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81 偽王子(大)と甘いおやつとお兄ちゃん

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 偽王子(大)のおやつの好みは割と簡単だった。最初は外見からおせんべいなどの男性が好みそうなお菓子を出していたのだけれど、途中、私が食べていたチョコレートをガン見していたから。

 これ、あれだ。見た目ギャップで甘いもの好きなやつ。

 たまに男の人でいるよねー。甘いもの食べるのがカッコ悪いと思っている人。……とか、訳知り顔で言ってはみても、リアルの男の人には詳しくないのでソースは私のお兄ちゃん。


 私の2番目のお兄ちゃんは甘いものが嫌いなんだと思っていた。昔からいつも、自分の分の甘いおやつを私に譲ってくれていたから。

 でも、途中で気が付いた。私が甘いものを好きだから譲ってくれているだけで、お兄ちゃんはお兄ちゃんで甘いものが好きなのだと。

 それからは貰うのをしっかりと遠慮した。だって、自分の分はちゃんとあるし、美味しいものは一緒に食べた方が美味しいもの。そう言ったら、お兄ちゃんはお菓子を譲る代わりに私と一緒に食べてくれるようになった。

 2番目のお兄ちゃんは家族の中で一番頭がいいから、私や3番目のお兄ちゃんによく勉強を教えてくれていた。だからこそ甘いものが好きだったのかもしれない。頭使うと甘いものが欲しくなるもんね。

 そして、私にとってはココが重要。2番目のお兄ちゃんは兄の中で唯一の眼鏡でした。……でした……でした……でした。

 『でした』――そう、過去形。

 眼鏡のお兄ちゃんに勉強を教えてもらうのが大好きだったのに、ある日、2番目のお兄ちゃんはコンタクトレンズへと移行した。

 それがもう、悲しくて悲しくて。しばらくは別人のような感じがして近寄れなかった。思えば、それまでは3番目のお兄ちゃんより2番目のお兄ちゃんに引っ付いていた方が多かったような気がする。

 まあ、今では慣れたし、早起きするとコンタクトレンズを装着前の眼鏡のお兄ちゃんには会えたから、それはそれでレア感あって嬉しかったけど。

 考えてみれば、私の眼鏡に対するこだわりって、あのあたりから強くなった気がする……。

 そんな2番目のお兄ちゃんは今でも甘いものが好きなので、家に帰るときには私のお勧めのコンビニスイーツを手土産にしたりしている。やっぱり、自分で買うのは照れ臭いらしい。一番上のお兄ちゃんに聞いても、そういうものだと言っていたから、そうなのだろうと思う。

 はい、ここまでがソース。眼鏡はただの脱線ですね。

 ちなみに3番目のお兄ちゃんは特に好き嫌いなく何でも食べるし、1人で女子向けケーキ屋さんにも入れる。家族で一番メンタルも強い。


 まー、そんなわけで。おそらく世界が違うとはいえ、異世界でも男の人は――特にこんな風にゴツイ系のイケメンさんは甘いものとか買いづらいのかもしれない。今日も目で訴えるだけで、口には決して出さなかったし。

 外見的には鈴木さんとか、先輩のような、サッパリ系優等生タイプである2番目のお兄ちゃんですらそうなんだから。

 そうと分かればこの偽王子(大)へのおもてなしは勝ったも同然。


 これから毎日、しっかりと。お勧めの甘ぁーいおやつとお飲み物をご用意しますよ!




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