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232 お遊びはここまでだ!!
しおりを挟む形はどうあれ、私との信頼関係が深まったのが嬉しいらしい。王子様はすっかりご機嫌だ。まぁ、その分コチラで活動できる範囲が広がりますからね……。
王子は満面の笑みで、
「召喚主との信頼関係が深まった記念に、城へと通じる隠し扉の横に看板を付けよう!」
とか言って、ゲームのコントローラーを手にしている。
――って、ああっ!? いつの間に!?!?
これ以上の機密漏洩はさせるものか……と、ついさっき王子からとりあげたのに!!
――どうやら。私が王子の数々の所業に脱力している間にコントローラーを取り戻したらしい。既に王子の宣言通り記念看板は設置され、城への隠し扉の位置は更に判りやすくなっている。ご丁寧に機密漏洩日の日付まで記入して。
いや、もう、機密も何もあったもんじゃないでしょう、コレ。遊園地の観光案内バリに分かりやすいとか、侵入者が見たら、逆に罠かと疑うレベルだよ。
こんなの偽王子(腹黒)が見たら何て言うか。そして何をされるか。
考えるだけでもオソロシイ……。
………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………。
――――って、よし! 考えるのやーめた!!
大体、今はそれどころじゃないしね。私は眼鏡効果で知的に微笑む王子を見る。
眼鏡、お似合いですよ。
眼鏡、お似合いですけども。
眼鏡、つい見ちゃうけど、そ・れ・よ・り・も!!
無理やり王子の眼鏡から視線を引きはがし、目の前の緊急事態に思考を切り替える。
テンションMAXの王子の手にはコントローラー。
そして、クラフト系ゲーム内王子の前には城への隠し扉。
不法侵入・ダメ・絶対!!
今までの情報駄々洩れは言わば前哨戦。隠しルートとはいえ、『城への行き方』なんて、字面だけ見たら観光案内みたいなものだしね。
……だけれども、ここからは違う。国の中枢。本丸。
全ての機密が集まる、絶対的に何を犠牲にしてでも守らねばならない、高貴なる王族が住まう場所(※塔住みの魅了堕ち幽閉王子は除く)。
いいでしょう。ここまでは諦めます。でも、ここからは洒落にならない。この先の重要情報は徹底的に拒絶しなくては。
たとえ王子がいつもの調子でサクッと強行しようとも。
このパンドラの箱とも言える城への隠し扉だけは、絶対に開けさせてはならない――。
――と、私が決死の覚悟を決めた、その時。
「さて。見せて面白いのはここまでか。付き合ってもらって悪かったな」
……とか、王子が言い出した。
…………………………は!?
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