残酷なこの世界に花束を！

一回目。※自殺表現含みます

人間って、やっぱり限界がやって来る生き物なんだね。


転校から3ヶ月たって、無意識のうちに心は荒んでいっていた。


気づけば携帯電話の検索履歴は
･自殺 やり方
･自殺 楽しい
･綺麗な死に方
などで埋め尽くされていた。


また、その頃には気づいたら遺書も書いていた。


楽だったんだよ。
遺書を書いている時間は。
今までを振り返って、時間軸のどこにでもない場所に行けるような気がして。
死んだ後の目線になれるような気がして。


私はその遺書を親友のくるみに預ける事にした。


くるみとは幼稚園の頃からの仲だ。
お互いの全てを知ってる、って言っても過言ではないだろう。


くるみを早朝のマ〇ドナルドに呼び出し、マフィンを食べながら切り出した。

『私ね、もう限界なんだ。死にたくてしょうがない。』


くるみは黙って私を見つめた。


『遺書…書いたの。くるみ以外には遺書の在処は教える気はない。私が死んだ後、皆に広めてね。』


「…わかった。」


想定外の返事だった。


え、止めないんだ…って一瞬混乱した。


でも、それが凄く有難かった。


「その代わり、今から死ぬよ、って時は私に連絡して。約束だから！」


泣いてるわけじゃないけど、とてつもなく寂しそう。目は一点を見つめている。


10何年間も一緒に居たのに、そんなくるみの表情を見たのは初めてだった。














さあ、支度は整った。


死にたいけど、痛い思いはしたくない。
なるべく楽に死ねる方法……


見つけたのは、首吊りだった。


なにやら苦しむのは数十秒で、血管が塞がってふわっと意識が飛んで行くらしい。


よし！首吊ろう！！


思い立ったら早かった。


私は学校の階段の手すりにネクタイを通して輪っかをつくり、楽に死ねるように精神薬を50錠ほど飲み干した。


輪っかに首をいれ、足を、下に投げた。












あーあ、この世界ってとっても残酷。
生きてるのも苦しいし死ぬのも苦しいし。


病気で生きられない人がいる、って言うのもわかる。
でも、それは悩んでる人が自殺をしてはいけない理由にはならないと思うんだ。

私だって実際、去年の今頃は死にたいなんて欠片も思っていなかった。

うつになった自分に殺されたんだ。

うつ病だって立派な病気だし、死因になりうるでしょう？

だからどうか、死んだ後ニュースにしないで…


お父さん、お母さん、ポチ、ごめんね。
私はとても大切に育てられたのに。
毎日塾に通うお金も出してくれて、やりたかった習い事も全部やらせてくれて。

本当に幸せものだったのに。

ごめんなさい。
自ら死を選んじゃって本当にごめんなさい。
もう限界なんです。
許してください………












そんな事を考えていたのは、ほんの数秒の間だった。


物凄く苦しくなって、もがいた。


空気を掴んでは空回って、さらに苦しい。


『くっっっ…！は、ぁ、…うぅ…』


もはや言葉にもならない声で叫んだ。


叫んだと言うより、口から声がどんどん漏れた。








ゆっくりと遠のいていく意識の中で、
「おい！大丈夫か！今助けるぞ！！」
という声が聞こえた。


先生だった。

ふざけんな。助けてくれなくていいのに。

自殺の意味ないじゃん………



そんな馬鹿なことを考えながら、目の前は真っ暗になって行った。