上 下
41 / 99
第一章・夢はゲームで叶えよう花梨と芽衣と小百合の冒険譚

*四十一・魔法感謝祭の砲撃ゲーム・二

しおりを挟む
  
 条件なしの的は暗黙の了解という訳でもないが、一般的に適正は土属性とされている。火・水・風属性なら、燃焼・凍結・感電の方が適正が高く、月属性だと攻撃魔法そのものが少なく威力も土属性より下という認識が多い。

 月属性で無詠唱で100点満点というのは異例だった。

 燃焼・凍結・感電満的で150点満点を狙うより明らかにハードルが高い。
 だから砲撃ゲームの店主がどう考えても無詠唱で放った女の子の方が凄いでしょう? と無詠唱ボーナスという点数を加算したのだ。
 当然、萌衣や花梨、彰や小夜達は知らないが。

 次に挑戦したのは花梨だった。

 花梨は西尾お兄ちゃんが見ている前だからかっこ良いところを見せたかった。萌衣にも負けたくなかった。花梨の異世界の魔力なら萌衣の真似も可能だが、なんとなくインパクトに欠けると思って選んだ的は感電と凍結だ。

 彰と小夜は驚いた。
 ゲームじゃあるまいし出来る訳ない。二人はそう信じて疑わない。
 だけど小百合と萌衣は、なんとなく出来そうな予感がしていた。

 花梨は蒼い陣を描いて、
「高めるは雷。集え、我の魔力のもとへ」
 言霊をのせる。

 蒼い陣から雷が放たれ的に命中。直径50センチぐらいの的に対して直径5メートル以上の範囲の放電と帯電の視認が出来る程の威力だ。
 花梨・感電的・150点満点。

 花梨は蒼い陣を描いて、
「高めるは水から氷の渦へ。集え、我の魔力のもとへ」
 言霊をのせる。   
 蒼い陣から氷の渦が放たれ的に命中して、3メートル以上の範囲が氷付けになる。 
 花梨・凍結的・150点満点。

 小百合や萌衣・夕維、早苗や西尾達はそうでもなかったが、彰と小夜はめちゃめちゃびびった。
 あり得なすぎるからだ。どう考えてもおかしい。見たことのない蒼い陣がそれに拍車はくしゃをかける。

 次に挑戦したのは小春だった。

 選んだ的は燃焼と感電だ。

 さすがに魔力ゼロでコレは無謀むぼうだろうと彰と小夜は思った。ゲームではないのだから。

 小春は蒼い陣を描いて、
「高めるは炎。集え、我の魔力のもとへ」
 言霊をのせる。
 蒼い陣から放たれた炎が的に命中して5メートル以上の火柱が上がった。
 小春・燃焼的・150点満点。

 小春は蒼い陣を描いて、
「高めるは雷。集え、我の魔力のもとへ」
 言霊をのせる。

 蒼い陣から雷が放たれ的に命中。直径50センチぐらいの的に対して、花梨同様に直径5メートル以上の範囲の放電と帯電の視認が出来る程の威力だ。
 小春・感電的・150点満点。  

 これもあり得なすぎた。どういうことだ? 彰と小夜の? の渦に萌衣も混ざった。
 花梨と違って魔力そのもの自体がなかったからだ。さすがにそうなると萌衣も驚きを隠せなかった。 

 次に挑戦したのは西尾だった。
 花梨が超期待の眼差まなざしを向けている。

 花梨と小春が異質な魔力を隠す気ゼロなので、西尾は俺もいいや、と思った。

 選んだのは凍結的と感電的。

 西尾は蒼い陣を描いて、
「高めるは水から氷の渦へ。集え、我の魔力のもとへ」
 言霊をのせる。
 蒼い陣から氷の渦が放たれ的に命中して、5メートル以上の範囲が氷付けになる。 
 西尾・凍結的・150点満点。 

 西尾は蒼い陣を描いて、
「高めるは雷。集え、我の魔力のもとへ」
 言霊をのせる。
 蒼い陣から雷が放たれ的に命中。直径7メートル以上の範囲の放電と帯電の視認が出来る。
 西尾・感電的・150点満点。  
 
