儚き願い

I&Rin

文字の大きさ
上 下
33 / 35

第33話 助け合い

しおりを挟む

 私達は病院のロビーで診察を受ける順番待ちしていた


 窓際にあるテーブルの所に座り私達2人は向かい合い時折り外を観ながらおしゃべりしていた

 病院もそこそこ大きく、いろいろな科が沢山あり病院内も明るくお洒落で外観も良かった


 そんな雰囲気の良い所で私はあまりにも右足が痛過ぎて1人悶絶していた

 ただし、ひろちゃんに心配かけたく無いので顔には出さなかったが、内心めちゃくちゃ痛い!


 病院内から外を見ると、意外と人通りも多く、今日この近くで何らかのイベントがあるようで、それに目的とする人達も含まれているのだろう


 すると突然、人の動きが慌ただしくなった

 この時、私は何があったんだろうと、ただボーっと人の流れを見ていただけだった

 「何か変やね?」

 「んー」

 ふと、ひろちゃんが言った一言に私はボーっとしていたのか何も考えていなかった


 するといきなり、ひろちゃんが立ち上がり


 「みんな早く逃げて!!」

 ??????

 当然、私の反応も周りの反応も何だ?

 ってな感じだった!

 「早く離れて!!」

 ひろちゃんが急に私の横に飛ぶ様に一瞬で来て、私を椅子から立たせようとしていた


 ここから急展開で病院内にいた人達が慌ただしくなり、何やら叫びだす人達や逃げる光景になっていた

 この時、外では1台の車が一直線にこの病院のこのロビーの方に向かって、凄い速さで外にいる人を跳ねながら近づいてきていた

 車は私達のすぐ近くまで来ており、駐車場の車輪止めや縁石を乗り越えロビーの大きなガラスをぶち破って病院内に入って来た


 そして私達が座っていたテーブルだけでなく、私とひろちゃんもろとも巻き込みながら車は止まる事なく突き進み、最後は受付のカウンターに激突してようやく止まった!

 何秒位の出来事だったのか分からないが、本当に一瞬の出来事だった!

 つい先程までの綺麗な病院ではなく、爆発でも起きたかのような惨劇だ!


 ひろちゃんがいち早く私の所に来て、私を椅子から立たせた時には、すでに車は目の前まで来ており、ひろちゃんは私を車の進行方向から離れた場所に投げ飛ばそうとしていた

 しかし、この接近した差し迫った状況でどう進路が変わるかも分からず、どうしようもない状態の中、最後に取った行動は・・・車に背を向け、私に覆い被さる


 私とひろちゃんが巻き込まれた時、ひろちゃんは必死に私を守ろうとしたが、当然、2人は無事では済まなかった


 唯一良かった事は、此処が病院だった事だ!

 周りのみんなもひろちゃんが、いち早く声を出した事ですぐに対応する事が出来た事もあり、みんなが助け合い破損状態の酷い車の中から、私達をなんとか救出しようと動いてくれていた

 外では救急車やパトカーのサイレンが煩く鳴り響いていた
 

 

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

好きな人がいるならちゃんと言ってよ

しがと
恋愛
高校1年生から好きだった彼に毎日のようにアピールして、2年の夏にようやく交際を始めることができた。それなのに、彼は私ではない女性が好きみたいで……。 彼目線と彼女目線の両方で話が進みます。*全4話

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

お飾りの侯爵夫人

悠木矢彩
恋愛
今宵もあの方は帰ってきてくださらない… フリーアイコン あままつ様のを使用させて頂いています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

パート先の店長に

Rollman
恋愛
パート先の店長に。

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

だいたい全部、聖女のせい。

荒瀬ヤヒロ
恋愛
「どうして、こんなことに……」 異世界よりやってきた聖女と出会い、王太子は変わってしまった。 いや、王太子の側近の令息達まで、変わってしまったのだ。 すでに彼らには、婚約者である令嬢達の声も届かない。 これはとある王国に降り立った聖女との出会いで見る影もなく変わってしまった男達に苦しめられる少女達の、嘆きの物語。

愛する貴方の心から消えた私は…

矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。 周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。  …彼は絶対に生きている。 そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。 だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。 「すまない、君を愛せない」 そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。 *設定はゆるいです。

処理中です...