16 / 99
第一章・夢はゲームで叶えよう花梨と芽衣と小百合の冒険譚
*十六・VSシルフ・三回戦目
しおりを挟む萌衣が確認して、
「早苗さんってあの、早苗さん? SSSランク……最高ランクの、あの?」
小百合も確認する。
「早苗さんってあの最高ランクの?」
花梨が肯定する。
「そうだよ。ギルド巡礼で二番目に強い」
小百合が質問する。
「なら一番目は誰です?」
「西尾お兄ちゃんだよ。世間では万年Bランク上位止まりって言われているけど、早苗さん本人ですら西尾お兄ちゃんには勝てないっていうぐらいの強さだから」
小百合がマホル。
マホルとは、マホルールルで検索する事の略。たいていの事は分かる便利なアプリだ。
「魔力ゼロだけど一年でBクラスまで駆け上がった。けどその後はBランク上位止まりだった」
「小百合ちゃん。西尾お兄ちゃんは実力を隠しているだけだよ」
「そうなんですね」
小百合に続いて萌衣も素直に受け入れた。
「花梨がそう言うならそうなんだろうね」
「そうだよ萌衣ちゃん。んじゃ風属性レベル1のマホメールを送るね」
『風属性レベル1のマホメールを受け取りました。
風属性レベル1~風属性レベル2になりました』
「ありがとう花梨、次はボクの番だね」
シルフィもやる気は満まんだ。
「それじゃ始めましょうか。たまにはわたしも全力を出してみるのもいいかもしれないわね」
シルフィは魔法陣を描いて、
「魔法陣に通すは火と水の属性。相反する属性よ、我の元で一つとなれ」
詠唱する。
魔法陣から自身を一呑み出来る真っ白な球体を出現させ、それを自身に取り込んだ。
萌衣の瞳が驚きに染まる。
「何故、相反する属性を?」
「風の妖精シルフは精霊の力で、自身の属性と相反する土属性以外は使えるのよ。只やっぱりシルフは風の妖精だから、下手に火と水を合成をするより風属性が強力なだけ。だから一般的にシルフは風属性しか使えないとたまに勘違いする人も出てくるの。だけどここはゲーム空間だから、シルフも土属性以外の属性の強化が可能なの」
「百均スコップで戦うような事を宣言しなければ良かったな。だけどこの百均スコップが、属性シリーズの火と水で良かった」
萌衣は血の力が付与された月属性で、 百均スコップの火と水の魔力を合成。自身の背中に30センチぐらいの微かに赤みを帯びた白い翼を作り上げた。
小百合はめちゃめちゃびっくりしていた。
萌衣の合成もそうだが、まさかシルフィが反発する属性まで宿し合成出来るとは思ってなかったからだ。
反発する土属性以外というのはちょっとした言葉のあやで、火と水に関してはどちらかなら使えるという意味だった。
シルフィは笑う。
「まさか、精霊の力まで知っている人がいるとは思わなかったわ」
萌衣も笑う。
「ボクもまさか、ボクと花梨以外にも反発する属性を聖と闇・月属性を揃えないで合成出来るとは思ってなかったよ。正直ボクのこの反発する属性を合成出来るスキルは、かなりレアだと思っていたけどそうでもなかったんだね」
……シルフィは、ちょっとだけ間を置いて口を開いた。
「もしかしたら……期待出来そうね。これなら、わたしの依頼を頼めるかもしれないわね」
「ゲームの?」
「いや、ちょっとしたリアル絡みよ」
シルフィは緑色の風で大剣を形成し一振り、球状の緑の風の渦が50個打ち出して地を蹴る。
萌衣は左右のスコップをたった三振りずで、球状の風の渦を消滅させそのスキを大剣が襲う。
ガキィーーン!
萌衣は二本のスコップでしっかり受け止めた。
「まさかこれに反応するなんて、なかなかやるわね……その上に魔法を斬り百均スコップで受け止めるなんて……アナタどれだけ魔力量が多いのよ?」
「……ボクは循環させているだけさ。シルフィさんが風属性で振り抜いた火と水の属性を、取り入れながらね。もしかしたらシルフィさんは、まだその合成に慣れてないんじゃないかな? 完全に合成されていたら、水と火の属性を取り入れてボクが循環させるのはかなり難しいし」
シルフィは大剣を消し去り。
急に軽くなりバランスを崩した萌衣へ回し蹴りを放つ。
萌衣は火と水属性を吸収し1メートル近くまで巨大化させた翼で、蹴りを凪ぎ払った。
クリティカルヒット。シルフィの竜の水晶残り0HP。
シルフィ戦闘不能。経験値ダウン・3000。
萌衣のマホスマホへ、
『風属性レベル1 をゲットしました。
風属性レベル2~風属性レベル3になりました。
風の指輪にシルフのフェアリーフィールドが付与されました。』
マホメールが入る。
「シルフのフェアリーフィールド?」
萌衣へシルフィが説明する。
「これは、あの魔物・ダークシルフが作り出すフィールドの効果を半減させる事が出来る特殊なスキルです」
「ダークシルフ?」
シルフィは説明を続ける。
「元もとは普通のシルフだったのですが、闇属性を喰らった為に……まあ設定だけどね」
「もしかしてダークシルフを倒したら、この指輪は返して終わり?」
「ですよ。ですがこのシルフの洞窟から風鈴の村へ戻ると特殊イベントが発生して、それをクリアしたらあなた自身のスキルになります。ダークシルフ退治はそれからです」
「こういう手順を踏まないと、フェアリーフィールドは習得出来ないの?」
「フェアリーフィールドはかなり特殊なスキルなので……それと、わたしが実力を試す意味もあります」
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。

【完結】百年に一人の落ちこぼれなのに学院一の秀才をうっかり消去しちゃいました
平田加津実
ファンタジー
国立魔術学院の選抜試験ですばらしい成績をおさめ、百年に一人の逸材だと賞賛されていたティルアは、落第を繰り返す永遠の1年生。今では百年に一人の落ちこぼれと呼ばれていた。
ティルアは消去呪文の練習中に起きた誤作動に、学院一の秀才であるユーリウスを巻き込んでしまい、彼自身を消去してしまう。ティルア以外の人の目には見えず、すぐそばにいるのに触れることもできない彼を、元の世界に戻せるのはティルアの出現呪文だけなのに、彼女は相変わらずポンコツで……。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる