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第三章

コレット・メリ

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「……」

「……」


あの後、すぐに教師が入ってきてHRを始めてしまったから私の初ナンパはあっさりと失敗に終わった








と思ったが!!!!



なんと!!!HRが終わっ後、意気消沈していた私にあの子の方から声をかけてくれたのだ!!!


そして冒頭の無言に続くのだが…


ナ、ナンパして成功した後って、な、何を話せばいいのかしら!!?

平静を装って優雅に紅茶を飲んだはいいものの内心思春期真っ盛りな中学生男子状態だ

ま、まずは何か話しかけるべきよね?と、とりあえず無難に天気の話でも


「あの!」

「は、はい!!」

考え込んでいた時だった

思わぬことにあっちの方から話を切り出してくれたのは


「さっきは、ありがとうごうざいました。私のために、あの子にああ言ってくれたんですよね?」

少し緊張した面持ちで彼女が言い出したのはお礼の言葉だった

いやいやありがとうだなんてとんでもない!!こちらこそいきなりナンパした変な女に声を掛けてくれたことになんとお礼を言っていいのやら!だよ!!

「気にしなくていいですわ、礼儀を弁えていない"子ども"に当たり前のことを言った迄なので」

「…セツィーリア様はかっこいいですね」

「あら、どうして私の名前を?」

「知っているに決まってるじゃないですか!ノワール家のお嬢様は以前より優秀で有名でしたから!それに…さっきあれほど名前を呼ばれていたので」

あぁ、そうだ
我ながら馬鹿な質問をしてしまった

私くらいになると良い意味でも悪い意味でも有名なのを一瞬でも忘れるなんてね
あっ、ちなみにこれは皮肉だ、自分に対してのな

…そう言えば……


「ごめんなさい、あなたの名前を教えてもらってもいいかしら?」

さっきのHRの時間はある意味自己紹介の時間でもあったが私はショックでそれを殆ど…というか全くと言っていいほど覚えていない
自分の番の時だけは条件反射で令嬢セツィーリアが出てなんとかしてくれたんだけど、精神状態はもぬけの殻だったからね~

クッソ~、こんなことになるならこの子の自己紹介だけはちゃんと意識を保ってたのに~~っ!!

「あっ!失礼しました!私、コレット・メリです!実家は小さいけど、農場を営んでいます!」

「まあ!かわいい名前ですわね!コレットさん、よろしくですわ」

はにかんだように笑うコレットの笑顔に私はもうメロメロだ

本当は今すぐにでも素を出して面倒なお嬢様言葉をやめて普通に普通の友達と接したいけど…やっぱちょっと怖いよね~
私の素が本当はお嬢様とはかけ離れた、とんでも破天荒娘だと知ったら、このいかにも純粋そうなお嬢さんはどんな反応を示すのだろうか
……やばい、引かれたら私立ち直れない……!!


ニコニコ笑って紅茶を飲むコレットの向かいで、私は勝手に一人で青ざめた




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