42 / 173
Act 3. 学園に入った鳥
夢と期限(side:Ibuki)※※
しおりを挟む
(side:Ibuki)
くたりと力が抜け、ベットに横たわる織を見て、僕は体中が、心が満たされたように感じた。
嬉しさに頬が緩む。
ずっと夢見ていた事が叶った。
下心とかそういうのではなくて、一つになりたい。
そう思ったのはきっと、生まれたときからだ。
このままずっと織と一つでありたいと思ったが、無理はさせられない。名残惜しく思いながらも、己の欲望を引き抜いた。
「んっ」
俄に織が反応するが、目が覚める気配は無かった。
中から溢れ出す残滓が、織のひくつく秘孔から溢れ出す。
「エロっ」
一発じゃ治まってくれる程大人しくない自身は、織の痴態に再び起立する。思わず、深くため息をついた。
なんとか自身を落ち着かせ、クローゼットの中からタオルを数枚取り出す。
後処理しておかなければ、腹を下して辛い思いをするのは織だ。
そもそもの原因は、余裕がなくて中出しした僕にある。
タオルを温めようと、部屋から出た時、目の前で固まる薫と呼ばれていた同室と鉢合わせた。
凍り付く空気。
しばらく無言のまま、対峙し合う。
「……」
「……」
「台所借りるから」
仮にも部屋の家主に断りを入れないのはまずいと思い、通り過ぎざまにそれだけ言った。
「そっちが素か」
昼間会った時とは違い、顔に笑顔なんか貼り付けてない。
「別に」
いつもはここまで愛想は悪くない。
見返りが望める、もしくはその必要がある相手や余計な軋轢を作らず綺麗に生きていく為には、最大限の愛想を振りまいているつもりだ。その方が遥かに生きやすい事も、経験的に知っているし、織に好意を向けられる頻度も減る。
だけど、そんな僕が愛想をよく出来ない相手がいる。
それは、織に好意を寄せる奴等だ。
もちろん、この好意というのは恋愛的な意味的での事だ。
全て直感だが、この直感は恐ろしく当たる。
薫という男も、今は人畜無害な立ち位置に居るが、やがて知らぬ間のうちに織にのめり込んで行くタイプだ。
「立ち聞きする奴に、愛想振り撒く必要がないだけ」
「……ならそれなりの努力をすれば良い」
「聞けないのは嫌だ」
「余裕ないんだな」
核心を突かれてカッと苛立ちが込み上げる。
お前に分かる訳ない。
その言葉を飲み込み、僕はさっさと台所で用事を済ませ、部屋の戸に手をかけた。
「織は俺だけを見てればいい」
「そんな愛し方じゃ、終わりは、」
「うるさい」
全てを聞く前に、部屋の戸を閉めた。
そんな愛し方じゃ、終わりは見えている。
そんな事、僕が一番分かっている。
でも、この方法でしか、愛する術を知らないんだ。
収まりきらない溢れる想いを、留める術なんか、知らないんだ。
再び不安で埋め尽くされる心。
濡れたタオルを抱えながら、僕は織の元に戻ったのだった。
(Ibuki side end...)
