目覚めたら天使でした。

momo

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 ルークが母娘の居る居室へと続く廊下を歩いていると、柱の影から小さな影が現れた。可愛い可愛い愛娘マリアリールだ。サラとサンルームでまったり日向ぼっこしていたはずだがどうやら飽きてしまったらしい。
その場でしゃがんでやると、とててて、と駆け寄ってくる。そしていつも決まってその小さなふくふくの手を一生懸命伸ばして抱っこをせがむのだ。
可愛すぎてルークは今にも倒れそうになる。ニヤける顔を隠そうともせず抱き上げると片腕の上に座らせて背中を逆の手でそっと支えてやる。

「とーたま。あのね、にーたまたちがいないの」

そのまま立ち上がって歩き始めたルークにマリアリールは大きな目でその顔を覗き込んでそう訴えた。
大人がバタバタしているのを眺めているうちに兄達が出かけてしまい、何処に行ったのかも分からずいってらっしゃいも言えなかった。そのせいでマリアリールは少々ご機嫌斜めだ。
プクッとまろい頬を膨らませると、どこいったの?!と自分を抱き上げるルークを責める。
とは言っても幼児のする事、ルークからすれば仔猫に可愛く威嚇されているだけに過ぎない。
肩をぺちぺち叩かれているがそれも可愛らしい戯れだ。すっかり相好を崩しごめんね?許してと抱きしめながら許しを乞うと気が済んだのかルークの頭を撫で始める。
これは周りの大人たち(&双子)の自分に対する行動を真似ているらしい。慰めたり褒めたりする際に頭を撫でようとするのだ。何処まで可愛いのかこの天使は。

「兄様たちはお友達を作りに行ったんだよ。マリアももう少し大きくなったら行こうね」
「おともだち?」
「そう。マリアもお友達欲しいよね」

おともだち、と小さく繰り返すとマリアリールはこてんと首を傾げた。何が不思議なのか分からずルークも同じように首を傾げてマリアリールを見つめる。似たもの親子だ。使用人たちはほっこりした。

「おともだち、もういるもん」

マリアリールはそう言うとにこにこしながらとーさまもおともだちなる?と聞いてくる。はて、友人関係になれそうな者が屋敷に居ただろうか?
考えてみるもルークに心当たりはなかった。外にも出ていないし・・・考えても仕方ない。ルークはマリアリールにもう一度視線を合わせる。

「父様にも紹介してくれるかい?」
「いーよ」
「何処に居るのかな?」
「ここ」

そう言うとマリアリールは大きな目をもっと大きく見開いて小さな手を一杯に広げて誰も居ない空間を示した。
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