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16 本物の真実の愛 ヴィオーラside
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週が明けて。ヴィオーラ・ホルテンズィー子爵令嬢は困っていた。
二時間目、数学の授業があるというのに教科書が見つからない。土曜日に数学の授業があったからカバンに入れっぱなしにしていたはずなのに。
(まさか……誰かに隠された?)
最近、周囲から苦言を呈されることが増えている。その原因が、何かと世話を焼いてくれる伯爵令息のシャインの存在だ。
キラキラと光り輝く明るい金髪。どこまでも柔らかいスカイブルーの瞳。前世基準でも今世基準でも文句なしの美男子だった。
ヴィオーラが転生者だと知るや前世の話を聞きたがり、たとえそれがどんな些細な話でも大袈裟に感じるくらい喜んでくれる。ヴィオーラが彼に惹かれるまでに時間はかからなかった。
おそらくだが――彼もヴィオーラを好ましいと思ってくれていると感じている。
しかし、大きな問題があった。彼には幼い頃に決められた婚約者がいるのだ。
その相手が、この世界で一番有名な転生者であるメリー。
彼女のことは知っていた。絵本から文学からノンフィクションまで、彼女と彼女の両親の話は様々な形でこの世界に浸透している。
舞台などでも大人気の演目であり、媒体は違ってもその全てで共通しているのが――様々な苦難を乗り越え結ばれるメリーの両親。そして、産まれる真実の愛の子メリー。
ヴィオーラも絵本から始まり、成長する過程で何度もその話に触れる機会があった。正直、転生してまで貫かれた真実の愛とやらに憧れてすらいた。
でも――シャインに惹かれるようになって強く思う。
メリーの父親は物語の中でも現実でも、当時の婚約者との婚約を白紙に戻している。それは、そこに真実の愛がなかったからだ。
ならば――シャインが子供のころに親によって結ばれてしまった婚約も、真実の愛の為なら破棄しても良いのではないだろうか。
そんな思いから、ヴィオーラはシャインを慕う気持ちを隠すことはしなかった。
大体、前世の感覚から言わせてもらえれば、子供が婚約とかありえない。本人の意思こそが尊重されるべきなのだ。
ただ、同じ転生者の中でさえもそう思ってくれる人は少数派だった。ざまぁされるわよ、と忠告してくる人すらいた。
それは仕方がない。たとえ中身が転生者だとしても、今世は今世でこちらの常識を教えてくれる両親がいる。それからすると婚約者がいる相手に擦り寄るヴィオーラの行動は褒められたものではないからだ。
それでも。
家のためには少しでも爵位が上の条件のいい貴族との婚姻を。そう教育してくる上昇志向の強いヴィオーラの両親は娘の行動を止めることはなかった。
そしてヴィオーラの中にも両親のその教育は生きている。
生まれ変わった以上、前世の感覚だけではいられない。純粋な「好き」とは違う今世の、貴族としての打算。それもヴィオーラにとっては大切な真実だった。
そんなヴィオーラをよく思わない者たちが嫌がらせをしてきたのかもしれない。
真実の愛の子の婚約者に手を出す身の程知らず――そんな風に影で言われていることも知っている。もしかしたら、噂を聞きつけたメリーが自分で手を下した可能性だってあるのではないだろうか。
夜会のダンスに図書室デート。少し目立ち過ぎたのだ。
何にしても、一度シャインに相談してみるのもいいかもしれない。図書室で一緒に虹を見たときもとてもいい雰囲気だったから、きっと相談に乗ってくれるだろう。
ヴィオーラがそんな風に思案していると。
「ヴィオーラ嬢! ちょっといいだろうか」
たった今思い浮かべていた人物の声を聞いて、慌ててそちらを向けば教室の入り口にシャインが立っていた。学年が違うゆえに入るのは遠慮しているようだ。
「お早うございます! どうしたんですか、シャイン様。あの、実は今、探し物をしていて、何故か数学の教科書が……」
駆け寄って、早速、思っていたことを実行に移せば。
「ああ、やっぱり。悪い、僕のカバンに入っていたんだ。きっと、図書室で一緒に勉強したときに紛れてしまったのだね。はい、持ってきたよ。他のノートや教科書は大丈夫? 確認した方がいい」
そう言って、奇麗なままの教科書が手渡された。
なんだ。嫌がらせではなかったのか。偶然シャインの荷物に紛れてしまっただけのようだ。
