魔力ゼロの異世界転移者からちょっとだけ譲り受けた魔力は、意外と最強でした

淑女

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第一章・夢はゲームで叶えよう花梨と芽衣と小百合の冒険譚

*二十三・落風の洞窟へ

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「おはよう夕維ちゃん」

 花梨はそう挨拶をして、寝ぼけまなこの夕維へゆっくりと近づいてさっとスカートをめくった。

 夕維の目は一気に覚めた。
 
「いきなり何をするんだ!」

「駄目だよ昨日と同じ下着は。男の娘なんだからおしゃれには気を使わないと。身体をきれいにする魔法をかけてあげるからこっち来て。夕維ちゃんは、魔力が封印されているから出来ないでしょう」

「嫌だ」

 夕維は逃げたが、花梨の足は早かった。

「捕まえた」

 花梨は夕維へ魔力を流してキレイキレイ。可愛いお子様ぱんつに着替えさせた。

 起きてきた小百合が挨拶をする。

「おはようございます花梨さん、夕維ちゃん。ここにもマホパソコンがあって助かりました」

 小百合が花梨にマホスマホで動画を見せる。 

「あっ! 昨日の動画にしたんだ」

「当たり前です。あれを動画にしないとプロマホVチューバーの名が泣きます」
 小百合のマホスマホの一部が赤く光った。
「花梨さん。やりましたよ初コメントです。真夕さんのパンモロ最高ですって」

 夕維はその動画を小百合という名前・昨日のチンピラお兄ちゃんからまさかと思い、登録していたサユリンチャンネルを開いた。

「今すぐその動画を消せえっ! 俺じゃねぇか!」

 小百合は即答。

「嫌です。女の子のスカートめくりで喜ぶ人は、スカートめくりで泣くんです。覚えといてください」

 朝から夕維は膝を付く。
 萌衣と小夜と彰は起きてきた。

 彰はエプロン姿(ゲーム用)だった。小夜は朝が弱いから朝ご飯を作るのは主に彼の役割だ。

「朝ご飯は食うか?」

 花梨はお腹がすいていた。

「えっ? いいの?」

 小夜は昨日と同じ服装だった。 

「問題ない食べていけ」

 花梨はちょっとだけ考えた。
 下手な遠慮は逆に失礼になるかもしれないし……
「んじゃお言葉に甘えます」 

 皆でご飯とお味噌汁・目玉焼きの朝食をとりーー
「「「「う、旨い! 」」」」と花梨・小百合・萌衣・夕維は目を見開いた。花梨と萌衣と小百合に関してはある程度自炊に自信がある為に完全敗北の美味しさだったーー

 試練を受ける為に落風の洞窟へ。

 途中モンスターとの戦闘になったが、萌衣の百均のスコップの敵ではなかった。
 到着。
 萌衣は思わず洞窟の入口の扉を見上げた。 

「結構でかいね。あれ扉の横にモニターらしものが」

 扉の横の壁にある巨大モニターを小百合は説明する。人気マホVチューバーである為に説明は得意だ。

「このモニターで中の様子を確認出来るんですよ。基本ソロクエストだから正直なくっても問題ないですが……パーティーで来た場合、待ち人が退屈するじゃないですか。その為です」

「なるほど。確かに退屈するかも」

 萌衣が扉に触れると、扉からほんのちょっとだけ離れた空間に 白色はくしょくの文字が浮かび上がった。扉自体に浮かび出ても良いが演出というやつだ。この無意味にこった演出も、ファイナルドラゴンクエストの人気の理由の一つもある。 

 この先は落風の試練を受ける者しか入れません。
 あなたはこの先に進みますか?

 *はい *いいえ

「んじゃボク頑張ってくるね」

 花梨は応援する。
「頑張って萌衣ちゃん」
 小百合も応援する。
「頑張ってくださいね萌衣さん」
 夕維は…… 
「……」
 彰も応援する。
「まあ頑張れ」
 小夜も応援する。
「頑張ってくるといい」

 萌衣は笑顔で手を振り、
「ありがとう皆」
 迷わず『はい』を押した。
 
 扉が内側から外へ開かれ、萌衣は中に入る。

「あれ? 人が結構いる」

「あら初心者さん?」

「ん? そうだよ。初めまして」

 萌衣は頭を下げた。
 萌衣より背が僅かに低い彼女は、銀縁ぎんぶちの眼鏡をかけ白いローブを纏っていた。彼女は前で両手を合わせて丁寧に頭を下げた。

「初めまして。わたしは落風の試練の案内兼説明人の、ドロシーといいます……では説明しますね。ここでは絶えず上から下に風に流れてます。だから落風の洞窟の呼ばれているのです」

 萌衣は思った。
 
「もしかして、風属性アイテム縛りとかそういう設定はない?」

「はいそうです。落風の洞窟はさっき説明したのがその由来でして。だから落風の試練と呼ばれている訳で、風属性アイテム縛りとかそういうのはまったくありません。ここでは特殊な魔法陣の上で、こちらが用意したモンスターを三匹倒してもらいます。特殊なアイテムでない限り、魔法陣の効果により、アイテムの効果が自身のスキルに移ります」

「そうなんだ。だけど人が多いね。試練を受けられる者は一人なんだよね?」

「それはですね。パーティーの中で一人という意味です」 

「ゲームなんだから、サービスで、パーティーメンバー全員でも良いと思うんだけど?」

「それは説明しますと、魔法陣に難しい術式を使っているからです。だから一日・三人・3個のアイテムが上限になります。だからトーナメント戦をしてもらいます。そこで勝ち抜いた上位の人達が試練を受ける権利を得られます」

「それなら上位の人というか、三人とストーレートに言っても良さそうだけど……」

「それは勝ち抜いた人達が試練を成功させるとは限らないからです。とあるクエストを受けて、ここで行き詰まる人も多いんですよ」

「なるほど」
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