魔力ゼロの異世界転移者からちょっとだけ譲り受けた魔力は、意外と最強でした

淑女

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第一章・夢はゲームで叶えよう花梨と芽衣と小百合の冒険譚

*二十五・落風の試練への道チキチキトーナメント戦・二~三回戦目へ

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 百合真夢柔竜剣とは、ロリ真夢剛竜剣とは対をなす超激レア装備だ。超激レア装備の中でも一、二位を争う。

 特徴として装備者のスピードをプラス200%(3倍)。小さな三つの宝玉が埋め込まれていて、それに魔法を保存させ誰でも無詠唱で魔法を発動させられる。

 元から無詠唱で撃てる者なら、プラス3つの魔法を無詠唱で放てる。
 宝玉へ属性関係なしに魔力を流すだけという単純な動作になるぶん、通常の無詠唱より早く魔法を発動させる事が可能だ。

 これが自身のスキルとなれば、スピードは常時プラス200%。
 宝玉は自身で同時に3つまで生み出せ、百合真夢柔竜剣と埋め込まれていた時と同じように使える。
 強力すぎて、宝玉から1回魔法を発動させたらクールタイムが5分というかせが追加されたのが百合真夢柔竜剣だ。 

 そのスキルの中でも三つの宝玉を全て発動させて放つ、“ギガ百合スラシュ”は超必殺技だ。威力は、百合スラシュの50倍(当社比)だ。

 強力だが、宝玉一つと三つでは魔力を流すスピードは一つの方が早いーー鞘に収めた百合真夢柔竜剣・大剣は刀と同じ形状になりーー鞘内で加速する為に、一度鞘に収める必要がある。

 鞘内で刃を走らせることと鞘引きで威力は上がるが通常、モンスターを相手にする場合は武器を鞘に収めている人は少ない。
 本来なら強力なモンスターを相手にする為に威力を上げる技だ。

 瑠璃はギガ百合スラシュを撃つ為に百合真夢柔竜を鞘へ。

 萌衣は思った。
 隙だらけだよね?
 萌衣は地を蹴り、月属性を付与させ左右のスコップを振るう。

 瑠璃は宝玉三つに魔力を流す。

 萌衣は更に左右のスコップを振るう。

 瑠璃の竜の水晶残り0HP。
 瑠璃は片膝を付いた。
 
 バトルフィールド内の宙へ、“勝者・萌衣”という白色の文字が浮かび上がってアナウンスが流れた。

「ランク1の癖して、わたしを倒すとはなかなかやりますね。無念です。今日はここで引き下がりますが次会った時は、わたし本気を出すので覚悟してください」

「うん。良く分からないけどとりあえず分かった」

 魔法陣・フィールド内から出るとドロシーが頭を丁寧に下げた。 

「一回戦目、勝利おめでとうございます。次の対戦は、一回戦目を皆が終えて三分後になります。当店ではその間に退屈しないように、ほかの対戦を撮影してモニターに映し出しています。次の対戦まで静かにお待ちするようにお願いします」

 ーー二回戦目。
 ドロシーに案内され萌衣は魔法陣・バトルフィールドに足を踏み入れ、相手と向かい合うとアナウンスが流れた。

「二回戦目、バトル開始!」

 相手は巨大なハンマーを担ぎ、筋肉質の肉体に、キツキツで。内側の筋肉が浮かび上がりそうなシャツを装備していた。 

 萌衣は頭を下げた。

「初めましてボクは萌衣。ランクは1。宜しくお願いします」

 対戦相手も頭を下げた。

「初めまして、俺は凍凪いてなぎだ。俺のランクは250だが手加減はせんぞ。ランク1で初戦を勝ち抜いたということは、リアルでも冒険者をやっていそうだからな」

「一応そうだね。ボク自身の実力は良く分からないけどね」

 凍凪は素早く地を蹴り後ろへ下がって魔法陣を描いて、
「魔法陣にとおすは、水属性。水よファンネルとなれ」
 詠唱する。
 凍凪の周りを激しい水の流れが纏う。

 萌衣は思った。
 効率悪いんじゃ?

 萌衣がとある技を循環させて使っているのに対して、彼は魔力を垂れ流し状態に思えた。
 だがしばらくすると、担いでいるハンマーが魔力を循環。周りに漂う魔力をも取り込みハンマーにはめ込められた魔石へ。
 氷循ひょうじゅんのハンマーの効果だ。

 コストや術式の複雑さから現実的ではないが、ゲーム空間だからこそ可能で。竜の水晶で安全も保証されつつ、現実では不可能に近いことを楽しめるのがファイナルドラゴンクエストの醍醐味だ。

 氷循のハンマーのスキルを自身のスキルに出来たらかなり強力だろう。
 更に彼はもうひとつの氷循のハンマーを月の鈴にしまっている。
 氷循のハンマーのスキルを自身のものにした上で、氷循のハンマーを使えばかなり戦術は広がるはずだ。

 凍凪は地を蹴りハンマー振りかぶって、萌衣へ迫る。 

 萌衣は避けて距離をとって、二本の百均スコップへ月属性を付与する。

 振り降りたハンマーへ、二刀流のスコップで真っ向勝負。
 右手のスコップで一撃。
 一撃で氷循のハンマーを弾き飛ばし。

 左手のスコップのの部分でみぞおちを一撃。

 凍凪の竜の水晶残り0HP。
 凍凪は大の字になった。 
 
「……強いな。やっぱ現実の冒険者には勝てねぇのかな……」

「それはボクには分からないな……」 
 ーー三回戦目。

 萌衣へ頭を下げるのは、同じ竜の魔法使い・ パフスリーブの白いワンピースを装備した小柄な少女だった。 

「初めまして。わたしは春風小春。……ランクは1……わたしに名字があるのは異世界転移者だから。貴族じゃないから前もって説明しときますね」
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