ホッとすると同時に、少しだけガッカリした。思ったより、ドラマチックな展開にはならないようだ。
そう思いながら、ヴィオーラはシャインに言われた通り席へと戻りカバンの中を確認していく。
「えーと、社会と……数学のノートもありますね。中も別に……」
パラパラと。ノートをめくっていたら何かが落ちた。
それに目をやってヴィオーラは驚く。
誰かにイタズラされたのだろう。シャインと自分の名前が書かれた紙――ノートを破った切れ端だろうか。
そこには。
「……やだ、もー。誰がやったのかしら」
困惑して拾ったそれを見ていたら、教室にシャインが慌てて入ってきた。そして拾った紙を覗き込む。
「どうした、ヴィオーラ嬢! これは……? 僕と君の名前が書いてあるな。この図形は、魔法陣? まさか、嫌がらせとか怪文書の類か!?」
「あ、いえ。嫌がらせというか……イタズラですね。ただの、相合傘なので」
「アイアイガサ?」
「ええ。おまじないですね。好きな人の名前と、自分の名前。それをこんな風にハートの付いた傘の下に書くんです。そうすると2人は結ばれるという――前世、日本で定番の恋のおまじないです」
そう。書かれていたのは落書きの代表格ともいえる相合傘。
便所の落書きとかによくある――と一瞬思ったがヴィオーラは言わなかった。大したことではない、とヴィオーラは思ったが、シャインは何故か目を輝かせている。
「恋のおまじない……ニホンの……? 好きな人の名前を――書く?」
チラチラと。
ヴィオーラの様子を伺っている様子のシャインを見て、これはもしかして脈ありなのでは?という思いを抱いたヴィオーラは勝負に出ることにした。
「あっ、いえ。これは私が書いたものではなくて誰かが――その、本人ではなくても2人が仲良かったりすると、周りが面白がって、冷やかしたりからかったりするためにやることもあるんです。それくらいシャイン様と私が仲良く見えたなら。…………私としては、嬉しい、ですけど」
「ヴィオーラ……嬢……」
顔を赤らめて。切なげにシャインを見上げるヴィオーラ。
彼女を見て、そして彼女が手にしている紙を見て、シャインは思った。
誰がやったのかは知らないが。
憧れの……ニホンのおまじないで認められた、仲良しの2人なのだ。
自分が真に結ばれるべき相手は転生者かどうかも怪しいメリーではなくて。
彼女なのかもしれない――と。
二時間目、数学の授業があるというのに教科書が見つからない。土曜日に数学の授業があったからカバンに入れっぱなしにしていたはずなのに。
(まさか……誰かに隠された?)
最近、周囲から苦言を呈されることが増えている。その原因が、何かと世話を焼いてくれる伯爵令息のシャインの存在だ。
キラキラと光り輝く明るい金髪。どこまでも柔らかいスカイブルーの瞳。前世基準でも今世基準でも文句なしの美男子だった。
ヴィオーラが転生者だと知るや前世の話を聞きたがり、たとえそれがどんな些細な話でも大袈裟に感じるくらい喜んでくれる。ヴィオーラが彼に惹かれるまでに時間はかからなかった。
おそらくだが――彼もヴィオーラを好ましいと思ってくれていると感じている。
しかし、大きな問題があった。彼には幼い頃に決められた婚約者がいるのだ。
その相手が、この世界で一番有名な転生者であるメリー。
彼女のことは知っていた。絵本から文学からノンフィクションまで、彼女と彼女の両親の話は様々な形でこの世界に浸透している。
舞台などでも大人気の演目であり、媒体は違ってもその全てで共通しているのが――様々な苦難を乗り越え結ばれるメリーの両親。そして、産まれる真実の愛の子メリー。
ヴィオーラも絵本から始まり、成長する過程で何度もその話に触れる機会があった。正直、転生してまで貫かれた真実の愛とやらに憧れてすらいた。
でも――シャインに惹かれるようになって強く思う。
メリーの父親は物語の中でも現実でも、当時の婚約者との婚約を白紙に戻している。それは、そこに真実の愛がなかったからだ。
ならば――シャインが子供のころに親によって結ばれてしまった婚約も、真実の愛の為なら破棄しても良いのではないだろうか。
そんな思いから、ヴィオーラはシャインを慕う気持ちを隠すことはしなかった。
大体、前世の感覚から言わせてもらえれば、子供が婚約とかありえない。本人の意思こそが尊重されるべきなのだ。
ただ、同じ転生者の中でさえもそう思ってくれる人は少数派だった。ざまぁされるわよ、と忠告してくる人すらいた。
