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Act 13.邂逅する小鳥

生まれ変わって初めて2

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「でもなんで俺だって分かったんだ? 一体どこで?」

「仕草かな? バスケの時のフォームが寛人のにそっくりだったし、君、考える時、少し目を細めるんだ。そのあと、視線を下にして、真っ直ぐ前を向く。あと、泣くときも泣き噦ると言うより、目から涙が溢れるって感じかな。その時に、右目だけがピクって引き攣るように動くところとか。あと…」

「もういい! 分かった。隆二がマニアックなこと忘れてた」

 昔から人の真似がうまかったし、器用だった。
 特徴を捉えるのが上手かったのだろう。先生の真似をさせたら右に出るものはいないんじゃないかと思ったことがある。本人は、失礼だからと、人真似をすることは特に少なかったが。2人で遊んだ時とかに披露してくる人真似が上手いのは、今もこんなところに生かされているとは思わなかったが。

「完全に寛と伊織くんが一致したのは、君が熱出した時だったかな。一瞬寛の夢をみているんだと思ったんだ」

 それは俺も錯覚した。寛人の時の夢をみているような、幸せな夢だった。昔のような息苦しさも何もなく、隆二が隣にいてくれる夢。実際にはそれが夢ではなかったのだが。

「それでも、本当に伊織くんが寛人だったなんて、さっきの話を聞くまで他人の空似だと思ってたから、本当に今夢をみているようだよ。目を瞑ったら、そのまま君が消えてしまいそうだ」

「消えるかもしれないよ」

「させないよ」

 「絶対にさせない」と隆二が強い眼光を携えてこちらをみていた。

「好きだよ。一生愛してる。もう絶対に君を離したりしない。どんな姿でも、君が好きだ」

 鼻がツンとして、止まっていた涙がもう一度溢れ出した。
 あの時の俺には、隆二と一緒に生きる未来がなかった。隆二の幸せを願うしか出来なかった。余命がなかった俺には、隆二を残していくことしか出来なかった。
 けど、今回は。今回は一緒に生きていけるんだ。溢れ出した涙は止まることを知らなかった。

「俺も、隆二が好きだよ。昔から大好きだ」

 本当に神様がいるとしたら、その神様はきっと隆二にとても甘いのかもしれない。雅人もそう言っていたし、俺もそうだと思った。でもそのおかげで、神様がもう一度隆二に会うことを許してくれたんだから、もう何も望むものはないなと思った。
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