残酷なこの世界に花束を!

えごのかたまり。

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日に日に弱っていく私を見て、両親は休学を勧めてきた。


『なんで頑張ろうとしてる人にそんなこと言えるの?!
私が行きたくて行った高校だよ!
絶対に休む訳にはいかないの!!』


そう言って、ボロボロの状態で通い続けていたのだ。


でも、本当は辛かった。


教科書も読めなくなった。
教室に居るのも苦しかった。
過呼吸になり毎回授業を止めてしまう。


もう限界だと思った。


私は、信頼のおける学年主任の齋藤先生に相談した。


『私、勉強出来なくなっちゃったんです…
教科書見るだけで涙が止まらなくて…』


気づいたら私は泣いていた。


齋藤先生はそっとハンカチを差し出して、背中をさすってくれた。


『休学が嫌なら、1週間だけ休むっていうのはどうかな。』


『プチ不登校って感じでさ!』


・・・プチ不登校??
私は学校側から不登校を勧められたのか。

あー、しょうがない。
もうそんだけダメになっちゃったって事なんだ…


その日の帰り道、母にメールを送った。

_____お母さん、私明日から不登校になるね。


_____今日の夜ご飯はもつ煮だよ。明日は夜ご飯作るの手伝ってくれる?


そう、返ってきた。











プチ不登校中は色々な事をした。
カラオケ行ったり、見たかった映画を見たり、動画配信サイトを見たり…



プチ不登校はあっという間に終わった。


1週間ぶりの教室。


ドアに手をかけた、その瞬間。


心臓が破れそうなほど拍動した。


そのまま倒れ込んだ。


息が、出来なかった。









もうダメなんだって悟った。


私はこの学校にはもう居られない。




自分が選んだ学校だったから辛かった。
大好きな友達もいたから辛かった。
















でも、私は転校する事を決めた。















転校先の学校は自由だった。


制服もない、髪も染めていい、ピアスも開けていい。


進学校の校則に縛られていた私には、天国のように思えた。


先生もとても優しくて、1歩ずつ。
本当に1歩ずつ前に進む手伝いをしてくれた。


シャープペンを1分間持つところから始まり、教科書を30秒間見つめる事をクリアし、小学生の計算問題を解き…


最初は抵抗があった。
でも、これしか自分を取り戻す手段は無かった。
私は毎日必死にこれらをこなしていった。







でも、新しい問題が生まれてしまった。





_______しにたい。





そう思うことが増えたのだ。


もともと私はポジティブ思考な方で、大体のことはなんとかなる、この世界なんて卍だせ!
ぐらいな感じだった。


そんな私が、死にたい気持ちと毎日戦ってる。


転校したから?いや、違う。
勉強できなくなったから?いや、違う。
この世界が卍じゃなかったから?いや、そんなんじゃない。


理由なんてないのだ。


ただただ、漠然と死にたかった。


これを読んでるそこのあなた、想像してみて。


毎日10キロの重りを肩に乗せて、電車が来る度に飛び込みたくなって、窓があれば飛び降りたくなって、布があれば首を絞めたくなる。


どうです?


 人によって感じ方は違うだろうけど、私にとっては地獄だった。


意図的じゃないのに、何を見ても自殺と結びついてしまう。


JKになって、友達と遊んだりはしゃいだりバイトしたりして青春を謳歌するつもりだった。


なのに。このザマよ。


重い身体を持ち上げて今日もなんとか死にませんように、って思いながら学校に行くだけの日々。


私の青春ってなんなんだ。






どこで、なにをまちがえた?




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