28 / 61
21
しおりを挟む
ふわ、ふわり
若葉色のオーガンジーがマリアが動く度に宙を漂いまるで水中を泳ぐ人魚のよう。ハーフアップに纏めたピンクブロンドの髪も柔らかくふんわりと宙に舞う。
着飾った侍女侍従たちは見事な出来栄えに知らずため息を漏らした。うちのお嬢様は天使!皆が心底そう思っているのである。
「あらあらまぁまぁ!なんて可愛らしいのかしら!マリアは私の妖精さんね!」
マリアの私室を覗きに来たサラは感極まって手を叩きながらはしゃぐ。その様にマリアも何だか嬉しくなってつられてニコニコしていた。
クルクル回っては周りを楽しませていたマリアだが、待ちきれずにサラと同じように覗きに来た双子が自分の姿を見て固まってしまったのを見て途端に恥ずかしくなって頬を染めてサラの後ろに隠れた。
(まるで本当の子供みたいにはしゃいじゃった)
脳内と体内の年齢が合わなさすぎて、頻繁にこうして幼い行動言動をしてしまう事をマリアは恥じていた。
だがその恥じらっている姿込みで愛でられている事には全く気付いていないのである。
何も言わない双子に段々不安になって涙目になっているマリアに気付いて双子は慌ててマリアの元に駆け寄った。
「マリア、とっても可愛いね。本当のお姫様みたいだ」
カインがマリアを衣装がよれてしまわないようにそっと抱き上げて頬にキスする。それにもやはりマリアは恥じらって目を伏せてしまう。
「本当だぞ?誰よりも可愛い。俺たちの自慢だ」
アベルにも同じように抱き上げられて頬にキスされるのも未だ慣れる事が出来ない。いつまでも初々しいマリアにトロトロに蕩けた笑顔を向けて双子はそのまま玄関に向かった。
そして、すでに待機していた馬車に乗り込む。サラは二人の夫からのお願いによりお留守番。ルークが子供たちに付き添うため馬車に乗り込んでいた。
双子もルークもマリアの着ているドレスにも使われている同じ色の生地で作られたハンカチーフをポケットに入れている。
これが保護者もしくは婚約者であるという証になるのだ。三人の普段見る事のないビシッと決まった姿にマリアもポーっと見惚れてしまう。
「兄様たちも父様も、とっても素敵!王子様みたい」
マリアからの称賛に三人は相好を崩しそれぞれがマリアこそ可愛いよ綺麗だよ天使だよと褒めそやす。余りにも褒められてしまうのでとうとうマリアは顔を真っ赤にして両手で顔を隠してしまった。
「はぁ、こんな可愛いの誰にも見せたくないよ・・・」
「同感だが同時に見せびらかしたいとも思う」
「ふふ。悩ましいねぇ」
会場となる王宮に着くまで三人は、愛らしいマリアの様子を心ゆくまで愛でまくっていたのであった。
若葉色のオーガンジーがマリアが動く度に宙を漂いまるで水中を泳ぐ人魚のよう。ハーフアップに纏めたピンクブロンドの髪も柔らかくふんわりと宙に舞う。
着飾った侍女侍従たちは見事な出来栄えに知らずため息を漏らした。うちのお嬢様は天使!皆が心底そう思っているのである。
「あらあらまぁまぁ!なんて可愛らしいのかしら!マリアは私の妖精さんね!」
マリアの私室を覗きに来たサラは感極まって手を叩きながらはしゃぐ。その様にマリアも何だか嬉しくなってつられてニコニコしていた。
クルクル回っては周りを楽しませていたマリアだが、待ちきれずにサラと同じように覗きに来た双子が自分の姿を見て固まってしまったのを見て途端に恥ずかしくなって頬を染めてサラの後ろに隠れた。
(まるで本当の子供みたいにはしゃいじゃった)
脳内と体内の年齢が合わなさすぎて、頻繁にこうして幼い行動言動をしてしまう事をマリアは恥じていた。
だがその恥じらっている姿込みで愛でられている事には全く気付いていないのである。
何も言わない双子に段々不安になって涙目になっているマリアに気付いて双子は慌ててマリアの元に駆け寄った。
「マリア、とっても可愛いね。本当のお姫様みたいだ」
カインがマリアを衣装がよれてしまわないようにそっと抱き上げて頬にキスする。それにもやはりマリアは恥じらって目を伏せてしまう。
「本当だぞ?誰よりも可愛い。俺たちの自慢だ」
アベルにも同じように抱き上げられて頬にキスされるのも未だ慣れる事が出来ない。いつまでも初々しいマリアにトロトロに蕩けた笑顔を向けて双子はそのまま玄関に向かった。
そして、すでに待機していた馬車に乗り込む。サラは二人の夫からのお願いによりお留守番。ルークが子供たちに付き添うため馬車に乗り込んでいた。
双子もルークもマリアの着ているドレスにも使われている同じ色の生地で作られたハンカチーフをポケットに入れている。
