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135 検証! 先輩のローブ

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「ルル、るるるる、ルカ……!?」

 先輩の、上ずるような声が聞こえる。びっくりさせたのなら申し訳ない。でも、さっきは私がビックリさせられたのだからコレでおあいこだと思う。

 それに、私はそれどころじゃなかった。


「……これは!!」


 ローブの中は快適だった。

 見た目はこんなに暑っ苦しいのに、ローブ内はまるでクーラーでも効いているかのようなひんやりとした快適空間。しかも、すぐ目の前に先輩の体があるというのにビックリするぐらいほぼ無臭。汗臭さを感じない。この炎天下、多少涼しくたって、お兄ちゃん達なら大汗をかいているだろう筈なのに。

 まるで。人が存在している痕跡がないようなソレに多少戸惑いはするけれど、日頃から眼鏡に曇り一つない先輩は見るからにキレイ好きだし、そのせいだろう。

 それに、いよいよ気を付けて集中してみれば、ごく僅かに香る清涼感のある眼鏡のクリーナーの匂いがちゃんと先輩を感じさせる。

 しかし――こんな不思議なことってあるのだろうか。


「先輩! なんか、この中涼しいんですけど!? あと、空気が爽やかな気がします」
「あ……あああ、それはローブに冷暖房機能が付いているから。あの……あと、防臭と空気清浄機能も――。だから汗臭くないよな、大丈夫だよな……ううう、ろ…ローブ内に声が響く……」


 何やらブツブツ言っていたが大事なところは聞き取れた。

「冷暖房!? ――それで外気温と違うわけですね。先輩が年中、平然とこのローブを着こなしている理由が分かりました!」


 そういえば、昔、よく行くスーパーの駐車場係さんが夏でも長袖だったから暑くないのかと思って聞いてみたら、扇風機がついているから大丈夫とか言っていたっけ。

 そんな感じで何か細工があるのだろう。見た目には分からないし、どういう仕組みなのかは想像もつかないけれど、効果は絶大のようだ。先輩はバイトをしなくても余裕なくらい家が裕福だし、最新技術的な何かなのだろう。
 しかも、防臭とか空気清浄機能がどうとかも言っていたし、思っていた以上にこの黒いローブは高機能らしい。

 空気も澄んでいるし、一度涼んでしまうとちょっと出たくないくらいの快適さだった。


 とはいえ、お腹も空いたしこのままくつろいでもいられない。とりあえずからくりが分かって満足したので先輩のローブから出てみれば、さっきまで涼し気だった先輩の顔が真っ赤になって大汗をかいていた。

 そうか。いくらローブ内が快適な温度でも顔は外気温に晒されている。謎技術満載の高機能ローブも完璧ではないようだ。




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