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237 食いしん坊王子。
しおりを挟む「そういや、こんな時間に呼び出しても大丈夫なの?」
翌日。とりあえず約束通り王子を呼び出して、興味津々、期待値MAXでにっこにっこの王子様とコーヒーショップに向かったのはいいけれど。
いつもと違う時間帯の突然の召喚。昨日の今日で時間的な余裕もなかったし、王子はいったいどうやって不在を誤魔化したのだろうか?
どうしてもその辺のことが心配になってくる。
「ん? ああ。僕は真面目だし、幽閉中の王子としては極々模範的だからね。最近、少しごねればある程度融通が利くことに気が付いた。今日も、『ちょっと調べ物がしたいからお昼まで一人になりたいな~』と朝食の時に言っておいたから大丈夫。これくらいなら、しばらく食事に野菜が増える程度の変化しかないよ」
「そ……そう。ならいいけど」
……幽閉中の王子として模範的って何だろう。
少なくとも監視の目を盗んで異世界来て遊んだり地下のダンジョン潜って冒険したりは違う気がするんですが。
この王子勝手に元住んでた城に忍び込んだりしやがるし。しかも、王子の嫌いな野菜が増えるって絶対に監視の人にバレてるし。
あと、ごねるな。
……まあ、あれかな。余計なことするくらいなら異世界行って遊んどけってところかな。
……だろうなあ…………。
じゃなきゃ朝食の席で軽く伝えたくらいで……ってあれ? 『朝食の席』??
「王子、朝食食べたの? これからモーニング食べに行くのに? え。大丈夫??」
「もちろん! いつもと違い過ぎる行動を取って怪しまれても困るからな。しっかりと食べたぞ。ただし、お代わりはしていない!! いつも通りの行動と特殊な行動の両立。難しいがその辺のバランスは常に考えている。一応今日は昼食も軽めにするつもりだ」
……しかも帰ったあと昼食まで食べるんですね。
全ては計算の上…みたいなドヤ顔しているけど、やっていることはただの食いしん坊王子。
これはあれだ。午後は強制的にお散歩に連れ出すの決定だな。リード付けてでも運動させなきゃ絶対に太るわ、この王子。
あと、王子が食べ過ぎないように、しばらくは召喚時のおやつもお野菜風味のものに変更を……って、ああ……だから塔の食事に王子の嫌いなお野菜が増えるのか。
さすがは腹黒さん率いる王家の影こと偽王子軍団。幽閉する側もプロなんですね。王子に対する嫌がらせと実利の両立。お見事です。
そうこうしている間に無事コーヒーショップに着きました。
あー相変わらずお洒落だなー…。
ちょっぴり敷居が高いなー…。
注文方式判るかな? 知らないメニューばかりだったらどうしよう……などと昨日から若干緊張していたのは事実だけど、楽しみにしている王子が一緒なんだから怖気づいては居られない。ここは勇気を出して……。
「おーい、召喚主! ここで注文してそっちで商品を受け取るそうだ。どうしようかなー前の人はコレだったなー。でも僕はこれかなー。こっちもいいなー。なあ、なあ、君はどれにするんだ?」
……などと、考え込んでいる間に物怖じしない系王子はとっとと店の人に聞いたみたいです。行動速いな。
「じゃあ、私はこっちのハムチーズサンド、ホットで」
遅ればせながらレジへと並びサクッと注文。
お昼はうどん、しょっぱい系のパンならハムチーズ。日頃から大体食べるものは決まっているのでこういう決断は早いです。
行動は早いが決断は遅い王子様。後ろに人が居ないのをいいことに、あっちがいいかこっちがいいか、散々悩んだ結果、王子は卵サンドを選んでいた。
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