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75 召喚再開されたはいいけど……

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 あの後。先輩にしっかりとモーニングコールをして、集中講義は二人とも無事にクリアした。ちょっと起こすのに苦労はしたけれど、あの程度お兄ちゃんに比べたら何でもない。可愛いものだ。

 もう一つ集中講義をとっていたけど、先輩とは違う講義で一人きりだった。一緒に講義を受ける楽しさ知っちゃうと少し寂しく感じるけど、まあ、それはそれで集中できていいのかも。そちらも無事クリア。

 ちなみに先輩も別の講義を取っていたらしいので、モーニングコールだけは続けてあげた。そのお陰か無事に乗り切れたそうだ。またお礼するとか言っていたけど、流石にあのケーキは貰い過ぎだし、冷凍ケーキなんてまだ冷凍庫に丸々残っているのでアレで充分だと言って断った。
 まあ、しっかり恩を返せてよかったです。


 ――で、とっていた集中講義の受講期間も終わったのでようやく私としては本格的な夏休みスタート。そして始まる早朝バイトの毎日。

 前半休んじゃった分、しっかりと稼がないとね☆

 講義で出られなかった分のシフトを代わってくれた人との調整もあるのでお盆過ぎまではわりとバイトで大忙しの予定。

 そんな中。

 王子との約束もあり、頻繁に魔法陣ラグの動作確認をしていたのだけれど――。


 今日、ついに。魔法陣に反応があった。


 ああ、久しぶりだな。ようやくか。少しだけほっとする私。

 ほら。前回とは違って事前に分かっていたとはいえ、やっぱり先が見えないのは不安じゃない。毎日王子が召喚されてくる日常の方がおかしいのは重々承知しているけれど、やっぱり変わらない毎日を過ごせるのは安心するもの。

 これでやっと日常が戻ってくるのね。

 来なかった場合のことを想定し、おやつには使いまわせるように個別包装のクッキーを用意していたんだけど、久しぶりなんだから追加で好物のポテトチップスを用意してあげるか。先輩に貰ったケーキは解凍するまでに時間がかかるから明日かな、なんて考えていたんだけど。


 召喚されてきた相手を見て自分の目を疑った。


 え、ちょ、何!? ……え!?


 青味ががかった薄い金髪に透明感のある濃い青い目――食べこぼしが気になるほど真っ白な正装についた飾りのジャラジャラが地味にうるさい――見慣れた王子じゃなかった。


 まるで対比のように全身真っ黒。
 影から出てきたようなローブを纏ったその姿。どちらかというと王子よりも先輩に近い。全身が黒いローブに包まれて、表に出ているのは首から上のみだ。それすらフードを被ったら見えなくなるだろう。


 そう。魔法陣ラグにおやつを置いて現れたのは――。




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