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304 おうじの召喚にっき3(王子視点)

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 そして、そんな僕の夢は叶いました!

 対戦ゲームをやったのですが、10回やって2勝8敗です。
 その2勝だって、お兄さんがコーヒーにミルク入れたりお菓子を開けたりして手元がお留守になった結果の勝利です。

 ――本当にお強い!

 それでも僕はなかなか筋がいいそうです。召喚主相手だとお兄さんが10勝するそうですから。ちなみに召喚主相手なら僕は8勝2敗くらいです。

 ――本当に弱い!!
 お兄さんの言っていた通りですね。

 召喚主のお兄さんは予想以上にすごい人でした。縦にも横にも大きいですが、魔力量もすごいです。鈴木さんとは比べ物になりません。

 魔法は使えないみたいですが、器用に使いこなしている様子がうかがえます。徹夜でゲームをやってもいっさい疲れを引きずらないのはおそらくそのせいですね。

 無理が利くのは鈴木さんと同じですが、お兄さんの場合は回復能力もあるようです。素晴らしいです。鈴木さんの場合は命を削っているようなものなので、あまり褒められたことではないのです。

 その点、お兄さんとは安心して遊べます!!

 ぜひとも朝まででもご一緒したかったのですが、召喚主と鈴木さん二人がかりで追い返されてしまいました。あれ? そういえば、鈴木さんはどうして召喚主の部屋にいたのでしょうか。考えてみればそれもよく解りません。

 説明されたのかもしれませんが、あの日は3回目の召喚だったうえに、1回目の召喚でやった雪合戦や雪だるまへの魔法の付与で魔力を使い過ぎて、言葉が不鮮明になっていたのです。

 ちなみに言葉の理解度的には召喚主・お兄さん・鈴木さんの順でしょうか。全員バラバラです。多少の不具合は笑顔でカバーです。大変効果的だったと自負しています。

 初対面にもかかわらずお兄さんの言葉がそれなりに理解できたのは召喚主から話を聞いていたおかげで初対面という気がしなかったからでしょうか。あと、僕が尊敬する人だからです。鈴木さんは……忙しすぎて放置プレイが酷かったですし。

 どうして鈴木さんまであの場にいたのかはよく判りませんが、現召喚主と前召喚主が二人して構ってくれるのは嬉しかったです。けれど、召喚主から不穏な気配を感じたので大急ぎで退散しました。

 言葉は不鮮明でしたが、あれは過去に何度か言われたことがあるやつです。顔を見れば判ります。


 『二度と呼んであげない』


 ――――とか、それ系の……。


 あれから約一週間。僕は一度も召喚してもらっていません。
 怒っているのでしょうか。だから呼んでもらえないのでしょうか。

 もしかして――僕は、二度と召喚主に会えないのでしょうか……?




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