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293 魅了堕ち幽閉王子はお兄ちゃんとゲームがしたい
しおりを挟む「――って、いやいやいや、さっき王子が言った『すぐ帰るから』って、そっち!?? まさか、うちに帰ってくるってことだったの!?」
「? 召喚主、言葉が……お兄さん※来る※※僕※一緒にゲームをしたい××、ちゃんと☆☆にバレない※※※塔△戻って小細工を☆☆して××こっち帰ってきた」
ああ、やっぱりか……! しかも、昼間の雪遊びで魔法の無駄遣いをしていた影響からか、何か中途半端翻訳になってるっぽい。
これじゃ、王子を言葉で説得して追い返すのに手間取るじゃないの! 何でこのタイミングで意思の疎通に問題が出るかなあ……最近はプラス・マイナス問わず王子との信頼度が上がっていたお陰で、召喚三回目でもそれなりに言葉が通じていたのに!!
「……お前な……、このタイミングでルカちゃんトコ来るとか少しは空気読めよ。…いや……? むしろ、しっかり空気を読んだうえで、考え得る限り最悪な選択肢を選んだのか? お前、うちでゲームをしているときも何故かバッドエンドばかり引き当てていたもんな。おい、悪魔。ルカちゃんに迷惑かけたらミニカーペットごと俺の家にお持ち帰りするからな?」
「※っ!? な、何で鈴木さん※ココ※!? 嫌だ、僕は鈴木さん※家※※帰らないぞ!」
「――――はっ!! ……もしかして、さっきルカちゃんが『使いこなしているみたい』って言っていたのは……。お前が勝手にこの全自動召喚機を使っていたのか!? ……何てことだ……!! 悪魔付きカーペットに続き、俺はなんてものをルカちゃんに譲ってしまったのか……!」
ああもう、ほらぁ! さっそく鈴木さんと王子が妙な言い合いを始めて収拾がつかなくなってる……! いや、そんなことよりも!!
「と、とにかく王子は早く塔に帰って!! ……じゃないとお兄ちゃんが」
「は……っ! そ、そうだ!! おい悪魔、早く帰れ! じゃないとアイツが」
「??? 僕※オ兄サンと一緒※ゲームする(ニコニコ)」
ああもう、言葉が通じない!
鈴木さんと共に説得を試みるがどこ吹く風……というか、二人がかりで構われているのが嬉しいのか、やたらご機嫌になっている王子様。王子と私達とのテンションの落差がスゴイ。
そして、こんな時に限って意外と空気を読んでくれるウチのお兄ちゃんは、私が警戒する壁ドン(怖い方)対策にサッとシャワーを済ませるから……。
「はー…サッパリ。ルカ、喉乾いたからコーヒー牛乳作ってくれ、うんと甘いやつな……って、誰だ? そのやたらキラキラした金髪男は……」
「!」
「!!」
「!!!!(ぱぁああ……)」
風呂上がり。気持ちよさそうにバスルームから出てきたお兄ちゃんが王子を見て、怪訝そうな顔をしている。
……終わった…………。
あ……、でも待って? 言葉が通じない中途半端翻訳の今なら、むしろワンチャン誤魔化しが利く可能性も…………!
「僕※異世界の王子※※。ゲーム上手なオ兄サン※、一緒にゲームしたくて異世界から※※※きました」
……って、何で一番誤魔化しが利かない『異世界』とか『王子』とかだけしっかりと言えちゃうかなあ……!!
しかも、メッチャ『僕・頑張りました!』って顔をして。
ああ……今度こそ終わった……。さようなら私の自由気ままな一人暮らし……。
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