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294 3番目のお兄ちゃんと王子様
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「オ兄サンスゴイ! 強い!!(パァアアア…☆)」
「いやいや『オージ』だっけ? お前だってなかなかいい線いってるぞ。うちのルカなんて弱っちくて、まったく俺の相手にならないからな」
「召喚主※※※ゲーム弱い××」
「そうそう。乙女ゲーばっかやっているせいか、コイツやたら対戦ゲーム弱いんだよ」
「タイセンゲーム弱い」
……って、何で思いのほか馴染んでいるんですかね。しかも、何気に私がディスられてるんですけど……。
おでん(翌日召喚予定の腹黒さん用)をお兄ちゃん達の夕飯として提供した後、お兄ちゃんと王子は何故かご機嫌で対戦ゲームを始めた。
「妹のおでんとか……!」
と、何やら恍惚とした表情を浮かべて会話が成立しなくなった鈴木さんはこの際いいとして。
――どうやら。
あまり細かいことを気にしないうえコミュ力最強なお兄ちゃんは、王子が言う『異世界』を『外国』と、そして『王子』を『オージ(※名前)』だと勝手に脳内変換したらしい。
その上で王子の事は『自分とゲームする為にこの雪の中わざわざ会いに来た妹と同じ大学に通う留学生』だと理解したようだ。
いやまあ……大まかには合ってますけどね。対外的には留学生で通してますし。
「オ兄サン※ゲーム上手※□○召喚主※いつも言っていた。尊敬し※※」
「あっはっは。そうかそうか。お前、俺のこと尊敬しているのか。お前、素直でいいなあ。生意気で負けず嫌いなルカと違って」
ちょいちょい人の事ディスってくるお兄ちゃんがムカつくけど、いったいこの怒り……じゃなかった、この状況をどうしたらいいのか……。
「……何か、あの二人やたらと意気投合してないか?」
「あっ! 鈴木さんお帰りなさい。話しかけてもボーっとしているから心配しました!!」
「す……すまない。妹の手料理に感動して我を失った」
「いや、そんな大げさな……。本当は明日食べる予定で一晩じっくりと寝かせるつもりだったから、まだ味が染みてなくて仕上がりが微妙だったのに」
「いやいや、充分美味しかったよ! これでサービス残業半年はイケる……ってそれどころじゃないよな。アイツをどうにかしないと」
流石は出来る系社会人の鈴木さん。正気さえ取り戻せば状況の把握が早い。
サービス残業云々は聞き捨てならないが、とりあえず鈴木さんの言う通り、今はそれどころではない。これ以上面倒な事態になる前に、王子を異世界に送り返さなくては……。
でも、魔法陣の上で二人してゲームに夢中になっている状態で説得するも何もない。どうにかして二人を引き離さないと。
「お兄ちゃんに買い物を頼んでその隙に……はこの雪じゃ難しいかな」
「そうだな。アイツの性格を考えると、まず間違いなく俺に買い物を押し付けてくるはずだ」
「ええと……いつもお兄ちゃんが色々と押し付けているみたいで、すみません……」
何気なく発せられる鈴木さんの言葉からお兄ちゃんの日頃の行いが透けて見えてくる。流石に申し訳なくて、お兄ちゃんの代わりに謝った。
「い、いや、別にルカちゃんのせいでは……それより室内で引き離すとなると……。そうだな、飲み物でも大量に飲ませてトイレに行かせるとか……」
「!! そ・れ・だっ!!」
「いやいや『オージ』だっけ? お前だってなかなかいい線いってるぞ。うちのルカなんて弱っちくて、まったく俺の相手にならないからな」
「召喚主※※※ゲーム弱い××」
「そうそう。乙女ゲーばっかやっているせいか、コイツやたら対戦ゲーム弱いんだよ」
「タイセンゲーム弱い」
……って、何で思いのほか馴染んでいるんですかね。しかも、何気に私がディスられてるんですけど……。
おでん(翌日召喚予定の腹黒さん用)をお兄ちゃん達の夕飯として提供した後、お兄ちゃんと王子は何故かご機嫌で対戦ゲームを始めた。
「妹のおでんとか……!」
と、何やら恍惚とした表情を浮かべて会話が成立しなくなった鈴木さんはこの際いいとして。
――どうやら。
あまり細かいことを気にしないうえコミュ力最強なお兄ちゃんは、王子が言う『異世界』を『外国』と、そして『王子』を『オージ(※名前)』だと勝手に脳内変換したらしい。
その上で王子の事は『自分とゲームする為にこの雪の中わざわざ会いに来た妹と同じ大学に通う留学生』だと理解したようだ。
いやまあ……大まかには合ってますけどね。対外的には留学生で通してますし。
「オ兄サン※ゲーム上手※□○召喚主※いつも言っていた。尊敬し※※」
「あっはっは。そうかそうか。お前、俺のこと尊敬しているのか。お前、素直でいいなあ。生意気で負けず嫌いなルカと違って」
ちょいちょい人の事ディスってくるお兄ちゃんがムカつくけど、いったいこの怒り……じゃなかった、この状況をどうしたらいいのか……。
「……何か、あの二人やたらと意気投合してないか?」
「あっ! 鈴木さんお帰りなさい。話しかけてもボーっとしているから心配しました!!」
「す……すまない。妹の手料理に感動して我を失った」
「いや、そんな大げさな……。本当は明日食べる予定で一晩じっくりと寝かせるつもりだったから、まだ味が染みてなくて仕上がりが微妙だったのに」
「いやいや、充分美味しかったよ! これでサービス残業半年はイケる……ってそれどころじゃないよな。アイツをどうにかしないと」
流石は出来る系社会人の鈴木さん。正気さえ取り戻せば状況の把握が早い。
サービス残業云々は聞き捨てならないが、とりあえず鈴木さんの言う通り、今はそれどころではない。これ以上面倒な事態になる前に、王子を異世界に送り返さなくては……。
でも、魔法陣の上で二人してゲームに夢中になっている状態で説得するも何もない。どうにかして二人を引き離さないと。
「お兄ちゃんに買い物を頼んでその隙に……はこの雪じゃ難しいかな」
「そうだな。アイツの性格を考えると、まず間違いなく俺に買い物を押し付けてくるはずだ」
「ええと……いつもお兄ちゃんが色々と押し付けているみたいで、すみません……」
何気なく発せられる鈴木さんの言葉からお兄ちゃんの日頃の行いが透けて見えてくる。流石に申し訳なくて、お兄ちゃんの代わりに謝った。
「い、いや、別にルカちゃんのせいでは……それより室内で引き離すとなると……。そうだな、飲み物でも大量に飲ませてトイレに行かせるとか……」
「!! そ・れ・だっ!!」
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