くたりと力が抜け、ベットに横たわる織を見て、僕は体中が、心が満たされたように感じた。
嬉しさに頬が緩む。
ずっと夢見ていた事が叶った。
下心とかそういうのではなくて、一つになりたい。
そう思ったのはきっと、生まれたときからだ。
このままずっと織と一つでありたいと思ったが、無理はさせられない。名残惜しく思いながらも、己の欲望を引き抜いた。
「んっ」
俄に織が反応するが、目が覚める気配は無かった。
中から溢れ出す残滓が、織のひくつく秘孔から溢れ出す。
「エロっ」
一発じゃ治まってくれる程大人しくない自身は、織の痴態に再び起立する。思わず、深くため息をついた。
なんとか自身を落ち着かせ、クローゼットの中からタオルを数枚取り出す。
後処理しておかなければ、腹を下して辛い思いをするのは織だ。
そもそもの原因は、余裕がなくて中出しした僕にある。
タオルを温めようと、部屋から出た時、目の前で固まる薫と呼ばれていた同室と鉢合わせた。
凍り付く空気。
しばらく無言のまま、対峙し合う。
「……」
「……」
「台所借りるから」
仮にも部屋の家主に断りを入れないのはまずいと思い、通り過ぎざまにそれだけ言った。
「そっちが素か」
昼間会った時とは違い、顔に笑顔なんか貼り付けてない。
「別に」
いつもはここまで愛想は悪くない。
見返りが望める、もしくはその必要がある相手や余計な軋轢を作らず綺麗に生きていく為には、最大限の愛想を振りまいているつもりだ。その方が遥かに生きやすい事も、経験的に知っているし、織に好意を向けられる頻度も減る。
だけど、そんな僕が愛想をよく出来ない相手がいる。
それは、織に好意を寄せる奴等だ。
もちろん、この好意というのは恋愛的な意味的での事だ。
全て直感だが、この直感は恐ろしく当たる。
薫という男も、今は人畜無害な立ち位置に居るが、やがて知らぬ間のうちに織にのめり込んで行くタイプだ。
「立ち聞きする奴に、愛想振り撒く必要がないだけ」
「……ならそれなりの努力をすれば良い」
「聞けないのは嫌だ」
「余裕ないんだな」
核心を突かれてカッと苛立ちが込み上げる。
お前に分かる訳ない。
その言葉を飲み込み、僕はさっさと台所で用事を済ませ、部屋の戸に手をかけた。
「織は俺だけを見てればいい」
「そんな愛し方じゃ、終わりは、」
「うるさい」
全てを聞く前に、部屋の戸を閉めた。
そんな愛し方じゃ、終わりは見えている。
そんな事、僕が一番分かっている。
でも、この方法でしか、愛する術を知らないんだ。
収まりきらない溢れる想いを、留める術なんか、知らないんだ。
再び不安で埋め尽くされる心。
濡れたタオルを抱えながら、僕は織の元に戻ったのだった。
(Ibuki side end...)
0
お気に入りに追加
697
あなたにおすすめの小説
大親友に監禁される話
だいたい石田
BL
孝之が大親友の正人の家にお泊りにいくことになった。
目覚めるとそこは大型犬用の檻だった。
R描写はありません。
トイレでないところで小用をするシーンがあります。
※この作品はピクシブにて別名義にて投稿した小説を手直ししたものです。
変態村♂〜俺、やられます!〜
ゆきみまんじゅう
BL
地図から消えた村。
そこに肝試しに行った翔馬たち男3人。
暗闇から聞こえる不気味な足音、遠くから聞こえる笑い声。
必死に逃げる翔馬たちを救った村人に案内され、ある村へたどり着く。
その村は男しかおらず、翔馬たちが異変に気づく頃には、すでに囚われの身になってしまう。
果たして翔馬たちは、抱かれてしまう前に、村から脱出できるのだろうか?
特殊な学園でペット扱いされてる男子高校生の話
みき
BL
BL R-18 特殊な学園でペット扱いされてる男子高校生が、無理矢理エロいことされちゃう話。
愛なし鬼畜→微甘 貞操帯 射精管理 無理矢理 SM 口淫 媚薬
※受けが可哀想でも平気な方向け。
高校生×高校生
※表紙は「キミの世界メーカー」よりお借りしました。
凪に顎クイされてる奏多イメージ
僕が玩具になった理由
Me-ya
BL
🈲R指定🈯
「俺のペットにしてやるよ」
眞司は僕を見下ろしながらそう言った。
🈲R指定🔞
※この作品はフィクションです。
実在の人物、団体等とは一切関係ありません。
※この小説は他の場所で書いていましたが、携帯が壊れてスマホに替えた時、小説を書いていた場所が分からなくなってしまいました😨
ので、ここで新しく書き直します…。
(他の場所でも、1カ所書いていますが…)
親友だと思ってた完璧幼馴染に執着されて監禁される平凡男子俺
toki
BL
エリート執着美形×平凡リーマン(幼馴染)
※監禁、無理矢理の要素があります。また、軽度ですが性的描写があります。
pixivでも同タイトルで投稿しています。
https://www.pixiv.net/users/3179376
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!
https://www.pixiv.net/artworks/98346398
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる