魔力ゼロの異世界転移者からちょっとだけ譲り受けた魔力は、意外と最強でした

淑女

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第一章・夢はゲームで叶えよう花梨と芽衣と小百合の冒険譚

*三十九・魔法感謝祭のパンチングマホマシンゲーム

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 血の力から異質な魔力まで把握している早苗は、萌衣や花梨達に勝てる気がしないが若干じゃかん競争意識が芽生えた。
 
「このゲームはどう考えても西尾君や花梨梨ちゃん、萌衣ちゃんや小春ちゃんが有利ね。わたし達が勝つのは無理があるわね」

 彰は反論する。

「西尾に関しては、俺と小夜は昔パーティーを組んでいた仲だ。だから西尾の凄さは知っているつもりだが、いくらなんでも最初から勝てないと決め付けられるものでもないと思うが? ほかに述べた三人も西尾と同等レベルというのも考えづらい……魔力ゼロで西尾は化物レベルだぞ。もし魔力があったら俺達なんて余裕で越えているからな」

 小夜も同意する。

「わたしもそう思う」

 早苗は小さく笑う。

「そりゃそうよ西尾君の実力は、全魔力解放状態のわたしと互角。いや……条件や西尾君のモチベーション次第ではわたしより上なんだから」

 小夜は簡単に信じられない。

「いくらなんでもそれは冗談?」

 彰は西尾がある意味化物なら、早苗は本当の化物にしか思えない。なら、

「あれだ。実は西尾は魔力を隠していたというオチか?」

 早苗は小さく笑っている。

「それもないわよ」

 彰はちんぷんかんぷんだ。

「闘気術だけで互角……そんなアホな」

 小夜も同意する。

「わたしも同感」

「まあ見てたら分かるわよ」

 花梨や早苗達の中で最初に遊んだのは萌衣だ。 
 血の力を付与してパンチングママシンを思い切り殴り付けた。

 萌衣の初回の記録・557点。  

 これには、周りにいた人達も度を肝抜かれた。
 今までの記録からすると110点が最高だ。100点前後でトップクラスの点数はある。それが5倍以上……明らかに異状だ
 ゆえにキ~ンコ~ンカ~ンコ~ンとかねの音が鳴り響いた。

『すみませんパンチングマホマシンのメンテナンスに入ります。ご迷惑をおかけしてすみません』
 十五分後。
『すみません。大変ご迷惑をおかけしました。引き続きお楽しみください』

 萌衣2回目・575点。
 萌衣3回目・562点。

 夕維の顔が真っ青になった。
 思考が高速回転する。

 なんだアレは? ……超変態の萌衣お姉ちゃんは人間なのか? どう考えても数字がおかしい。あんなの魔力や魔法で強化しても無理だ。変態怪獣かなんかだきっと。ってか、変態で怪獣ってヤバすぎるだろう。きっと怒らせない方がいい。

 次は小春が遊んだ。 

 小春1回目・538点
 小春2回目・523点。

 三回目は超圧縮していた魔力玉を使用し、意味もなく腕をグルグル回して勢いそのままにパンチを放った。その点数・972点。  
 小春は何となく雰囲気だけで無意味に腕をグルグル回したのだが、普通の人達に理解が出来るはずがない。
 あのふざけたモーションのグルグルに意味があるに違いない。後ろに並んでいる人達は必殺、グルグルを試したくってウズウズしだす。中には、種族そのものが普通の人と違うと思っている人もいるが。実質そうなのだが……

 再び夕維は思考する。

 アレも怪獣だな。んで、俺みたいに人形ひとがたになっているのかな? というか俺……本来の姿より、こっちの方が定着しそうだよ。魔法でスカートめくりも出来なくなったし泣きたい。

 次に遊んだのは花梨だった。

 神経を集中。異質な魔力を利用しパンチングマホマシンを思い切り殴り付けた。

 花梨1回目・502点。
 花梨2回目・520点。

 三回目は異質な魔力に月属性を付与して、花梨も意味なく雰囲気で腕をグルグル回して思い切り殴り付けた。その点数・680点。

 再び夕維は思考する。

 いや、やっぱり……どう考えてもコイツら変態エロ怪獣だ。類が友を呼んだんだろうか? 普通の人達と違って常識も性癖もずれているし。コイツら脳筋だし頭悪いし。こんな変態エロ怪獣らに囲まれて、俺、大丈夫なんだろうか?

 次に遊んだのは西尾だった。

 異質な魔力を利用してパンチングマホマシンを思い切り殴り付けた。

 西尾一回目・782点。
 西尾二回目・783点。
 西尾三回目・891点。 

 萌衣は素直に驚いて、

「す、凄い」

 小春も素直に強さを認めた。

「まだ西尾先輩には勝てないか」

 大好きな西尾お兄ちゃんが一番で、花梨は大喜び。

「西尾お兄ちゃん、凄い! 凄い! 流石はわたしの師匠だけの事はあるよね」

 彰と小夜は思い切りポカーン。
 彰はなかなか上手く喋れず口をパクパクさせた…… 

「に……に、西尾。お前、怪獣だったのか? だから強い訳だ。俺はもう、お前に勝てる気がしない」  

 小夜は同意して言いたい放題だ。

「……わたしも勝てる気がしない。しかし、怪獣が上手く化けたものだな。もしかしてわたし達とパーティーを組んでいた時は、怪獣だとばれないように力をセーブしていたりして? だけど西尾、気にするな。わたしと彰は正体がロリコン好きの怪獣だろうと気にしないぞ」

「ちょっと待て、小夜? 何故、俺がロリコンなんだ? それに俺は怪獣じゃあない」

 西尾の反論を、小夜は聞く耳を持たない。

「花梨という女の子の師匠だったり、小春という女の子の先輩だったり、怪獣同士で何かしら特別な関係のはず。よってわたしは、西尾をロリコンと断定する」
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