これが保護者もしくは婚約者であるという証になるのだ。三人の普段見る事のないビシッと決まった姿にマリアもポーっと見惚れてしまう。
「兄様たちも父様も、とっても素敵!王子様みたい」
マリアからの称賛に三人は相好を崩しそれぞれがマリアこそ可愛いよ綺麗だよ天使だよと褒めそやす。余りにも褒められてしまうのでとうとうマリアは顔を真っ赤にして両手で顔を隠してしまった。
「はぁ、こんな可愛いの誰にも見せたくないよ・・・」
「同感だが同時に見せびらかしたいとも思う」
「ふふ。悩ましいねぇ」
会場となる王宮に着くまで三人は、愛らしいマリアの様子を心ゆくまで愛でまくっていたのであった。
0
お気に入りに追加
244
あなたにおすすめの小説
私は幼い頃に死んだと思われていた侯爵令嬢でした
さこの
恋愛
幼い頃に誘拐されたマリアベル。保護してくれた男の人をお母さんと呼び、父でもあり兄でもあり家族として暮らしていた。
誘拐される以前の記憶は全くないが、ネックレスにマリアベルと名前が記されていた。
数年後にマリアベルの元に侯爵家の遣いがやってきて、自分は貴族の娘だと知る事になる。
お母さんと呼ぶ男の人と離れるのは嫌だが家に戻り家族と会う事になった。
片田舎で暮らしていたマリアベルは貴族の子女として学ぶ事になるが、不思議と読み書きは出来るし食事のマナーも悪くない。
お母さんと呼ばれていた男は何者だったのだろうか……? マリアベルは貴族社会に馴染めるのか……
っと言った感じのストーリーです。
旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます
おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。
if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります)
※こちらの作品カクヨムにも掲載します
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!
ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、
1年以内に妊娠そして出産。
跡継ぎを産んで女主人以上の
役割を果たしていたし、
円満だと思っていた。
夫の本音を聞くまでは。
そして息子が他人に思えた。
いてもいなくてもいい存在?萎んだ花?
分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。
* 作り話です
* 完結保証付き
* 暇つぶしにどうぞ
辺境伯へ嫁ぎます。
アズやっこ
恋愛
私の父、国王陛下から、辺境伯へ嫁げと言われました。
隣国の王子の次は辺境伯ですか… 分かりました。
私は第二王女。所詮国の為の駒でしかないのです。 例え父であっても国王陛下には逆らえません。
辺境伯様… 若くして家督を継がれ、辺境の地を護っています。
本来ならば第一王女のお姉様が嫁ぐはずでした。
辺境伯様も10歳も年下の私を妻として娶らなければいけないなんて可哀想です。
辺境伯様、大丈夫です。私はご迷惑はおかけしません。
それでも、もし、私でも良いのなら…こんな小娘でも良いのなら…貴方を愛しても良いですか?貴方も私を愛してくれますか?
そんな望みを抱いてしまいます。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 設定はゆるいです。
(言葉使いなど、優しい目で読んで頂けると幸いです)
❈ 誤字脱字等教えて頂けると幸いです。
(出来れば望ましいと思う字、文章を教えて頂けると嬉しいです)
【完結】傷物令嬢は近衛騎士団長に同情されて……溺愛されすぎです。
早稲 アカ
恋愛
王太子殿下との婚約から洩れてしまった伯爵令嬢のセーリーヌ。
宮廷の大広間で突然現れた賊に襲われた彼女は、殿下をかばって大けがを負ってしまう。
彼女に同情した近衛騎士団長のアドニス侯爵は熱心にお見舞いをしてくれるのだが、その熱意がセーリーヌの折れそうな心まで癒していく。
加えて、セーリーヌを振ったはずの王太子殿下が、親密な二人に絡んできて、ややこしい展開になり……。
果たして、セーリーヌとアドニス侯爵の関係はどうなるのでしょう?
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる