目覚めたら天使でした。

momo

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「わぁ!!綺麗!!」

双子が長期休暇に入ったので、マリアは家族と共にフェルズ家の領地に来ていた。隣国と本国の境目にある魔の森にほど近い領地だが代々この領地に居る聖女の家系が強力な結界を張り巡らせている為驚異にはならない。
各領地には聖女と呼ばれる一族が住んでおりそれぞれがその領地に結界を張る使命を帯びている。どの一族も元を辿れば天界人だと言われており、地上人を慈しむ天界人が地上人を護るために降り立ったと言われている。
フェルズ領地の聖女一族も例外ではなく、もしかしたら知人の子孫なのかも知れない、とマリアはこっそりとドキドキしていた。
邸内にある図書室ー図書館と言っても過言ではないほどの規模だーの文献を読み漁った結果、仮定ではあるがマリアが天界に居たのはもう数百年は前になると考えている。
しかしどれだけ調べても現在の天界と地下界が分からない。すでに存在自体が伝説やお伽噺のように認知されているようだ。
地下界を天界が抑える力がそれだけ強いという事なのだろうか。地上界を何も知らせないまま真綿に包むように護っていた事を思い出す。
マリアもまた人間に対する慈愛の気持ちが溢れているのだから、天界人の地上界人への愛は計り知れない。マリアはただ心配だった。残してきたラファエルの事もルシフェルの事も。

この地には聖女がいる。今まで居た王都にも居たが簡単に会えなかったがここならシグルドに頼めば会えるかも知れない。
天界人の血を引くとされる聖女の一族ならば何か分かるかもしれないとマリアは期待していた。この度にはシグルドも居るので機会はいくらでもあるだろう。
今はとりあえずこの天界にも似た自然の豊かな領地の景色を楽しむ事にしたマリアは深く濃い緑の広がる景色をキラキラと煌めく目で眺めていた。
馬車の中で外を夢中で見ているマリアをマリアと同じくらい煌めきながら見つめているのは双子である。

「はぁ。いつも以上にキラキラして可愛いマリア」
「可愛いな。目に入れても痛くねぇわ」
「むしろ目に入れて常に連れ歩きたい」
「怖ぇよカイン」

こんな双子の会話もマリアの耳は届いていなかったが届いてしまったサラは苦笑しながら見守り、シグルドはカインに軽く同意していた。
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