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150 竜をダメにする枕
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召喚を再開してすぐのこと。私は王子に色々聞かされた。
なんでも。幽閉中の塔の地下ダンジョンに封印されていた竜が、ダンジョンのリセットボタンを枕にしているせいで攻略に支障が出ているらしい。
……なんだそれ。とは思ったが、起きたら国が滅亡と言われていた闇堕ち竜が既に起きていたとか、竜がスポーツドリンクとクマちゃんを気に入ったおかげで滅ぼされないで済んだとか、その他の王子からの報告の方がとんでもなさ過ぎてツッコミ損ねた。
いや、滅亡覚悟でヌイグルミを守ってくれたのは嬉しいけどさ、クマちゃん一つで国が助かるならあげちゃえばいいのに。
別にそのくらいで怒らないわよ――と言ったけど、関係ないクマちゃんを巻き込むわけにはいかないと、そこは頑として譲らなかった。
変なところで生真面目だから、この王子。
不思議なことに、いつもより王子の説明は短かった。言いづらそうにしているところが多すぎて、竜がなんでクマちゃんにそこまで執着しているのか全く分からなかったし。
でも、まあ。一年以上も私の安眠を守ってくれたクマちゃんの抱き心地は素晴らしいし、それは私も保証するし、王子もやたら気に入っている。
しかも、思い返してみれば、先輩までなんかクマちゃんの話題に食いついていた。
やっぱ、あれか。クマちゃんの可愛さは万国共通。世界線と種族を越えて、異世界の竜までをも魅了してしまう――ということか。
凄いね、クマちゃん。結果的に王子の国を救ってくれたらしいクマちゃんの頭をよしよしと撫でてやる。ホラー映画鑑賞中はずっと私の腕の中に居たので立派な映画仲間でもある。
あ、そういう訳でクマちゃんは無事に王子から返却されております。なんか、王子はたまーにあっちに連れて行きたいらしいけど。別にそれは自由にしてくれて構わない。汚れないように保護魔法をかけてくれたらしいし。頼む手間が省けて良かったです。
そうして国の滅亡を回避したのはいいけれど、例のリセットボタン問題で、竜の寝床より先に進めなくて困っていると聞かされた。まずは、リセットボタンに代わる枕が必要なのだそうだ。それも、竜が気に入ってくれるようなヤツ。
大きさ。形状。それを聞いて結構な大きさが必要な事が分かった。
……でもさ、いくら竜が頑丈だからってリセットボタンとか、枕にするには固くない? 流石にもうちょっと素材にはこだわった方が眠りだって深くなると思う――そんなことを考えているうちに、私はちょうどいいモノがあるのに気が付いた。
王子召喚の際、私が使っているクッション。
そう――ビーズクッション(小)だ。
体全体を預けるには少し小さくて、大きいのを買い直したわけだけど、竜の枕にするにはこのビーズクッション(小)くらいが丁度いい大きさなのではないだろうか。
なんでも。幽閉中の塔の地下ダンジョンに封印されていた竜が、ダンジョンのリセットボタンを枕にしているせいで攻略に支障が出ているらしい。
……なんだそれ。とは思ったが、起きたら国が滅亡と言われていた闇堕ち竜が既に起きていたとか、竜がスポーツドリンクとクマちゃんを気に入ったおかげで滅ぼされないで済んだとか、その他の王子からの報告の方がとんでもなさ過ぎてツッコミ損ねた。
いや、滅亡覚悟でヌイグルミを守ってくれたのは嬉しいけどさ、クマちゃん一つで国が助かるならあげちゃえばいいのに。
別にそのくらいで怒らないわよ――と言ったけど、関係ないクマちゃんを巻き込むわけにはいかないと、そこは頑として譲らなかった。
変なところで生真面目だから、この王子。
不思議なことに、いつもより王子の説明は短かった。言いづらそうにしているところが多すぎて、竜がなんでクマちゃんにそこまで執着しているのか全く分からなかったし。
でも、まあ。一年以上も私の安眠を守ってくれたクマちゃんの抱き心地は素晴らしいし、それは私も保証するし、王子もやたら気に入っている。
しかも、思い返してみれば、先輩までなんかクマちゃんの話題に食いついていた。
やっぱ、あれか。クマちゃんの可愛さは万国共通。世界線と種族を越えて、異世界の竜までをも魅了してしまう――ということか。
凄いね、クマちゃん。結果的に王子の国を救ってくれたらしいクマちゃんの頭をよしよしと撫でてやる。ホラー映画鑑賞中はずっと私の腕の中に居たので立派な映画仲間でもある。
あ、そういう訳でクマちゃんは無事に王子から返却されております。なんか、王子はたまーにあっちに連れて行きたいらしいけど。別にそれは自由にしてくれて構わない。汚れないように保護魔法をかけてくれたらしいし。頼む手間が省けて良かったです。
そうして国の滅亡を回避したのはいいけれど、例のリセットボタン問題で、竜の寝床より先に進めなくて困っていると聞かされた。まずは、リセットボタンに代わる枕が必要なのだそうだ。それも、竜が気に入ってくれるようなヤツ。
大きさ。形状。それを聞いて結構な大きさが必要な事が分かった。
……でもさ、いくら竜が頑丈だからってリセットボタンとか、枕にするには固くない? 流石にもうちょっと素材にはこだわった方が眠りだって深くなると思う――そんなことを考えているうちに、私はちょうどいいモノがあるのに気が付いた。
王子召喚の際、私が使っているクッション。
そう――ビーズクッション(小)だ。
体全体を預けるには少し小さくて、大きいのを買い直したわけだけど、竜の枕にするにはこのビーズクッション(小)くらいが丁度いい大きさなのではないだろうか。
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