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第二章・ギルドで最低ランクまで落ちてしまったので、リアルを頑張ります。
*七十八・鈴魔法学園・日常
しおりを挟む小春の考えでは、こちら側の魔法陣と異世界の陣を一種類ずつ描いた指輪を作るつもりだ。
欲を言えば、こちら側の魔法陣を二種類描いたのをもう一つ。
さらに欲を言えば、異世界の陣を二種類描いたのをもう一つ。
素材は後から追加するとして、計、四種類は欲しいところだ。
その為には、まだまだ赤い月の魔法陣を覚えないとならない。
ロベルト教師は続ける。
「まあ。ここで習う魔法陣は覚えといて損はないはずだ。ということで、今日は魔法陣の授業から始めるぞ」
一時間目は火属性の魔法陣の応用編から授業が始まって小春は、
「なんでいきなり、応用編?」
嘆いていた。
花梨と小春は馬鹿だったがそれなりに興味があったので、それなりに真剣で。
クオンは魔力はないが頭が良い為、普通に授業についていくことが出来て。
苗に限っては聞くふりをしていただけだったが、ほとんどは知っていることだった。
二時間目の月属性に限って苗は自身の扱えない属性で、実は未知の部分も多く、念の為それなりに真剣に授業を聞いていた。
そんな感じで授業は進んで。
魔道具・魔武器作成の授業当日となった。
ーーその前日の夜。
ギルド巡礼で小春にあたえられた個室のドアを、咲希はノックする。
「入っていいですか?」
「ん? いいよ」
咲希がドアを開けると視界に、魔法陣の本を読む小春が飛び込んできた。
「熱心ですね」
「まあ、ね。それなりに興味あるから。あ。それと、わたしや花梨の異世界の魔力を扱う為の陣を教えてあげないと。一応、わたしは花梨や咲希さんの先輩になるからね」
「正直、アナタ達の異質な魔力というのが、まだ良く分からないのですが」
小春は、ニヤニヤ顔で続ける。
「まあ……説明すると、わたしや花梨、西尾先輩の魔力はこの世界には存在しなくって、失われた属性である闇や聖ともまったく違うの。“異界”とも違うまったく別世界の魔力なんだよ。わたし達の魔力は、こことは質そのものが違うみたい。その異世界の陣、覚える気ある?」
咲希は頭を下げる。
「教えて欲しいです」
小春による異世界の陣と言霊講座が始まり。属性がないことや、陣を描かくことで言霊に意味を宿すことや、時間を短縮する為に陣を描いた道具を使うことまで。途中で花梨を加えて、小春は丁寧に教えた。
こうして、鈴魔法学園とギルド巡礼での一日がすぎていった。
鈴魔法学園、四日目。
「今日は、魔道具・魔武器作成を中心的におこなう。その中で、一番の要となるのは、素材に魔法陣を刻む作業だ。あまり高度な魔法陣を描いても、自分の力量にあってないと発動出来ないからな。だから新入生は、慎重に魔法陣を選べ」
ロベルト教師の台詞から今日一日の授業が始まり。指輪の使い方や素材を加工する方法を、新入生を中心として丁寧に教えていく。
小春の期待度は高まって、魔黒曜石へ異世界の陣から刻むことにした。
ロベルト教師はその下書きを見て。
「この魔法陣は?」
小春は自信満まんで答えて。
「わたしのオリジナルだよ」
ロベルト教師はあきれぎみになる。
「あのな、そんな存在しない魔法陣を設計図にしても意味はないはないんだぞ」
反論するのは咲希だ。
「いや、この魔法陣はきちんと意味はありますよ。今のわたしは魔力がないので、指輪の魔力を使うことになりますが」
咲希は宙に蒼い陣を描いて、
「高めるは風の渦。集え、我の魔力のもとへ」
言霊をのせた。
咲希の人差し指からは、指輪の魔力へ、付与させた異世界の魔力が風の渦となり放たれる。
ロベルト教師は早口になる。
「いつどこでそんな詠唱と魔法陣を知った?」
正規の魔法陣でも同じ現象は起こせるが、今までにないやり方に驚きは隠せなかった。上手く使えば、今まで以上に応用が利くはずだ。
ロベルト教師のあまりの取り乱しように、咲希は冷静な言葉を投げかける。
「驚きすぎですよ。落ち着いたらどうです」
「すまん。つい。けれども本当にどこで?」
「まあ、覚えたのは昨日ですけどね。どこでかは内緒です」
「そうか。ちょっと気になるところだが、それなら仕方ないな」
ロベルト教師はかなり気になっていたが、そう答える程度にとどめた。
気になっていたのは、苗の正体とロイの強さを知るもう一組のSSSランク・彼と彼女らの二人も同じだった。
そして、いきなり異質な陣を刻もうとしていのは咲希も花梨も同じだ。
その行動は、ロベルト教師を勘違いさせるには充分だ。
どうなっている? 新しい魔法陣や、新しい魔法を作る研究者達と知り合いなのは恐らく間違いない。だがしかし、魔力を持たない者らに研究者らが関わるだろうか? いや、もしかしたら魔力がゼロだからこそ?
考えは、もう一組のSSSランクの彼と彼女らの二人も似たようなものだった。
花梨・咲希・小春は魔黒曜石へ、異質な魔力をちょっとずつ染み込ませて。
クオンは、魔道具の魔力を染み込ませて。
苗とロイは自身の実力を隠す為。自身専用の魔道具が元からある二人だが、展開的に面白くなるからと適当に魔法道具を作成していく。
もう一組のSSSランクの二人を含めて、魔法道具・魔武器を作成ずみの生徒は今日の授業を受けないのも多い。
今日の授業が魔道具・魔武器作成が主なのは一人一人、魔道具・魔武器作成についやすその数や時間が違うから、それらのばらつきをちょっとでも抑える為にだ。
ーーそして今日の授業が終わり、それから一週間が過ぎた。
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