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117 眠る召喚主と幽閉王子(王子視点)
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でもまあ、そういうドキドキにも慣れるよね!
最初こそ心を落ち着けようとゲームに没頭していたが、そのうちにゲームの方に夢中になった。
だって、僕が努力したのはこのためだ。3D酔いに苦しむことなく、思う存分ゲームをするため。楽しくないはずがない。
感動した海辺の風景も。リゾート気分を味わえる離宮も。彼女に見せたいと思ったものは余すところなくゲーム内に再現をしていく。
驚くかな、喜ぶかな、いつものように焦るかな。
そんなことを考えながら。
――で、あっという間に時間が過ぎて。気が付けば日付が替わる10分前。
眼鏡の魅了効果だろうか。ゲームへの集中力が増している気がする。本当はまだ帰りたくない。なんなら一晩中隣でゲームをやって、早朝バイトの為に起きる召喚主に朝の挨拶をしてから帰りたいくらいだけれども――。
一日に回復する魔力の総量は決まっている。翌日分を使い込んでしまえば、翌日の三回召喚が厳しくなる。なので、続けるには0時前に帰る必要があるのだ。
僕を信頼し、穏やかな寝息を立てている召喚主を見守りながらやる大好きなゲーム。
実は――イヤホンをつけてはいるが、途中からゲームの音は切っている。だから、聞こえてくるのは召喚主の寝息と、かすかな寝言。
だって、こんな機会は滅多にないし。夜遅く。人のいる部屋で、しかも信用している人の生命反応を確認しつつのゲームとか。
幸せ過ぎて癖になりそうだ。
生命反応を感じない、冷たく固い、隔絶された塔での生活。穏やかではあるけれど、生命力を感じることもない塔での暮らしではこの温かさは絶対に手に入らないものだ。
……地下のダンジョンに封印されている竜の気配がたまに瘴気となって流れてくるけれど、アレはどちらかというと禍々しいし。
それと比べて召喚主の気配の穏やかなこと。
大事にしたいなあ、忘れたくないなあ。
召喚主を見ながらそう思った時には記憶魔法が発動していた。
慌てて切る僕。危ない。こんな状況で記憶魔法を使ったらまた強制召喚終了だ。さっき増えた信頼関係分の魔力節約がなかったらこの一瞬でも危なかった。
ってか、女性の寝姿を盗撮とか人としてダメな気もする。
でも、消すにも魔力を使うし、写真一枚分だからこれくらいは仕方がないよね。わざとじゃないし。僕はあとでこっそりと頭の中の秘密のフォルダーに収納することを決意した。
僕の宝物が増えていく。
こんな機会はそうそうない。ならば、多少の我慢をしてでも目いっぱい、ゲームと共にこの幸せな状況を楽しみたい。あとちょっと。もう少しだけ。日付が替わる前に帰れば、明日もこの状況を迎えられるはず。
そう思った僕は帰る直前になって、電気の消し忘れに気が付いた。まずい、彼女から頼まれていたのに。このままでは召喚主との信頼関係が電気代という形で損なわれてしまう。
慌てて消灯して、塔へと帰ったのは日付の替わる僅か20秒前。
この反省を活かし、翌日からは一分前に帰ることにした。
今日の3倍は余裕を持たせたわけだし、これで問題はないはず…………だよな? うん。問題ない!
最初こそ心を落ち着けようとゲームに没頭していたが、そのうちにゲームの方に夢中になった。
だって、僕が努力したのはこのためだ。3D酔いに苦しむことなく、思う存分ゲームをするため。楽しくないはずがない。
感動した海辺の風景も。リゾート気分を味わえる離宮も。彼女に見せたいと思ったものは余すところなくゲーム内に再現をしていく。
驚くかな、喜ぶかな、いつものように焦るかな。
そんなことを考えながら。
――で、あっという間に時間が過ぎて。気が付けば日付が替わる10分前。
眼鏡の魅了効果だろうか。ゲームへの集中力が増している気がする。本当はまだ帰りたくない。なんなら一晩中隣でゲームをやって、早朝バイトの為に起きる召喚主に朝の挨拶をしてから帰りたいくらいだけれども――。
一日に回復する魔力の総量は決まっている。翌日分を使い込んでしまえば、翌日の三回召喚が厳しくなる。なので、続けるには0時前に帰る必要があるのだ。
僕を信頼し、穏やかな寝息を立てている召喚主を見守りながらやる大好きなゲーム。
実は――イヤホンをつけてはいるが、途中からゲームの音は切っている。だから、聞こえてくるのは召喚主の寝息と、かすかな寝言。
だって、こんな機会は滅多にないし。夜遅く。人のいる部屋で、しかも信用している人の生命反応を確認しつつのゲームとか。
幸せ過ぎて癖になりそうだ。
生命反応を感じない、冷たく固い、隔絶された塔での生活。穏やかではあるけれど、生命力を感じることもない塔での暮らしではこの温かさは絶対に手に入らないものだ。
……地下のダンジョンに封印されている竜の気配がたまに瘴気となって流れてくるけれど、アレはどちらかというと禍々しいし。
それと比べて召喚主の気配の穏やかなこと。
大事にしたいなあ、忘れたくないなあ。
召喚主を見ながらそう思った時には記憶魔法が発動していた。
慌てて切る僕。危ない。こんな状況で記憶魔法を使ったらまた強制召喚終了だ。さっき増えた信頼関係分の魔力節約がなかったらこの一瞬でも危なかった。
ってか、女性の寝姿を盗撮とか人としてダメな気もする。
でも、消すにも魔力を使うし、写真一枚分だからこれくらいは仕方がないよね。わざとじゃないし。僕はあとでこっそりと頭の中の秘密のフォルダーに収納することを決意した。
僕の宝物が増えていく。
こんな機会はそうそうない。ならば、多少の我慢をしてでも目いっぱい、ゲームと共にこの幸せな状況を楽しみたい。あとちょっと。もう少しだけ。日付が替わる前に帰れば、明日もこの状況を迎えられるはず。
そう思った僕は帰る直前になって、電気の消し忘れに気が付いた。まずい、彼女から頼まれていたのに。このままでは召喚主との信頼関係が電気代という形で損なわれてしまう。
慌てて消灯して、塔へと帰ったのは日付の替わる僅か20秒前。
この反省を活かし、翌日からは一分前に帰ることにした。
今日の3倍は余裕を持たせたわけだし、これで問題はないはず…………だよな? うん。問題ない!
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