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274 極秘情報と召喚主
しおりを挟む「……これは可愛らしいですね」
ゲーム画面を前に頬を染める腹黒さんに心底ほっとする私。
良かった……! 良かった、偽王子(腹黒)さんにもハマれるゲームが見つかって!!
落ちゲー好きの偽王子(猫耳)に将棋好きの偽王子(大)。そんな中、腹黒さんのゲームの好みだけは今までずっと謎だった。
まあ、それは仕方ない。腹黒さんは常にお疲れでこっち来るなり寝ていることが多かったですからね。
そうじゃなくても他の偽王子二人に比べて3D酔いが激しいから、そうなると最近のゲームは選択肢も狭まるし。
もしかしたらゲームとかハマれないタイプの人なのかも……とか思ったりもしましたが。
アレコレお試ししてもらった結果、見事腹黒さんの『好み』が判明いたしました!
何ていうか、そう、色んな意味で!!
……いやー、まさかあの腹黒さんが数あるゲームの中から、
『ギャルゲー』
――――を、選ぶとは!
やたら腹黒さばかりが目立っていて、せっかくの眼鏡なのに珍しく苦手に思っていましたが、正直これで一気に彼への親近感が湧いてきましたね。
ゲームに好みの異性を求めるという意味では乙女ゲーもギャルゲーも一緒。いやー、腹黒さんもなかなかお目が高い!!
そして目の下真っ黒にしながらもお昼寝もせずにゲームにハマり込んでいる姿はまさに王子そのもの。乙女ゲーとギャルゲーの違いはあるけれど、やっぱこの人が一番本物の王子に近い。
流石は偽王子界のラスボス腹黒さん。ここにきて見事、偽者としての完成度をあげてきましたね。年齢不詳なところだけは本当にどうしようもないけれど。
「……しっかりと聞こえていますからね?」
(…おっと。腹黒さんは眼鏡がお似合いです。
眼鏡がお似合いです。眼鏡がお似合いです。
眼鏡がお似合いです。眼鏡がお似合いです。
眼鏡がお似合いです。眼鏡がお似合いです。
眼鏡がお似合いです。眼鏡がお似合いです。
眼鏡が……)
「…………(かああぁ…////)」
(――よし!)
思考が読まれちゃう問題についても効果的な対処法を編み出しました。根本的な解決にはならないけれど、私が人生において何より最優先にしていることで頭をいっぱいにしてしまえば、とりあえず誤魔化せるって言うね、ええ。
ああ、腹黒さんが眼鏡イケメンで良かった! いくらだって眼鏡に夢中になれるもの。年齢不詳だけど!!
そんなこんなで休王子召喚日の二日間。
めいっぱいギャルゲーを楽しみ、目の下のクマを更に育てながらもどうにかこうにかお目当てのキャラのエンディングにまでたどり着いた腹黒さん。
やったね! ネタとしか思えないあり得ない選択肢ばっか選ぶから、ふざけているのか、もしや空気読めないタイプかと危惧したけれど、無事にハッピーエンドをつかみ取ったようだ。
良かった……ゲームにハマり込んだはいいけれど、バッドエンド引いて八つ当たりにサクッとされたら嫌だもの。
なんかこの人、笑顔で止め刺してきそうだし。
そんな彼が楽しそうにゲームする姿を後ろで見ていて気が付いた。
攻略対象・対象外にかかわらず、個性あふれるたくさんの魅力的なキャラクターがいる中で。腹黒さんが興味を示す人物にはある特徴というか共通点があったのだ。
私で言うところの『眼鏡』みたいな? たぶんこれが腹黒さんの好きな女性のタイプなのだろうと思うけど。
金髪で。
胸が大きくて。
ちょっぴり気の強そうな。
いわゆる悪役令嬢系というかよくいるタイプではあるんだけど、何かこの感じ、どこかで見たことあるような……??
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