目覚めたら天使でした。

momo

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ふわ、ふわり

若葉色のオーガンジーがマリアが動く度に宙を漂いまるで水中を泳ぐ人魚のよう。ハーフアップに纏めたピンクブロンドの髪も柔らかくふんわりと宙に舞う。
着飾った侍女侍従たちは見事な出来栄えに知らずため息を漏らした。うちのお嬢様は天使!皆が心底そう思っているのである。

「あらあらまぁまぁ!なんて可愛らしいのかしら!マリアは私の妖精さんね!」

マリアの私室を覗きに来たサラは感極まって手を叩きながらはしゃぐ。その様にマリアも何だか嬉しくなってつられてニコニコしていた。
クルクル回っては周りを楽しませていたマリアだが、待ちきれずにサラと同じように覗きに来た双子が自分の姿を見て固まってしまったのを見て途端に恥ずかしくなって頬を染めてサラの後ろに隠れた。

(まるで本当の子供みたいにはしゃいじゃった)

脳内と体内の年齢が合わなさすぎて、頻繁にこうして幼い行動言動をしてしまう事をマリアは恥じていた。
だがその恥じらっている姿込みで愛でられている事には全く気付いていないのである。
何も言わない双子に段々不安になって涙目になっているマリアに気付いて双子は慌ててマリアの元に駆け寄った。

「マリア、とっても可愛いね。本当のお姫様みたいだ」

カインがマリアを衣装がよれてしまわないようにそっと抱き上げて頬にキスする。それにもやはりマリアは恥じらって目を伏せてしまう。

「本当だぞ?誰よりも可愛い。俺たちの自慢だ」

アベルにも同じように抱き上げられて頬にキスされるのも未だ慣れる事が出来ない。いつまでも初々しいマリアにトロトロに蕩けた笑顔を向けて双子はそのまま玄関に向かった。
そして、すでに待機していた馬車に乗り込む。サラは二人の夫からのお願いによりお留守番。ルークが子供たちに付き添うため馬車に乗り込んでいた。
双子もルークもマリアの着ているドレスにも使われている同じ色の生地で作られたハンカチーフをポケットに入れている。
これが保護者もしくは婚約者であるという証になるのだ。三人の普段見る事のないビシッと決まった姿にマリアもポーっと見惚れてしまう。

「兄様たちも父様も、とっても素敵!王子様みたい」

マリアからの称賛に三人は相好を崩しそれぞれがマリアこそ可愛いよ綺麗だよ天使だよと褒めそやす。余りにも褒められてしまうのでとうとうマリアは顔を真っ赤にして両手で顔を隠してしまった。

「はぁ、こんな可愛いの誰にも見せたくないよ・・・」
「同感だが同時に見せびらかしたいとも思う」
「ふふ。悩ましいねぇ」

会場となる王宮に着くまで三人は、愛らしいマリアの様子を心ゆくまで愛でまくっていたのであった。
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