで選び放題なのに?
「ああ。だって、これには君からの召喚予定を書き込むからな。召喚主の髪と目の色にしたんだ」
と、王子様はにっこにこ。
ああ、なるほど。……ってか、それでいうとほとんどの人が黒になると思うけど。前召喚主の鈴木さんも同じだし。
「あ、そうだ。後期テストも終わったことだし、私も新学年に向けて新しい手帳を買おうかな。まだ用意してないんだよね」
「じゃあ召喚主はコレにするといい」
――と、王子が選んだのは薄い黄色。
「うーん……悪くないけど汚れちゃいそうよね。あ、こっちのピンクの可愛「じゃあ、青で」」
――と、次に王子が選んだのは濃い青。
王子の髪は青味がかった薄い金髪で、目はやたら透明感のある濃い青。
……もしかして、召喚予定を書くために自分が私の髪や目の色の手帳を選んだからって、私にも王子の髪や目の色の手帳を使わせようとしている?
私に王子の召喚予定を忘れさせないために? えぇー…。
「これなら汚れないと思うぞ(にこにこ)」
「……いや、でも手帳には王子の召喚予定だけじゃなく、普通に講義とかアルバイトの予定も書くつもり「青で」」
「わ、解った」
ま……まあ、濃い青なら確かに汚れないわよね、うん。
王子からの圧がスゴイし、ここで下手に機嫌を損ねてまた闇堕ち状態になったら面ど……大変だし。
うん! よく見たら、なかなかいい色なんじゃないかな!!
そんなこんなで予定通りにスケジュール手帳を購入し、アパートへ帰宅。色とりどりの綺麗なペンを使って王子が書いた今後一週間の王子の予定がコチラ。
幽閉・幽閉・幽閉・幽閉・幽閉・幽閉・幽閉
ああ……うん。色とりどりのペンを使って書かれているけど、こうして改めて見るとこれは闇堕ちしても仕方ないかな……。
私はもう少しだけ王子に優しくしようと深く反省した。
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