それは仕方がない。たとえ中身が転生者だとしても、今世は今世でこちらの常識を教えてくれる両親がいる。それからすると婚約者がいる相手に擦り寄るヴィオーラの行動は褒められたものではないからだ。
それでも。
家のためには少しでも爵位が上の条件のいい貴族との婚姻を。そう教育してくる上昇志向の強いヴィオーラの両親は娘の行動を止めることはなかった。
そしてヴィオーラの中にも両親のその教育は生きている。
生まれ変わった以上、前世の感覚だけではいられない。純粋な「好き」とは違う今世の、貴族としての打算。それもヴィオーラにとっては大切な真実だった。
そんなヴィオーラをよく思わない者たちが嫌がらせをしてきたのかもしれない。
真実の愛の子の婚約者に手を出す身の程知らず――そんな風に影で言われていることも知っている。もしかしたら、噂を聞きつけたメリーが自分で手を下した可能性だってあるのではないだろうか。
夜会のダンスに図書室デート。少し目立ち過ぎたのだ。
何にしても、一度シャインに相談してみるのもいいかもしれない。図書室で一緒に虹を見たときもとてもいい雰囲気だったから、きっと相談に乗ってくれるだろう。
ヴィオーラがそんな風に思案していると。
「ヴィオーラ嬢! ちょっといいだろうか」
たった今思い浮かべていた人物の声を聞いて、慌ててそちらを向けば教室の入り口にシャインが立っていた。学年が違うゆえに入るのは遠慮しているようだ。
「お早うございます! どうしたんですか、シャイン様。あの、実は今、探し物をしていて、何故か数学の教科書が……」
駆け寄って、早速、思っていたことを実行に移せば。
「ああ、やっぱり。悪い、僕のカバンに入っていたんだ。きっと、図書室で一緒に勉強したときに紛れてしまったのだね。はい、持ってきたよ。他のノートや教科書は大丈夫? 確認した方がいい」
そう言って、奇麗なままの教科書が手渡された。
なんだ。嫌がらせではなかったのか。偶然シャインの荷物に紛れてしまっただけのようだ。
ホッとすると同時に、少しだけガッカリした。思ったより、ドラマチックな展開にはならないようだ。
そう思いながら、ヴィオーラはシャインに言われた通り席へと戻りカバンの中を確認していく。
「えーと、社会と……数学のノートもありますね。中も別に……」
パラパラと。ノートをめくっていたら何かが落ちた。
それに目をやってヴィオーラは驚く。
誰かにイタズラされたのだろう。シャインと自分の名前が書かれた紙――ノートを破った切れ端だろうか。
そこには。
「……やだ、もー。誰がやったのかしら」
困惑して拾ったそれを見ていたら、教室にシャインが慌てて入ってきた。そして拾った紙を覗き込む。
「どうした、ヴィオーラ嬢! これは……? 僕と君の名前が書いてあるな。この図形は、魔法陣? まさか、嫌がらせとか怪文書の類か!?」
「あ、いえ。嫌がらせというか……イタズラですね。ただの、相合傘なので」
「アイアイガサ?」
「ええ。おまじないですね。好きな人の名前と、自分の名前。それをこんな風にハートの付いた傘の下に書くんです。そうすると2人は結ばれるという――前世、日本で定番の恋のおまじないです」
そう。書かれていたのは落書きの代表格ともいえる相合傘。
便所の落書きとかによくある――と一瞬思ったがヴィオーラは言わなかった。大したことではない、とヴィオーラは思ったが、シャインは何故か目を輝かせている。
「恋のおまじない……ニホンの……? 好きな人の名前を――書く?」
チラチラと。
ヴィオーラの様子を伺っている様子のシャインを見て、これはもしかして脈ありなのでは?という思いを抱いたヴィオーラは勝負に出ることにした。
「あっ、いえ。これは私が書いたものではなくて誰かが――その、本人ではなくても2人が仲良かったりすると、周りが面白がって、冷やかしたりからかったりするためにやることもあるんです。それくらいシャイン様と私が仲良く見えたなら。…………私としては、嬉しい、ですけど」
「ヴィオーラ……嬢……」
顔を赤らめて。切なげにシャインを見上げるヴィオーラ。
彼女を見て、そして彼女が手にしている紙を見て、シャインは思った。
誰がやったのかは知らないが。
憧れの……ニホンのおまじないで認められた、仲良しの2人なのだ。
自分が真に結ばれるべき相手は転生者かどうかも怪しいメリーではなくて。
彼女なのかもしれない――と。
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