魔力ゼロの異世界転移者からちょっとだけ譲り受けた魔力は、意外と最強でした

淑女

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第一章・夢はゲームで叶えよう花梨と芽衣と小百合の冒険譚

*二十一・ドドあらため夕維は仲間になる

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 花梨は引き下がらない。

「ちょっと付けるだけでいいからさぁ。なんの魔力も感じないでしょうコレ? コレを付けたら、わたしのパンツ見せて上げるからさぁ」

「そ、それなら」

 人形ひとがたになり、花梨から受け取った指輪をはめた瞬間、光に包まれーー白いゴロスリ服を纏っていた。肩にかかる程度に長い茶髪と良く似合う。 
 萌衣が目を見開き。
 ドドは意味が分からないで、白い毛玉に戻ろうするが戻れない。

 花梨から渡された異世界製の『奴隷どれいの指輪』の効果だ。
 マナの薬草が花梨の異世界の魔力も回復するように、奴隷指輪も思わぬ効果を確認済みだった。

 奴隷の指輪は身に付けた人の魔力を制限。魔力に反応して激痛を与える効果がある。
 だがドドが宿すのは、この世界の魔力。激痛の効果は反応せず、魔力を制限する効果だけが反応した。
 体内の魔力の流れですら止められたドドは、白いゴロスリを纏った人形ひとがたに固定された。

 ーー幼い男の娘。

 萌衣の趣味にドストライクだった。

 花梨は収納鈴からズボン(パンツ)を取り出した。

「なかなか良いデザインだと思わない」

 ドドは膝を付く。 

「確かにズボンはパンツとも言うけど、詐偽さぎだ。こんなの……というか何故変化出来ない?」

 花梨はとっても素敵な笑みを向ける。 

「ドドちゃん……わたし嘘はついてないよね? 変化出来ないのはわたしの指輪の効果。魔力は操作不能だよ。外に出すことから、ドドちゃん体内の魔力操作までね。後この服はわたしが許可しないと脱げないよ。特殊な魔力でコーティングされてるから汚れも付かないし」

「まさか……ということは俺は二度と、魔法でスカートをめくることは出来ないのか」

 ドドは脱ごうとするが、脱げない。

「なんの魔力も感じないのに……なんだよこの服……女の子全開のこの服装は嫌なのに……なんなんだよこの服」

 ドドは膝を付いて落ち込んだ
 萌衣はその姿にめちゃめちゃ興奮した。

「シルフィさんお願いがあるんだけど。ボク、ドドちゃんとゲームしたい。ドドちゃん可愛い」

 ドドは冷や汗を流す。

「俺は男だぞ?」

「だからいいんだよ! ねぇシルフィさんいいでしょう。ボク、思うんだ。この姿にドドという名前は似合わない。夕維ゆい……夕維が似合うと思うんだ」

 シルフィは質問する。

「その意味は」

真夕まゆを繋ぐという意味さ。今のこの姿にぴったりだろう」

 シルフィは思った。
 まさか……ショタ悪戯大作戦の愛読書! その愛読書なら、めちゃめちゃ良いに違いない。それなら預ける価値はあるかもしれない。それにあの指輪の仕組みも気になるし……

 萌衣は土下座をしていた。これでもという具合に、頭を地面にこすり付けて。萌衣は本気だ。

 シルフィは心を打たれた。

「いいわ。ドド……いや、夕維ちゃんに世界の常識の教えてあげて。でもそうなると報酬のスパッツのアバター装備は渡せなくなるけど」

「今回スパッツはあきらめるよ」

「即決なのね。んじゃ頑張ってね……その前に、お別れのハグをしないと」

 ドド。いや夕維はその場から逃げ出そうとしていた。

 シルフィは魔法陣を描いて、
「魔法陣にとおすは、風属性。風よ鎖となれ」
 詠唱する。

 魔法陣から発生した緑色の突風が帯のように流れ夕維を拘束する。

「ち、近寄るな! 変態! 変態! 変態! 変態! 変態!」

 夕維は叫びまくるがシルフィは無視して、近付き抱き付いて、ギュ~~と力を込めた。 
「変態だなんて酷いわね」
 シルフィはとっても笑顔だ。

 夕維は一瞬だけ放心した。
 
 彰は、そろそろいいでしょうと思った。 

「……俺はいい加減疲れた。落風らくふうの試練を受けに行くぞ」

 萌衣は? となる。

「落風の試練って、なんだったけ」

 小夜があきれる。

「ダークエルフを倒す為に風の指輪のフェアリーフィールドのスキルを、萌衣さん自身のスキルに為でしょう……変態……エロ小説の影響を受けすぎ変態」

「というかエロ小説って何? ボク分からないな」

「ショタ娘に興奮しているからだ」

 萌衣はしらを切る。

「ショタ娘ってなに?」

「男の娘のショタバージョン」

「男の娘って?」

「女の子にしか見えない男の子」

「へぇ~~。ボク、初めて知ったな。つまり小夜さんは、そういう小説が大好きなんだね。」

「ち、違う」

 小夜は何故、夕維の名前の由来を知っている? と反論しそうになったが、言い逃れは簡単に出来そうだ。
 夕維という名前に惹かれて呼んだ小説や漫画の中には、ショタ娘悪戯大作戦の夕維とほとんど同じ由来で使われているのがあるからだ。
 対してショタ娘はマニアック要素が強い。下手な事を口にしたら状況は悪化しかねない。

 シルフィは思った。
 萌衣ちゃんも小夜ちゃんも絶対に知ってるでしょう。わたしは知ってるけど、知らないふりをしよう。

 花梨と小百合は思った。
 多分どちらも知ってる。けど良く分からないから、いいや。
 彰はそんな事はどうでも良かったが、長年のつき合いだから助け船を出すことにした。   

「小夜……自身が変態とばれたからって気にするな」

「違うと言ってるだろうっ! 馬鹿ノータリン!」

 小夜の渾身こんしんのグーパンチが、彰のアゴにクリティカルヒット。
 彰の竜の水晶へ25000ダメージ。
 彰の竜の水晶の残り2500HP。

「なんで殴るんだよ? せっかく助け船を出したのに」

「彰は乙女心が分からなすぎ!」
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