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第一章

結局は子供なんだよ

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それからの私はまるで暴君だった、あっ、やっぱ嘘さすがにそこまで酷くない、言うなれば軟弱化したジャ〇アンかな?

二人でとことん楽しもうとしてた私だけど、残念なことに人間は学習するけど私は学習しないらしい
最初はそりゃちょっと気にしながらどこか行きたいとこはあるかとか聞いてたけど、何も答えられなかった上にまたしても私がどんどん市場に盛り上がっちゃったせいで気づいたらアホみたいにその子を引っ張り回して私一人が楽しんでいた


でも、少しだけ、本当にもしかしたらだけど、この子も楽しんでくれてるのかもと感じた時はあった


例えば果物屋さんで丸ごとりんごをかじった時

事前に貰っていたささやかな金貨でりんごを二つ買ってそのまま丸かじりをした
その子はポカーンっとしながらそんな私を見ていたけど私は相変わらずテンションがバカだった
だって、セツになってからこんなこと一回もやったことなかった(やった場合お母様に殺される)けど前世ではよくそういう風に食べていたんだもん!それに今なら見ているのはこの子しかいないし私もただのセツだ、誰にも咎められることなく自由に好きなものを食べられるってなんと幸せなことなんだろう!

二、三口食べたところでその子を見れば未だに呆然と私のことを見ていた
私はてっきり汚れを気にしているのかと思い「ちょっと貸して」と言ってその子のりんごを手に取り自分の袖でゴシゴシと拭ってから返した。そして「豪快に食べるってなんかかっこよくない?」と訳の分からないことを言って見本を見せるかのようにもう一度りんごをかじった
でもそこで思った
あれ?もしかして平民の中でもこういう風に食べたりとかしないのかな?じゃあこれってもしかしてめちゃくちゃ行儀が悪いって事!?た、確かに前世でもこれは行儀がいいっていうことじゃなかったけど…!やばい!私は純粋な子供になんて事を!!
慌てて止めようと振り返れば、その子はもうすでに私に倣ってりんごをかじっていた

ああー!!お、遅かった!!

「ご、ごめん!これってもしかしてすごく子供がやっちゃいけないことなんじゃないかな!?やった私が言うのも変だけど、これが行儀悪いと思われることならもうマネしちゃダメだよ?」

必死に言い聞かせても、その子は以外にもその食べ方を気に入ったのかふるふると首を振ってそのまま食べ続けていた

ええー…と少し困ったけど、実はちょっぴり嬉しかったもする
だって、私のマネをするってなんかそれって兄弟っぽくない!?私今お姉ちゃんしてない!?





そして、色んな店を回って行き、異国の装飾品を売ってるお店でのことだった


見るからに怪しい飾り物しかない店は当然子供の目を引く
まんまとそれにハマッた私は駆け足でそこに飛び込んでいった

二人して店の中をまじまじと見る
そして、店主も装飾品に負けず劣らず胡散臭そうなおっちゃんだった

どこかの民族のお面みたいな物や、激しく趣味の悪いでかいネックレス
呪いの人形みたいなのが陳列されてる棚や他にも何を表しているのか全く分からない置物

どこもかしこも変な物しかない空間だったけど、魅入られたのは確かだった

お互いにお面をつけて驚かしあったり、変てこで大きい置物を観察したり、見たこともない楽器を手にとって思うままに音を出したり
その子は相変わらず一言も発することはなかったけど楽しんでたことだけは伝わってきた
なら、もうそれで充分だった。人生何事も楽しいことが一番だもの!
散々その店で遊んだ後去り際に店主にいきなり声をかけられて、二人同時に振り返ったら


「あっひょーん!!!」

と変な声を出しながら呪いのお面の口から呪いの人形が間近まで迫っていた

冷静になって考えれば、あれはただのお面の仕掛けで、大方店主が悪戯でお面の口に息を吹き込んで中にある人形を飛び出させたって分かるけど、その時の私達は既に珍しいおもちゃに興奮しまくっていたからそんな冷静に物事を見れるはずもなく


「「わああああああああああああ!!!!」」


二人で抱き合って叫んだ後すぐさまそこから逃げ出した
手をがっちりと握ったまま



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