「闘気術も結構凄いだろう……」

 彰は頭がクラクラしてきた。 
「魔力がどうとか言ってなかったか?」
 小夜も頭がクラクラしてきた。
「わたしも聞いた」

 西尾は笑みを浮かべたままで。
 花梨が言い訳をする。
「それは、ちょっとしたシャレけというヤツだよ」
 小春もそれに乗る。
「だよだよ」

 彰と小夜は良く分からなかった。
「「そういうものか?」」
 花梨と小春は即答。
「「そうだよ」」

 彰と小夜はひざを付いた。

 *

 戦斧と瑠璃とレレはかなりヤバイ状況だった。
 満身創痍そういで巨大な火竜の様子をうかがいながら、巨大な岩影に身を隠している。
 
 レレはひらめいた。

「わたしは良い考えを閃いたのです」

 戦斧は質問する。

「そのアイデアは?」

「マホデンで助けを求めるのです」

 戦斧は突っ込みを入れる。

「最初に気付けよ! 俺はマホデンを知っている知り合いに、ゲームをやっているヤツがいないんだよ!」

「わたしもです」

 瑠璃もゲーム仲間は少なかった。
 レレは言い訳をする。

「……落ち着いて聞いてください。わたしの知り合いにドドという変態がいます。ですがはっきり言って、その彼は戦力になりません。だけどドドなら、強力な助っ人になりそうな人を知っている可能性があるかもと閃いたのです。わたしのスキルなら、マホデン相手がログインした時に、この場所の近くまでなら強制的に転移させることも可能です」
 
 戦斧は素直に感心する。
「そりゃすげ~なぁ」
 レレは胸を張る。
「エッヘンなのです。そうですレレは凄いのです」

 レレはかなりのドヤ顔だったが、戦斧はプルプルと震えていた。
 瑠璃もプルプルと震えていた。

 瑠璃も初めて聞いた能力だった。まさかレレの能力でそこまで出来るとは思ってなかったからだ。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

ミネルヴァ大陸戦記

一条 千種
ファンタジー
遠き異世界、ミネルヴァ大陸の歴史に忽然と現れた偉大なる術者の一族。 その力は自然の摂理をも凌駕するほどに強力で、世界の安定と均衡を保つため、決して邪心を持つ人間に授けてはならないものとされていた。 しかし、術者の心の素直さにつけこんだ一人の野心家の手で、その能力は拡散してしまう。 世界は術者の力を恐れ、次第に彼らは自らの異能を隠し、術者の存在はおとぎ話として語られるのみとなった。 時代は移り、大陸西南に位置するロンバルディア教国。 美しき王女・エスメラルダが戴冠を迎えようとする日に、術者の末裔は再び世界に現れる。 ほぼ同時期、別の国では邪悪な術者が大国の支配権を手に入れようとしていた。 術者の再臨とともに大きく波乱へと動き出す世界の歴史を、主要な人物にスポットを当て群像劇として描いていく。 ※作中に一部差別用語を用いていますが、あくまで文学的意図での使用であり、当事者を差別する意図は一切ありません ※作中の舞台は、科学的には史実世界と同等の進行速度ですが、文化的あるいは政治思想的には架空の設定を用いています。そのため近代民主主義国家と封建制国家が同じ科学レベルで共存している等の設定があります ※表現は控えめを意識していますが、一部残酷描写や性的描写があります

百年に一人の落ちこぼれなのに学院一の秀才をうっかり消去しちゃいました

平田加津実
ファンタジー
国立魔術学院の選抜試験ですばらしい成績をおさめ、百年に一人の逸材だと賞賛されていたティルアは、落第を繰り返す永遠の1年生。今では百年に一人の落ちこぼれと呼ばれていた。 ティルアは消去呪文の練習中に起きた誤作動に、学院一の秀才であるユーリウスを巻き込んでしまい、彼自身を消去してしまう。ティルア以外の人の目には見えず、すぐそばにいるのに触れることもできない彼を、元の世界に戻せるのはティルアの出現呪文だけなのに、彼女は相変わらずポンコツで……。

竜焔の騎士

時雨青葉
ファンタジー
―――竜血剣《焔乱舞》。それは、ドラゴンと人間にかつてあった絆の証…… これは、人間とドラゴンの二種族が栄える世界で起こった一つの物語――― 田舎町の孤児院で暮らすキリハはある日、しゃべるぬいぐるみのフールと出会う。 会うなり目を輝かせたフールが取り出したのは―――サイコロ? マイペースな彼についていけないキリハだったが、彼との出会いがキリハの人生を大きく変える。 「フールに、選ばれたのでしょう?」 突然訪ねてきた彼女が告げた言葉の意味とは――!? この世にたった一つの剣を手にした少年が、ドラゴンにも人間にも体当たりで向き合っていく波瀾万丈ストーリー! 天然無自覚の最強剣士が、今ここに爆誕します!!

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

処理中です...