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第一章・夢はゲームで叶えよう花梨と芽衣と小百合の冒険譚
*四十五・戦斧の決意
しおりを挟むリゼは爪を振りかざして、息を吸い込み炎を吐く。
花梨は爪をロリ真夢剛竜剣で受け止め。
「やっぱりわたしは、こっちの方が合ってるかな」
大剣をナイフ状に変化させ蒼い陣を描いて、
「高めるは炎。集え、我の魔力のもとへ」
言霊をのせて火球を放ってリゼの炎を相殺して。
萌衣はソフィアの爪による連続攻撃を、ナイフ状の百合真夢剛竜剣で受け流す。
一連の動作が終わった一瞬の隙を、絶えず暴れているリヴァイが攻める。
ドドは明らかに不利だと感じた。こうなった原因は、ミミにあるのは間違いはず。マホデンをかけるがミミが出ない。
「ミミが簡単に出るはずないのです。だからわたしは最初からアナタに連絡を入れたのです」
「えっ? 俺ってそんなに期待されたの?」
「お馬鹿、そんなはずないのです。そばに強力な助っ人がいる可能性にかけたのです」
瑠璃が反応する。
「レレ、ミミって?」
「その説明は後なのです。今はこの場を無事に切り抜ける方法を考えるのです。というかドドは、他に誰か強力な助っ人になりそうな人を知らないのですか?」
「二人いるけど、今は酔っぱらって寝ているんだよ」
レレはため息を吐く。
「ドドは使えないのです。後、変態さんに磨きがかかったのです」
「いや俺のせいじゃね~よ!」
戦斧は状況を見る。
「このままだとかなりヤバいな。そこの名前は確か、小春……だったか。この結界もそう長く持たないんじゃないか?」
「確かにこのままだとヤバいかもね。結構キツいし」
戦斧はドドに視線を移す。
「お前は、マホデンをかけ続けろ。運が良ければ反応してくれるだろ」
レレは問う。
「戦斧さんはどうするのです?」
「俺はあの緑のデカブツを引き付ける。あの効果もずっとじゃないだろうし、あの花梨らも一体対一になれば部もあるだろしな」
瑠璃が心配する。
「大丈夫なんですか? アレ前より力を増してますよ。あの緑のヤツも同等以上の力がある可能性が高いです。ある意味、無謀ですよ」
「確かにそうだな。俺だって無謀だということは分かってるよ」
「だったら……」
「……昔と違って、今なら逃げられる状況ならさっさと逃げていただろうよ。だけど今は逃げられない状況だ。しかもこちら側は二対三で劣勢…………俺は、昔から主役になれない体質だったんだよ。なんか……こう……活躍するのは俺の周りの連中ばかり。俺はそれが嫌で足掻いた訳だが何故か届かない。その内、肝心な所は周りが頑張れいい。そして……金さえ手に入れば、ほかはどうでも良くなったんだよ。だけど今は、お前や花梨の馬鹿のせいで昔を思い出してな……昔みたいにかっこ付けるなら、今がその時期だと思うんだよ」
瑠璃が反論する。
「だけど」
戦斧は正直、怖かった。
自分自身の命もそうだがそれより遥かに、瑠璃と過ごした日々が壊れるのが怖かった。
戦斧は心のどこかで、いつも寂しさを抱えていた。その穴を埋めたのが瑠璃だ。
らしくもない……と思うが、戦斧は確実に変わっていた。
そうでなければ、自分自身の命ですら怖いと思わなかっただろう。
「俺は、な……瑠璃と一緒に過ごす時間を結構気に入ってるだよ」
瑠璃の顔がちょっと赤くなる。
「だけどです……あの様子だと花梨さんと萌衣さんは、もしものフォローを戦斧さんに出来ないですよ」
戦斧は叫ぶ。
「アホか! だから行くんじゃねーか! そういう余裕のある相手じゃねぇんだから。お前は、黙って俺のやることを見とけばそれでいいんだよ!」
「だけど……」
「……ちょっと緑のデカブツの気を引くだけだ。上手く俺が引き付けてアイツらが1対1の闘いに勝てたら、残りは二対一で楽勝だろう」
小春は結界を維持したまま戦斧を見据えて、収納鈴から自身の魔力を圧縮した固まりを取り出した。
「戦斧さんコレを使って」
「わたしの魔力を圧縮した固まり。コレも、結構圧縮しているからキツいかもしれないけど。昔失敗しているけど、恐らく勝率はこっちの方が高いから」
「まあまったく分からないが、ありがとうな。んで、コレをどうしたらいいんだ?」
「それをそのまま食べて、圧縮しすぎているから激しい痛みが襲うだろうけど」
戦斧は一瞬、戸惑った。
小春からも受け取った球からも、まったく魔力を感じない。そのなのに魔力がどうとかこうとか、意味が分かるはずがない。はっきり言って怪しいだけだ。
だが花梨と萌衣はかなりの苦戦をしていて、悩んでいる暇はないと判断。
戦斧は覚悟を決め、異世界の魔力の固まりを丸飲みした。
まったく分からない未知の力が戦斧の全身を駆け巡り、地獄の業火に焼かれたような痛みが突き抜け、戦斧は膝を付いてから倒れた。
ち、ちくしょう! なんなんだよコレは? 確かにあり得ない程の力がみなぎるが、コレじゃ動けねぇ~ぞ。俺はこんなところで寝てる場合じゃないんだよっ!
戦斧はゆっくりと立ち上がると今度はゆっくりと痛みが引いて、全身からまったく理解不能の力が溢れ出した。そのまま結界の外へ出る。
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