目覚めたら天使でした。

momo

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 「えっと・・・何かいけなかった?」

天然でホワッとしているサラだが、空気が読める事もある。何か良くない状況になっているようだ、と感じた。そうだねぇ、とルークは宙を見上げる。段々と不安になってきてルークの服の裾をちょっとだけ摘む。
その手を優しくルークが包む。自分の事であったならサラもこんなに簡単に不安になったりはしない。これでも元々は公爵家令嬢だ。それなりに胆力はある。
だが、それが自分の可愛い子供の事となると話は全く変わってくる。どこの親だってそうだ。いつでも子供を守りたいと思っているのだから。

「君が悪い訳じゃないよ大丈夫。双子とシグルドにも話を通して様子見、かな」
「ほんとに大丈夫?」
「だいじょーぶ。僕たちに任せて。ね?」
「うん・・・」
「まだ婚約できる年齢じゃなかったのが幸なのか不幸なのか・・・。愛らしすぎるのも問題だねぇ」
「マリアは天使のようだものね」
「ふふ。君も大変だったね。皆で必死に護ったもんさ」
「まぁ」

夫婦で甘い雰囲気になってきたところで王宮に行っていた双子が帰ったという知らせが執事から入る。
名残惜しくサラの額や頬にキスを贈りながら玄関ホールへ向かった。

「いえ、今日はアルフ殿下には会いませんでした」
「今日はシグルド父上に付いていただけだし、そういう日は会いにはいかないけど」

双子曰く、今日はもしかしたら城に殿下は居なかったかも知れないとの事。ならばやはり双子の友人とやらは王太子なのだろうか。
ルークが黙り込んでしまった為、双子は嫌な予感がしていた。王太子の不在を確認するなんて・・・まさか?と顔が青くなる。

「ルーク父上、何かあったのですか?」

恐る恐るカインが尋ねるとルークは実はね、とサラから貰った報告をそのまま双子に伝える。
マリアリールに会ったかも知れない、アルという名の少年。双子の友人だというその少年の事。

「俺達と同年代で、『アル』という愛称の男か」
「ずいぶん大きな馬車だって話なら上位貴族なのは間違いないかもね。確かにそれだけ聞くとアルフ殿下が怪しいけど」

もしそうだと仮定するとしてもどうだろうか?マリアリールはまだ2歳。アルフレッドが出会ったところで愛だの恋だのという感情が芽生えるには幼すぎるような気もする。
今はまだ純粋で清らかで愛らしくとも、そのまま成長する可能性は高くないはずだ。何なら双子もルークもたぶんシグルドだってそんな期待はしていない。
ただ健やかに大きくなってくれたら良いと思っているし、どんな令嬢に成長しても愛していける自信がある。
だがアルフレッドは違うだろう。家族でもないし何より彼はこの間のパーティーで会った少女たちに辟易していたはずだ。

「何にせよ、今後のマリア次第だね。今は特に動く必要はないだろう。心の準備だけはしておこう。ね」

全てはマリアリールがどのように育つか。それに掛かっているように思えた。
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