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第二章・ギルドで最低ランクまで落ちてしまったので、リアルを頑張ります。
*八十七・魔白曜石の洞窟・試練?
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見上げ、見渡す限りの白。魔白曜石の森の開けた場所にある白い断崖絶壁。そこで、魔白曜石洞窟の入口は大きく口を開けていた。
早苗は視線を、花梨や咲希、小春、ロイやカンナへと流す。
「それじゃ準備はOKよ、ね?」
「おやつもばっちりだよ、早苗先輩」
カンナは突っ込まずにはいられない。
「あのねぇ小春さん、遠足に行く訳じゃないのよ」
しかしながら、その能天気さはとどまることをしらない。
「分かってるよカンナちゃん。遠足ならおやつは三百円までだけど、今回は遠足とは違うから無制限ということでしょう。今回は、お弁当もちょっと豪華だよ」
続いて花梨が突っ込んだ。
「小春ちゃん、魔物と戦ったり、ちょっとしたアクシデントで弁当ぐちゃぐちゃになったりしない?」
カンナは突っ込みを入られずにはいられない。
「馬鹿ですかアナタは」
小春は胸元にある紐で手繰りよせ小さな鈴を取り出して、どや顔だ。
「大丈夫。大丈夫。この収納鈴は、お弁当ぐちゃぐちゃ防止機能がある優れ物新製品だから」
収納鈴は、こことは違う異世界の魔道具だ。
小春は魔力を流すと、鈴はどんどん巨大して直径2メートル程になる。
「なかなかいいでしょう?」
花梨は感心する。
「なかなか便利だね。それ、わたしも欲しいな」
「予備があるからあげようか?」
「えっ本当?」
「本当だよ」
花梨は収納鈴改を受け取るとさっそく魔力を流して、大きくしたり小さくしたりして「ワーイワーイ」と遊んだ。
異世界の魔力を得て間もない咲希も欲しかったが、そこは我慢して。
カンナはちょっと混乱してきた。
「はじめは月の鈴かと思いましたが、なんで魔力ゼロの小春さんや花梨さんが使えるんです? しかも小春さんや花梨さんからも、その鈴からもなんの魔力も感じないです。その不思議アイテムはなんなんです? というかアナタ達は、なんでそんなに能天気なんなんです!」
段だんと声を荒らげてきたカンナに、花梨は簡潔に答える。
「仕方ないよ。これがわたし達なんだから」
いつもなら能天気だと言われているカンナが突っ込みにまわるとは、ロイは中なかだと思った。何が中なかだと訊かれたら困るが、ロイ自身、そんな光景は嫌いじゃない。
カンナは気になることだらけで。
それでもことは進んで行く。
主に早苗の手によって。
「とりあえず、先頭はわたしで次にカンナ。後方は、花梨と小春。多分、わたしとロイの実力にそんなに開きはないはずだから。ということで、一番後方はまかせたわよロイ」
この配置は強敵に挟まれたとき、対処しやすいようにだ。
早苗は、ロイを、あの西尾と同種だと思っているが実力だけは信頼している。
逆をいえば実力しか信頼してない訳だが、はたから見たらそれも悲しいものがあるだろう。
ーーことは順調に進んでいく。
カンナは早苗の強さに感動もするが、
「流石は早苗さんですね。けれども何故、魔力ゼロのあの三人組も強いんです。それにあの技は、ほとんど魔法じゃないですか。いったいあの三人は何者なんです?」
分からないことは混乱するばかりで。
咲希はノーコメントで、花梨と小春は真面目に答えずはぐらかすばかりで。
それでも、前へと。
進んで行くと、小さな立て札があった。
見た目的には木製ぽいが、小春が触ってみると石のように硬く冷たい。そして、触ったまま文字を読みあげた。
「これから先は、魔力使用不可能エリア。上空は、竜の巣……竜の巣って何?」
カンナは、赤い月明かりが射し込む上空を見上げ説明する。
「竜の巣というのは、激しく気流が乱れているところを差すんです。魔法も駄目。そうなると、そこにある階段を一歩一歩あがるしか方法はないですよね」
小春は、一段一段の高さは普通だが、横幅が10メートルはありそうな曲がりくねった階段を見上げ、あまりの階段の長さに思わずため息を吐き出した。
「いかにも、罠がありますって言わないばかりの階段をのぼるなんて面倒くさいよ。お空を飛んで行ったほうが早いよ」
あきれぎみに、カンナは再度説明する。
「魔法は駄目。さらには、上空は気流の乱れが激しいんですよ。それでどうやってお空を飛んで行くんです?」
小春は立て札の先へと足を踏み入れて、
「ん~と、ね。とりあえずこっちへ」
そう促して。
花梨も足を踏み入れて。
早苗、咲希と続いて、
「早く、ちゃんとロイも来なさい」
皆、立て札の先へと足を踏み入れ一ヶ所へと集まった。
小春は魔力を放出。それを球状の膜にして皆を包み込むように張って、花梨へと視線を向けた。
「んじゃ。わたしは魔力で皆を運ぶから、花梨ちゃん結界の方をお願いね」
「うん、分かった」
花梨は自身の魔力で小春の魔力の膜を包み込み、蒼い陣を描いて、
「高めるは風の壁。集え、我の魔力のもとへ」
言霊をのせて結界を強化。
上昇。
あっさりと、曲がりくねった階段の終わった先へとたどり着いた。
ロイは自分達とまったく違う異質な魔力の説明を受けていたが、実感が中なか追い付かない。
カンナはその考えにまったく至っていない。しかも激しい気流の竜の巣の中を、まったく何の影響も受けずにとおり抜けたのだ。驚くなという方が無理だろう。
カンナの目を丸くしたさまに、小春はどや顔だ。
「早く、楽だったでしょう。階段をのぼって行くより」
カンナは肯定して、
「ええ。まあ……」
気になることは深まるばかりだが。
それでも前へと進むと。
何処からか低い声が聞こえてきた。
「ここにたどり着いたいうことは、無魔力地帯の階段をのぼり、試練を乗り越えてきたこということか」
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