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76 偽王子現る
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「えっ!? ちょ、な、なに!? 王子が離宮に送られている間、周囲にバレないように塔の中で身代わりをするだけの簡単なお仕事だった筈なのに。王家の裏の仕事を司る影として、オレは完璧に王子の姿を再現してたよな!? 大丈夫、オレは擬態魔法だけは得意なんだ。誰の目にもオレの姿は王子に見えている筈だ。声も、姿も、完全に擬態した。念の為今日から魔力も王子の物と同調させたけど、そうしたら急に魔力がごそっと減って、変な所に飛ばされたぞ!? いったい何が起こっている!? いい機会だからと追加任務として王子の魔力の痕跡を追って、塔の中の過ごし方や生活環境チェックのために、生活動線通りに動いていただけなのにいったいここはどこなんだ!?」
怒涛の独り言で理解した。
召喚されてきた魔法陣ラグの上で。わいわい、ぎゃあぎゃあ、騒ぎ立てている偽王子――これは王子本人ではない。
ってか、本人(偽)が言うほど似ていない。悲しいくらい共通点がいっさい見つけられない。
青味がかった薄い金髪に透明感のある濃い青い目の一見冷たく見える美貌の王子――
に対し。
ふわふわと柔らかそうな黒髪にオッドアイ。
そして――何より頭に付いた猫耳が警戒心も露わに伏せられている。どう見ても漫画や小説やゲームで見る『獣人』のその姿。
いや、身代わり用意するなら種族くらい揃えようよ!? 王家の影さんやる気あんの!?
一目で別人だとしか思えないが何故か偽王子(猫耳)は変装に自信があるようで。
「まあ、魔力の往復した形跡もあるし、これも王子の日常生活の一部ってことか。これも含めて調査だな。大丈夫、オレは誰がどう見ても王子にしか見えていないはずだし。バレたらバレたでサクッと消せばいいんだ。問題ない。オレは、堂々と王子として、王子の日常生活を過ごせばいいんだ!! よし、落ち着いた!!! オレは落ち着いた!!!」
元気な言葉と共に、可愛い耳がぴょこんと通常に戻った。
王子とは体の大きさすら違う偽王子(猫耳)。3番目のお兄ちゃんより少し大きい印象の長身の王子と比べて、目の前の偽王子はどう見ても小学生~中学生くらい。
イケメンというよりは可愛い系か。整った顔に大きな猫目と耳が似合っていて大変可愛らしい。
顔も体もどう見ても人間だけど、耳だけは完全に猫のソレだ。ふわっふわの耳。動物好きとしては堪らない。そうか……。いるのか……。王子の世界……獣人……。
気分の切り替えに成功した様子の偽王子(猫耳)は満面の笑顔だ。可愛い……可愛い……けど。
……やべえ……。
別人だとバレているのがバレたらサクッと消される……らしい。
こんなに再現率低いのに!!
怒涛の独り言で理解した。
召喚されてきた魔法陣ラグの上で。わいわい、ぎゃあぎゃあ、騒ぎ立てている偽王子――これは王子本人ではない。
ってか、本人(偽)が言うほど似ていない。悲しいくらい共通点がいっさい見つけられない。
青味がかった薄い金髪に透明感のある濃い青い目の一見冷たく見える美貌の王子――
に対し。
ふわふわと柔らかそうな黒髪にオッドアイ。
そして――何より頭に付いた猫耳が警戒心も露わに伏せられている。どう見ても漫画や小説やゲームで見る『獣人』のその姿。
いや、身代わり用意するなら種族くらい揃えようよ!? 王家の影さんやる気あんの!?
一目で別人だとしか思えないが何故か偽王子(猫耳)は変装に自信があるようで。
「まあ、魔力の往復した形跡もあるし、これも王子の日常生活の一部ってことか。これも含めて調査だな。大丈夫、オレは誰がどう見ても王子にしか見えていないはずだし。バレたらバレたでサクッと消せばいいんだ。問題ない。オレは、堂々と王子として、王子の日常生活を過ごせばいいんだ!! よし、落ち着いた!!! オレは落ち着いた!!!」
元気な言葉と共に、可愛い耳がぴょこんと通常に戻った。
王子とは体の大きさすら違う偽王子(猫耳)。3番目のお兄ちゃんより少し大きい印象の長身の王子と比べて、目の前の偽王子はどう見ても小学生~中学生くらい。
イケメンというよりは可愛い系か。整った顔に大きな猫目と耳が似合っていて大変可愛らしい。
顔も体もどう見ても人間だけど、耳だけは完全に猫のソレだ。ふわっふわの耳。動物好きとしては堪らない。そうか……。いるのか……。王子の世界……獣人……。
気分の切り替えに成功した様子の偽王子(猫耳)は満面の笑顔だ。可愛い……可愛い……けど。
……やべえ……。
別人だとバレているのがバレたらサクッと消される……らしい。
こんなに再現率低いのに!!
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