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第一章・夢はゲームで叶えよう花梨と芽衣と小百合の冒険譚
*四十一・魔法感謝祭の砲撃ゲーム・二
しおりを挟む条件なしの的は暗黙の了解という訳でもないが、一般的に適正は土属性とされている。火・水・風属性なら、燃焼・凍結・感電の方が適正が高く、月属性だと攻撃魔法そのものが少なく威力も土属性より下という認識が多い。
月属性で無詠唱で100点満点というのは異例だった。
燃焼・凍結・感電満的で150点満点を狙うより明らかにハードルが高い。
だから砲撃ゲームの店主がどう考えても無詠唱で放った女の子の方が凄いでしょう? と無詠唱ボーナスという点数を加算したのだ。
当然、萌衣や花梨、彰や小夜達は知らないが。
次に挑戦したのは花梨だった。
花梨は西尾お兄ちゃんが見ている前だからかっこ良いところを見せたかった。萌衣にも負けたくなかった。花梨の異世界の魔力なら萌衣の真似も可能だが、なんとなくインパクトに欠けると思って選んだ的は感電と凍結だ。
彰と小夜は驚いた。
ゲームじゃあるまいし出来る訳ない。二人はそう信じて疑わない。
だけど小百合と萌衣は、なんとなく出来そうな予感がしていた。
花梨は蒼い陣を描いて、
「高めるは雷。集え、我の魔力のもとへ」
言霊をのせる。
蒼い陣から雷が放たれ的に命中。直径50センチぐらいの的に対して直径5メートル以上の範囲の放電と帯電の視認が出来る程の威力だ。
花梨・感電的・150点満点。
花梨は蒼い陣を描いて、
「高めるは水から氷の渦へ。集え、我の魔力のもとへ」
言霊をのせる。
蒼い陣から氷の渦が放たれ的に命中して、3メートル以上の範囲が氷付けになる。
花梨・凍結的・150点満点。
小百合や萌衣・夕維、早苗や西尾達はそうでもなかったが、彰と小夜はめちゃめちゃびびった。
あり得なすぎるからだ。どう考えてもおかしい。見たことのない蒼い陣がそれに拍車をかける。
次に挑戦したのは小春だった。
選んだ的は燃焼と感電だ。
さすがに魔力ゼロでコレは無謀だろうと彰と小夜は思った。ゲームではないのだから。
小春は蒼い陣を描いて、
「高めるは炎。集え、我の魔力のもとへ」
言霊をのせる。
蒼い陣から放たれた炎が的に命中して5メートル以上の火柱が上がった。
小春・燃焼的・150点満点。
小春は蒼い陣を描いて、
「高めるは雷。集え、我の魔力のもとへ」
言霊をのせる。
蒼い陣から雷が放たれ的に命中。直径50センチぐらいの的に対して、花梨同様に直径5メートル以上の範囲の放電と帯電の視認が出来る程の威力だ。
小春・感電的・150点満点。
これもあり得なすぎた。どういうことだ? 彰と小夜の? の渦に萌衣も混ざった。
花梨と違って魔力そのもの自体がなかったからだ。さすがにそうなると萌衣も驚きを隠せなかった。
次に挑戦したのは西尾だった。
花梨が超期待の眼差しを向けている。
花梨と小春が異質な魔力を隠す気ゼロなので、西尾は俺もいいや、と思った。
選んだのは凍結的と感電的。
西尾は蒼い陣を描いて、
「高めるは水から氷の渦へ。集え、我の魔力のもとへ」
言霊をのせる。
蒼い陣から氷の渦が放たれ的に命中して、5メートル以上の範囲が氷付けになる。
西尾・凍結的・150点満点。
西尾は蒼い陣を描いて、
「高めるは雷。集え、我の魔力のもとへ」
言霊をのせる。
蒼い陣から雷が放たれ的に命中。直径7メートル以上の範囲の放電と帯電の視認が出来る。
西尾・感電的・150点満点。
「闘気術も結構凄いだろう……」
彰は頭がクラクラしてきた。
「魔力がどうとか言ってなかったか?」
小夜も頭がクラクラしてきた。
「わたしも聞いた」
西尾は笑みを浮かべたままで。
花梨が言い訳をする。
「それは、ちょっとしたシャレけというヤツだよ」
小春もそれに乗る。
「だよだよ」
彰と小夜は良く分からなかった。
「「そういうものか?」」
花梨と小春は即答。
「「そうだよ」」
彰と小夜は膝を付いた。
*
戦斧と瑠璃とレレはかなりヤバイ状況だった。
満身創痍で巨大な火竜の様子を窺いながら、巨大な岩影に身を隠している。
レレは閃いた。
「わたしは良い考えを閃いたのです」
戦斧は質問する。
「そのアイデアは?」
「マホデンで助けを求めるのです」
戦斧は突っ込みを入れる。
「最初に気付けよ! 俺はマホデンを知っている知り合いに、ゲームをやっているヤツがいないんだよ!」
「わたしもです」
瑠璃もゲーム仲間は少なかった。
レレは言い訳をする。
「……落ち着いて聞いてください。わたしの知り合いにドドという変態がいます。ですがはっきり言って、その彼は戦力になりません。だけどドドなら、強力な助っ人になりそうな人を知っている可能性があるかもと閃いたのです。わたしのスキルなら、マホデン相手がログインした時に、この場所の近くまでなら強制的に転移させることも可能です」
戦斧は素直に感心する。
「そりゃすげ~なぁ」
レレは胸を張る。
「エッヘンなのです。そうですレレは凄いのです」
レレはかなりのドヤ顔だったが、戦斧はプルプルと震えていた。
瑠璃もプルプルと震えていた。
瑠璃も初めて聞いた能力だった。まさかレレの能力でそこまで出来るとは思ってなかったからだ。
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