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2 幽閉王子の攻略対象

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 それからというもの、彼は毎日のように私の部屋へやってくるようになった。

 いや、最初は2、3日に一回だったのだ。しかし、急なバイトのシフト変更で約束の時間に召喚できなかったため放置していたら一週間ほど間が空いてしまった。

 そうして久しぶりに召喚してみれば、すっかり気落ちしてしまっていて、正直見ていられなかった。どうやら、私に見捨てられたと思ったらしい。

 目は涙目だしやつれているし、あと、どうせ僕なんて……と、若干卑屈になっていた。それなりに仲良くなった後だったので罪悪感が半端ない。『とても面倒臭く厄介』と鈴木さんが言っていたのはこのことか。

 どちらかというと天真爛漫なマイペース王子が弱ってる。

 何となく責任を感じてしまい、ご機嫌を取るため呼ぶ回数を増やしていたらいつの間にか日課みたいになった。慣れって怖い。

 それからというもの、こうして私の部屋にやって来ては漫画を読んだりテレビを見たり、彼は自由気ままに過ごしていた。



 そして、現在。彼がはまっているのはゲームだ。私が夏休みにゆっくりやろうと楽しみにしていた乙女ゲーム。どうやら彼はゲームが好きらしく、前の召喚主の鈴木さんの家でも四六時中ゲームをやっていたらしい。

「あのゲームはないのか?」と挙げられたタイトルから察するにギャルゲーが多かった。ああ、同類だったのね、鈴木さん……。もう少しそっち系の話もすればよかったな。

 でも、流石に乙女ゲーは持っていなかったのか王子にとっては新鮮だったようだ。

 元平民の子が貴族の学校へと入り、恋や友情を楽しむゲーム。攻略対象は王太子やその側近達……って、つい最近どこかで聞いた話ですね。

 もしやと思いさりげなく聞いてみたが、王子によるとこのゲームからの召喚ではないらしい。細かい設定や世界観が違うし、何より王子が魅了されたヒロイン? はこんなに可愛くなかったと言っていた。なるほど。王子は意外と面食いみたいです。

 最初こそ身につまされていたようだが、そのうち気にせずヒロイン視点でのめり込んでいた。CGやイベントが拾えないと攻略本片手に奮闘している姿はもはや立派な同類だ。

 私はどちらかというと好きなキャラしか攻略しないでゲームに飽きてしまうタイプなので、自分の目的のキャラ以外の攻略は王子のプレイを見ながら楽しんでいた。

 ゲーム実況なんかを見ているようで面白い。

 特に、ヒロイン視点での選択肢を見ながらキャラの攻略を進めているときに、「ああ、なるほど。僕もこんな感じで乗せられていたのかな」なんてぶつぶつ言いながらゲームをしている姿は別のドラマを見ているような深さがあって興味深かった。


 ちなみに。


 王子のメインの攻略対象は王太子だったのがどことなくシュールに感じて別の意味で面白かった。




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