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158 幽閉中の塔の地下ダンジョンを攻略したよ!
しおりを挟む「ほーら、ココ! 前にも案内したけど、幽閉中の塔のココの地下倉庫の壁の崩れがダンジョンに通じているんだ。しょっちゅう瘴気が入り込んできて、それが濃くなると人間は死ぬから普段は封印魔法のかかった絵で塞いであるんだよ。でもなー瘴気の影響を受けるから絵の顔がどんどん怖くなるんだよなぁ。まあ、最近は瘴気が薄まったので穏やかな顔をしているけど。ソレのお陰で危険度が分かるから僕も助かっているんだ。利用しているようで絵に取り憑いているモノには悪いけどね。歴代の王族も妙なものをコレクションしているよね。――で、絵をどかしてダンジョンに入ってからこの辺りまでは例えリセットされても構造は変わらないんだけど、この辺で何故か子供の声がするんだよ。でも、それ聞いちゃうと同じところをグルグルと迷って死んじゃうから無視するか食べ物を供えるんだ。そうすると何故かモゴモゴ音がして声が消えるからその隙に通り抜けることができる。まあ、僕は考え事に没頭していると周囲の雑音なんて聞こえなくなるから大概無視しちゃうけどね。ちなみに今回は完全防音の耳栓があったからソレを使った。まあ、この先はリセットボタンの影響をもろに受けるから、考え事をしているとリアルに迷うことはあるけどね。実際、耳栓しながら考え事をしていて今回もちょっと迷ったし。でもそれは時間をかければ進めるから大丈夫。んで、こっち行って、ココ進んで、長い迷路を進むとココに魔物部屋。ああ、復活していた魔物は倒しておいたから大丈夫。夕食の時間になっちゃったから戦闘の途中で帰ってご飯にしたんだけど、翌日行ったらみんなメッチャ怒ってたな。手負い状態って怖いよね。そんでボス戦が終わるとまた迷路で詳細はこんな感じ。こっちの通路は行くだけ無駄ってこと。一見行き止まりに見えるけどこのルートが正解。ココに罠があって、ココに沼があって、だらだら進んで現在はこの位置に竜族の禁書庫があるけど、日記帳の場所が変わってた。いつもは左から四番目の本棚の、上から二番目の本の裏側に隠されてるんだけど、今回は鍵付きの隠し書棚の中に入っていたんだ。番号はなんだっけな。忘れるといけないから、入ってすぐのここの本に書いておいたから、もし行くことがあれば見るといい。三種類あるけど、どれかで開くよ。まあ、日記帳に書いてあるのは王国史に対するツッコミと王族への恨みつらみや番に対する愛のポエムくらいだけど。多分、半覚醒状態で寝ぼけて書いていたんじゃないかな。たまに更新されていたし、今回みたいに隠し場所が変わることも多かったんだよね。まあ、隠し場所のバリエーションは少ないけど。ココかココかココだもの。ああ、過去の日記はこの位置ね。そうそう、愛のポエムは中々独特で面白いから過去分含めて読んで損はないと思う。幽閉生活の暇つぶしには最適だった。それで禁書庫には必ずショートカット用の魔法陣が設置されていて、竜の寝床の手前の階層までは行けるんだ。まあ、禁書庫がどこに移動するかはリセット後の運しだいだけど、今回は割と塔に近い階層にあるから当たりだと思う。蓄積された魔力量にもよるけど中ボスくらいまでは復活することもあるし、割と危険な階層もあるからさ。階層を越えてそれらが出てくることはないから安心だけど、ココとココにはショートカットに見せかけた危険な階層への転送魔法陣があるから気を付けて。そこは流石に僕でもウッカリすると死んじゃうし。でもなー。危険は危険だけど、大陸を揺るがしかねない秘宝中の秘宝を収めた宝箱も復活するから悩みどころだよね。まー、それもこれもリセットボタンのからくりに気付いて初めて分かったことだけど。今から思えば魔法陣の材料も大半はここで仕入れたんだよ。何回死にかけたか。数回は気を失ってもうダメだって思ったけど、気が付いたら部屋に戻って寝ていたことがあったな。あれだけは不思議だった。確かめに戻りたかったけど最後に気を失ってからしばらく嫌がらせのように食事に嫌いな野菜が続いたから食が進まなくてそのあたりで懲りて探索するのをやめたんだっけ。まあ、採取できるアイテムも被ってきてたし、戦利品を置く場所にも困っていたから丁度良かったけど。ああ、余った秘宝は裏の王国史を納めた隠し書庫に隠してある。あっちが隠してる隠し書庫にこっちも隠してるなんて塔の管理者も思ってもみないだろうからね。地下倉庫に何気なく置かれた王家の秘宝と一緒にしても良かったんだけど、アレ、魔力で発動しちゃうからなあ。しかも結構危ないんだけどなあ。あんな目立つところに置いておいていいのかな? 危ないから僕は触らないようにしてるけど、そこそこの魔力でも動いちゃうから本当はまずいんだよ。まあ、その点、隠し書庫は魔力漏れ対策がしてあるから安心だし。ホラ、ダンジョンで獲れる秘宝って、危険度で言えばそれより更にまずいヤツだから」
ダンジョンは構造が変わるから完全なマッピングが難しい――とか言っていたから安心していたのに。
王子から語られる詳細な情報とクラフト系ゲームで再現されたリアルな3D画像に戦慄を覚える。
どうやら、竜がリセットボタンに代わる新しい枕を手に入れたことにより状況が変化したらしい。
竜は新しい枕をかなり気に入っているので、よっぽどのことがない限りリセットボタンの出番はもうないだろう――ということで、再調査の結果をゲームに反映したそうだ。
……そういう大事なことは先に言って欲しかった。そうしたら目を閉じて全力で耳を塞いだのに。
いや、もう本当に勘弁してほしい。
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