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272 召喚主のターン

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 体を張って盾となり、その神々しい光でガチギレしている腹黒さんから私を守ってくれた精霊さん達。

 けれど、途中で飽きてしまったようで、私を見捨ててどこかに消えてしまった。もしかしたら王子のいる異世界へと帰ってしまったのかもしれない。


 助かったしありがたいけど、危機的状況は何一つ解決していない。むしろ腹黒さんのガチギレ要素が追加されただけのような気もする。


 ――精霊さん達いい仕事するけど、ほんっっと、そこまで頼りには出来ないな!!


「ふ……クッ…ふふ…ふ……ハハハハ……ッ」


 私が心の中で消えた精霊さん達に渾身のツッコミ入れた後。
 突然、偽王子(腹黒)がやけくそ気味に乾いた笑い声をあげたと思ったら。


「――興が削がれました。さて、召喚主さん。貴女はそんなところで壁に張り付いていったい何をしているのですか? 王子をもてなすためにわざわざ召喚なさったのでしょう。見てお分かりになりませんかね。御覧の通りわたくしは『王子』ですよ?」

「――あ。ハ、ハイッ! いらっしゃい、(偽)王子! …あの、ええと、ではこちらのコーラ…………ではなくて、こちらのエナジードリンクをどうぞ! 徹夜明けに元気が出ますよ!!」


 どうやら精霊さん達のお陰で私の命は首の皮一枚繋がったようだ。シングルのお徳用トイレットペーパー位の、うっすい首の皮ではあるけれど。

 ……そして今更ではあるが、どうやら腹黒さんは今日も王子のフリを続けるらしい。


 相変わらず本物の王子に寄せる気がいっさいないうえ、召喚回数が他の二名より少ないせいでイマイチ好みがつかめない腹黒さんではあるけれど。


 ――――それはそれ、コレはコレ。


 興が乗ったくらいでサクッと消されたのではたまらないので、ここは彼を呼び出してしまった召喚主として。
 自分のプライドと命を懸けて、偽王子(腹黒)のゴキゲンをとるために全力のおもてなしをさせていただきますよ!




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