儚き願い

I&Rin

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第34話 踏み違い

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 事故の原因は高齢者によるアクセルとブレーキの踏み違いだった


 事故後も爺さんはブレーキをずっと踏んだが車が止まらなかったと言い続けているそうだ

 婆さんが毎日、持病の治療で通院しておりこの日も病院に一緒に向かう途中の事故の大惨事

 結果的に病院には着いたが婆さんは即入院


 爺さんは事故の件で警察と事故対応に追われていた

 この日、病院の近くでイベントが開催されており、いつもより人手が多く歩行者優先の横断歩道を人が渡っていたので、車を止めようとブレーキを踏んだらしい


 直後、爺さんの運転する車は止まるどころか逆に加速して歩行中の人を跳ねてしまう


 そこで爺さんはパニックに陥り、その後、実際にブレーキを踏んだのかどうかは分からないが、取り調べではブレーキを踏んだと言い張ってるそうだ

 だか実際には、車はその後も加速して行き、病院のロビーのガラスをぶち破って侵入してくるまでに8人を跳ねている


 そこに私とひろちゃんを足して全部で10人になる大事故となる


 その中で最も酷かったのはひろちゃんだった

 私も当然ながら酷かったが、ひろちゃんほどではなかった


 他の人達も骨折に内臓破裂と酷く、重症で入院していた


 私とひろちゃんが巻き込まれた瞬間、ひろちゃんは私を背中から覆い被さるように包み込み、ひろちゃんはテーブルを背にした状態で車に激突される


 私の盾はひろちゃんだったけど、この時、ひろちゃんの盾の役割りをテーブルがしてくれていた


 車に衝突された私は椅子とひろちゃんに挟まれたまま、病院のロビーにある受付カウンターに激突されサンドイッチにされる


 今となっては車に轢かれて通過されて方が良かったのかが分からない

 その時、即死だったかもしれないし、生きていたかもしれないし、それは分からない


 ただ私達2人は意識を取り戻さない

 車からレスキュー隊に救出された時、私達を助けようとしてくれていた人達もすでに死んでいると思わせる位に損傷が激しかった

 すぐに病院の医師達が私達にかけ寄り安否確認を始める
 
 私はかろうじて生きており、弱々しくあるが鼓動が脈打ち医師が声を荒げ指示を出す


 「緊急を要する状態だが、かすかに息があるので、このまま緊急処置でオペに入るぞ」

 「はいっ!」

 そしてひろちゃんの方を見ていた医師は

 ピーーーー

 「離れて!」

 ドンっ!!

 「駄目です、先生!戻りません!」

 「もう一度!」

 「チャージ出来ました!」

 「行くぞっ、離れて!!」

 ドンっ!!

 ・・・・・ピコン、ピコン

 「戻ったか」

 「彼はこのまますぐに、T総合病院に移送して!」

 「はい、分かりました!」


 ひろちゃんは医師達の迅速な対応と処置で息を吹き返し、一命を取り止め、私より先にT総合病院へと移送された
 
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