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243 過去のアレコレ
しおりを挟む「☆☆☆※☆☆※☆※※っ※※※! △△☆※※☆☆☆○○△△※※…………凄い。ミルクティーは大好きだが、こんなの初めてだ。甘くて美味しい! 食感が面白い! 豆腐でもない、ゼリーでもない、何だコレは! あはは、何だこのストロー、太い」
お手手繋いでタピオカ飲みながら帰っている途中、翻訳魔法発動圏内に入りお互いの言葉が通じるようになると、ようやく王子のマシンガントークが聞き取れた。
いや、王子ってば豆腐を知っているのか? もしかして異世界にも存在する……? 食堂のメニューにシャケお握りもあるらしいし、あり得るかも……と思い質問すると、豆腐は前の召喚主の鈴木さんに教わったらしい。
まだ王子が鈴木さんに召喚されていた頃。
鈴木さんが料理中に『悪いがそこの机の上に置いてある買い物袋に豆腐が入っているから取ってくれ』と、王子にちょっとしたお手伝いを頼んできたそうだ。
でも、王子はゲーム中だったんで、手が離せなくて袋ごと適当に投げたら、鈴木さんが受け取り損ねて中の豆腐がぐしゃぐしゃに……って、久しぶりに王子の前召喚主へのやらかし暴露がきましたね。過去の王子は安定のダメっぷり。
もう、王子ってばどれだけ鈴木さんに迷惑かけていたんだか……いや、でもそうなると『マイナス方向の信頼度』も結構上がったんじゃないの?
え? 鈴木さんは根気強くて、『話せばきっと通じるはず』って何だかんだ心の中では王子を信じてくれていたからそっち方向はあまり……って、鈴木さんやっぱいい人。
……そして、だからこそ不憫………………。
ン? え~と、なに、なに? 『崩れた豆腐の味噌汁も味が染みて美味しい』と鈴木さんは言っていた(エッヘン!) ――って、いやいや。
そこで王子が胸を張る気持ちは解かりませんね。発見の功労者的な気分なのだろうか? いやいや、「……あ…………♡」じゃなくってさ……。また範囲……あー、もういいや。
…………やっぱ王子がここまでこっちに馴染めたのってどう考えても鈴木さんのお陰だよなあ……。王子をここまで育て上げるのにどれだけの辛苦を舐めたのか。
今度『頑張ったね、お兄ちゃん』って言ってあげようかな。あの人、妹属性強いというか、度を超えた妹(架空)好きだからきっと喜ぶよね。私に『お兄ちゃん』とか遠回しに言わせようとしてくるし。
……でも、なんか鈴木さんにソレ言うのに抵抗あるんだよなぁ……。
まあ、本来他人なんだから当たり前か。鈴木さんが勝手に私を『心の妹』扱いしているだけで。まあ、私には実の兄が三人もいますしね。
「………………(チラッチラッ)」
おや? 黒糖タピオカ抹茶ミルクを楽しみながら考え事をしていると、王子が熱い視線でこちらを見ていますね。
私……じゃなくて。
私の『黒糖タピオカ抹茶ミルク』を。
…コレは…………。
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