目覚めたら天使でした。

momo

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 アルフレッドは両陛下のマリアへの対応を見てほくそ笑んでいた。概ね予想通りであったからである。国王はもちろん国母は聡明で美しくあるべきであるという考えであるし、王妃は単純に可愛いモノが好きなのだ。
二人はすでに前向きに考えているだろう。あとはマリアの気持ち次第だとアルフレッドは考える。しかしその気持ちが難しい。マリアにとっては『一度会った兄の友人』でしかないだろう。
あの時ほぼ無理やり友人関係になったが、さきほどマリアが思い出してくれたのも奇跡かも知れないほど曖昧な関係なのである。

「マリアリール嬢、あとでお話しようね」

だから、アルフレッドは正式に顔を合わせた今日が本当のスタートだと考えた。頬を愛らしく染めながら是と返事を返してくれる愛しい少女に微笑みかけながら、まずは気を許して貰うところからだと気合を居れるのであった。

「殿下、少なくとも今日は満遍なく話しかけていただきますよ。こういう機会に贔屓をするのは好ましくなりません故」
「お前は相変わらず堅いなカイン。分かっているとも。皆に声をかける。最後にマリアリール嬢を話しをするというだけだよ」
「それを聞いて安心致しました」
「・・・言っておくが、途中で帰ることは許さないからな?」
「後がつかえておりますので御前を失礼致します」
「おい」

二人の気安い会話に友人であるというのは本当だったのだとマリアは安堵した。普段優しいカインがトゲトゲして見えるのも、気を許しているのだと受け取ったのである。
マリアがニコニコしているとカインにそっと背を押されて、慌てて礼を取り王族の前を辞した。やっとお菓子が食べられる!とマリアがワクワクしているその後姿をガチガチに固まっている間に去られてしまったジェラルドが少し涙目で眺めて、何となく察した王妃が慰めるように背中を擦っていた。
一方国王は、4人の背中を見送りながら喉の奥で笑っていた。カインの方は宰相補佐であり次期宰相でもある父親にそっくりだ。アベルの方は知よりも武が優れているらしい。
そしてあのマリアリールの愛らしい見た目と美しい所作。アルフレッドを見ても余計な欲を持たないその態度も実に素晴らしい。

「いかがです陛下」
「お前の言う通り、というのが些か癪だがそうだな。気に入った。三人ともだ」
「そうでしょう?」
「だがそう簡単に行くかな。彼奴らは一筋縄ではいかなそうだが」
「もちろん取れる手段は全て取ります。最後の切り札も考えておりますし」

満足そうな息子の横顔を一抹の不安と共に国王は眺めたのだった。
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